第23話 悪魔と見せつけ練習1

 どうも…ライル先輩が俺を好きというのは恋的に好きなんじゃないかと皆は誤解しているみたいだ。

 確かにライル先輩は学生時代から俺に優しくてベッタリで俺が就職(主と契約)して魔界から消えて様子見に来てくれたけど優しさ以外ないよね?そんなわけないよね?


 しかしオットマー執事長や特にケーテさんがその話に食い付いた。


「ご馳走様です!ルーカスさん!!ライルとかいう悪魔はそれでどんな容姿をしているのです?美形ですか?」

 と聞く。


「ん?ライル先輩はライム色の髪に赤い目の性格は穏やかで明るくて気のいい悪魔だよ。後見た目に反して強い。怒らせたら怖いのかも。顔は…うーん、特に悪くないかな?」

 と言うとアリーセが


「前見たけどまぁルーカスほどではないけど普通の優しげな好奇心旺盛な悪魔ね。見るのは気持ち悪かったけど中の上くらいの顔よ」

 と言う。ケーテはそれに


「私もお会いして見たかったですわ…ルーカスさんと並んでるのを想像するとぐふふっ」

 と笑っている。何の想像?楽しそうだなー?


「ケーテ…慎みなさい!」

 とオットマー執事長が言いケーテは黙った。

 そして…


「ともかく…もうお嬢様…学園に入るしか魔術書を奪うチャンスはありませんぞ?覚悟を決めていただきたい…入学までの期間で何とかルーカスと親密さを増して学園内で他の男が寄り付かない用に見せつけの練習をしてください!この間のように森の動物達を人の学生に変えたり私たちも学生に変えて練習しましょう!」

 とオットマー執事長は言う。

 アリーセは青くなり


「そんなぁ…男にも変えるの?気持ち悪いわ!ここは私の楽園だったのに!」

 と言うとどこか吹っ切れたパトリックが


「学園に行くともう男の人を目にするのは仕方ないことだよ?今のうちに慣れておいた方がいいよ。厳しいだろうけど、僕も協力します!ルーカスさんと存分にイチャイチャ見せつけ練習をしてください!僕たちの前で!」

 と言う。ええっ!?


「皆の前でアリーセと…濃いキスとかするのか?」

 と言うとオットマーは


「いや、濃いキスはあの2人やヒロイン・もう1人先生がいるんでしたかな?それの前で極力するように!一般生徒の前では軽いスキンシップや頰にキスくらいでなんとかなります」

 と言う。な、なるほど…忘れるとダメだから俺はメモを取った。


 *

「それではルーカス!レッスンその1!登校編をしてみましょう!」

 と俺の術で学園の制服を着たオットマー執事長が現れる。制服はケーテさんが昔着ていたのを見せてもらった。指パチンでケーテさんの実家に移動して見せてもらったのだ。男性の学生服はケーテさんの弟のを見せてもらった。


 それを参考にして俺は動物達を人間にして学生服を着せて説明してまた協力させた。


「人間の学生らしいわよ?見たことある?」


「学校ってとこに行くんでしょ?たまに見たことあるわ。私って小動物だから餌をねだりに近付いたことあるわ。めっちゃ可愛いとか言われて撫でられるけど美味しい餌はくれるわ」

 とリス耳の女生徒が言う。


 そこでパンッと手を打った男性版の若返ったロミー侍女長が


「はいはい!皆さん適当にバラけて歩いてあの扉を校門としてそこまで歩きましょう!お嬢様はルーカスと腕をベッタリ組むか、恋人繋ぎでお互いの顔を見つめ合い歩いてきてください。何か話してもいいですよ」

 うーん、それだけならできるかな。


「アリーセ…出来そう?」

 と聞くとアリーセは


「他の男子生徒が目に入らないようルーカスだけを見て歩くからルーカスは私を先導してほしいわ…」

 とリンゴみたいに赤く頰を染める。なるほど!俺だけ見てればアリーセも気持ち悪くならないかも!!


「では!用意スタートですぞ!」

 とオットマー執事長の掛け声で短い廊下を歩くことにした。

 俺とアリーセは腕を組んだ。アリーセの柔らかいモノが当たり恥ずかしくなる。しかもアリーセは俺を見つめている。うぐっ!こ、これ結構試練かもしれないぞ!!しかし何とか校舎まで安全に連れて行かないとな…。


 *

 ルーカスにくっついてルーカス以外視界に入れないように私は歩いた。視界に男が入ったら大変だし!

 で、でも制服姿のルーカスがとんでもなくイケメンである!!やばい!鼻血は出さないように頑張らなきゃ!ああっ!ルーカスカッコいい!

 ルーカスは少し赤くなりつつも私を先導する。

 そこでオットマーが


「ちょっと生温いのではないでしょうか?もっとこう、お嬢様の肩を抱き胸を揉みながら今日も可愛いねとか言い歩くとかした方が…」

 と言うので


「何言ってんのオットマー!この変態!そんな登校してる生徒いないわよっ!!」


「案外ラブラブなカップルにはいますけどオットマー執事長の意見は無視してください。肩はともかく胸はアウトです!」

 とロミーがオットマーを白い目で見ながら言う。


「よし!ロミー!折角男の姿になったのですから登校アクシデントで2人にぶつかりお嬢様がこけそうになるところをルーカスが支えて2人の世界を作ってみてください!では行きますぞ!」

 とオットマーがパンッと手を打つと男のロミーが


「どいたどいた!」

 と他の生徒役の動物たちを突き飛ばしつつ、私たちに突っ込んでこようとしてルーカスはそれにステップを踏むように私の腰を抱えてフワリと避けた!そして…


「危ない…アリーセがこけるところだった!平気?アリーセ…」

 と綺麗な声で心配した。


「あ、うん…平気よルーカス…ありがとう…」

 ぽうっとなり


「あ、ありがとうルーカス…ルーカスのおかげでこけなくて済んだわ…」

 しばらく見つめ合う。心臓がドキドキしている。はあ!そ、そんなに見つめないでルーカス!とダラダラ汗が流れてヤバイ!臭くなる!

 とルーカスを思わず跳ね飛ばす!


 ルーカスはショックを受けて膝を抱えた。


「アリーセに拒まれた!やはり俺のこと嫌いなんだ!!」

 とブツブツ隅っこで言い始めた!


「違うのルーカス!ルーカスがあんまり見つめるから恥ずかしくて突き飛ばしたのごめんなさい!もっ…もうしないから!」

 と弁明した。


「はい、お嬢様マイナス8点ですな!まだまだです!突き飛ばしてはいけません!ルーカスもこんな時は額にチューして見せつけるのです!その際に(君は可愛いから目が離せない)とかなんとか歯の浮く台詞を言うのです!」

 とオットマーが言いルーカスは


「額にキスに歯の浮く台詞と…あれ?歯って浮くの?」

 とメモを取った。額にキスなんて恥ずかしいからやめてよ!!


「では次に行きましょう!次は教室でのことを想定します!ちなみにお嬢様…このクラス…というか学校は平民でも入れる為、貴族も平民も混ざっています!」


「ルーカスはあの部屋に術をかけて教室みたいにできるかね?」

 とオットマー執事長が言うので俺はパチンと指を鳴らして教室を作る。生徒役達も適当に教室に入って行く。


「ではお嬢様、ルーカスは教室に入り、ルーカスとお嬢様は隣同士で席に着くのだ!その際にさりげなくお嬢様の椅子を引いて座らせて、授業中は机の下で手でも握り合ってください!間違ってもお嬢様…ルーカスのアレを触ってはなりませんよ?」

 と言うので


「オットマー!何言ってんのよ!ルーカスのアレなんか触るわけないでしょ!それに授業中に手握らなくてもいいわよ!どうせ見えないでしょ!」


「私なら興奮すると思いまして…申し訳ありません!」


「オットマーさんはもうおかしいので無視した方がいいのでは?」

 とケーテが言う。そうね、もう無視した方がいいかも。ろくなこと言わないしキモイ。


「オットマー執事長は興奮する…と」

 とメモするルーカスの手を止めその部分は消させた!


 レッスンはまだ続く。

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