第21話 悪魔と恋の病2
「あ、アリーセ!!離して!!」
「聞こえる?ルーカス?貴方を思って私胸がドキドキしているの…ルーカスに恋をしているの!!」
「へ…」
とルーカスの声がした。
*
ルーカスの部屋に突入するまでの3日間。
つまりあのキス練習をしてからルーカスが引き籠ったことに少なからず私はショックを受けた。
ああ、やはり鼻血出したから引かれたんだわ!
…と。
普通に考えてみてほしい。
だってキスして鼻血を出す変な女なんて前世のドラマでも漫画でも出てこない。そんなシーンあったらドン引きどころか完全に変な女!
ヤバイわ!何で鼻血出てんのよ!私の鼻血!!
と自分の鼻血を責めているとロミーが入ってきて事情を聞かれて私は話した。
するとロミーは口を押さえて笑いを堪えている。失礼なっ!
「そ、それでお嬢様はルーカスがお嬢様の鼻血を見て部屋に引き篭もられたと思うのですね?」
「そっ…そうに決まってるわ!練習で鼻血なんか流す女に引いたのよ!その場では心配してくれたけど完全に引くわよ!もし私が男なら絶対に引いてるわ!!ロミーもそう思わない?」
「お嬢様…この婆から言わせてもらいますが…確かに興奮して鼻血を出したのは失敗でしたね」
「ほらやっぱりいいい!!」
「ですがそれはお嬢様が慣れていないからです!濃いキスなどお嬢様に耐えられるとは思いませんから。それを練習していくのが試練と思ってください!」
「は、鼻血を出さないようにする試練!?」
ロミーは半目になり
「違います。鼻血はともかくあの王子と騎士を諦めさせるのが本来の目的でしょう?しかしお嬢様はルーカスのことが本気で好きなのですから仕方ありませんね」
ぎえっ!な、何故それを!?なんなのロミーは私の心が読めるの!?
「お嬢様…ルーカスが本気で好きなのでしょう?見ていれば判りますよ…王子とルーカスへの態度の違いは月とミミズくらい違います。ミミズは王子で」
と例えた。ええっ!そんな!ロミーにバレていたなんて!流石侍女長!!だてに長生きしてないわ!
「だって…鼻血出したからルーカスは引き籠ったのよ?もう3日も!変態女の顔を見たくないからに決まっているわ!」
と言うとロミーはため息をついて
「ルーカスはお嬢様が鼻血を出したのを見て勘違いしているのですよ。お嬢様は普段から男嫌いですからね、でもルーカスには唯一触れるでしょう?だから彼も安心していたのかもしれません。しかし鼻血という目に見えるものをいきなり見たことでルーカスは動揺したのです!」
えっ!?確かに…そう考えるとそうかもしれないわ!?ひ、引かれたんじゃなかったの!?で、でも優しいルーカスならあり得るかも!?
「わ、私てっきりルーカスは(この変態女!たかが練習のキスで興奮して鼻血とかあり得ないわ!もう顔見たくない!俺に近寄るな!)って引き籠ってしまったのだと!」
ロミーは半目のまま
「ルーカスの忠誠心の深さで気付かないのですか?お嬢様の勘違いも酷いですよ?ルーカスがそんなことを思うわけありませんよ!お嬢様の鼻血を見て嫌がるお嬢様にキスしてしまったことを悔いてるというところでしょう」
「ロミー根拠はあるの?本当なの?ルーカスが後悔なんて!私こそ後悔しているわ!」
と言うとロミーは肩に手を置き怖い顔で
「お嬢様…どうもルーカスと話し合う必要がありますわ。お嬢様の気持ちをルーカスに伝えるのです!嘘偽りなく!ルーカスは判っていないんです!勘違いしたままです!お嬢様がルーカスに恋をしていること、ルーカスでなければダメなことを伝えるのです!」
それもはや告白しろってこと?わ、私から?
「それでもどうしてもダメだった場合はもうこのロミーが失恋パーティーにご馳走でも作りましょう!」
「ロミー…」
そして私は意を固めてオットマーが呼びに来るとルーカスの部屋に入ったのだった。
*
そして現在、告白して大胆にも心臓の音を聞いてもらおうと…このドキドキする音を感じてもらうために左胸にルーカスの手を取り当てがっている。
ルーカスは当然焦った。
「落ち着いてルーカス!心臓の音聞いて!」
と私が言うと顔を赤くしたルーカスが
「おっ!落ち着くのはアリーセだ!心臓は胸の真ん中だ!それ位置間違えてるよ!単に左胸触ってるだけだよ!これ!」
と指摘された!
「え!?心臓って左にあるんじゃ!!?」
「人間の心臓の位置は胸の中央にあって左側に少し傾いてるだけだ!!だから離して!!」
そんなー!!これ単に左胸触らせてるだけじゃない!ルーカスになんてことさせてんのかしら!?絶対痴女か何かと思われたわ!
私は慌てて離す。ルーカスも手を引っ込めてお互いに照れた。
「ごっ…ごめんなさい…よく考えたら医者に見せる時も真ん中に聴診器当てるわよね…バカだったわ…変なもの触らせてごめんなさい…」
「アリーセのは変じゃないけど…あのままだと俺……な、なんでもない」
と言い淀んだ。なんなの?
「じゃあ、改めて私の心臓の音を聞いて欲しいの!」
とまた手を取ろうとしたらルーカスは逃げた。
「いやっ!だからそれはも、もういい!」
「聞かないと判らないじゃない!」
「アリーセはっ!!無防備だっ!!バカなの?俺…男だからね!?」
「それは知ってるわ、当たり前よルーカスは男だわ?」
悪魔でとんでもなくイケメンの…。私の好きな人で唯一の触れる人。人じゃなく悪魔か。
「わ、判ってない…判ってないよアリーセ…ど、どうしよ」
「ちょっと!判ってないのは貴方よルーカス!私は演技じゃなくて貴方が好きだって言ってるでしょ!」
と言うとルーカスはいきなりポンと手を打ち
「そうか判った!」
と言った!よ、ようやく私の気持ちを判ってくれたのね?これでもうイエスかノーを待つだけだわ!
と思っていたらルーカスは
「これは夢か!俺いつの間にか眠ってしまったんだ!こんな、アリーセが俺のことを好きって言う都合いいことあるわけないし!」
と開き直った。違う。流石に夢じゃないわ!ルーカス!バカなんじゃないの!?
いや、好きな人にバカって思っちゃダメよね?
そう言えばルーカスって恋愛音痴とか聞いたような…。
「ルーカス…夢じゃなくて現実よ…私が貴方を好きなことそんなに嫌なのね?」
と言うとルーカスは今度はいきなり自分の左胸に自分で風穴を開けた!!
「きゃあっ!ルーカス!!何してんのっ!?」
しかし穴はすぐ塞がったがルーカスはゴフっと口から血を吐いて
「そんなっ!現実…かよ…」
と言った!どんな確認の仕方なの!?やめて!本気で心臓に悪い!
「本当に…嘘じゃなくてアリーセは俺のことを好きなの!?」
と聞く。ドキドキする。コクリとうなづくとルーカスはとても綺麗な顔で安心したように微笑み
「夢みたい…俺も…アリーセのこと…好き…演技じゃない…」
と口から血流しながら抱きつく。
私は熱くなり…
「ルーカス…嬉しいけど…大丈夫なの?口から血が出ているわ!無茶して!」
するとルーカスは
「う、うん…傷は塞がるけどちょっとだけ貧血…めまい…」
「なら…私の血飲む?」
「アリーセが貧血になるよ」
「今、ルーカスが貧血なの!」
2人して貧血がどうのこうの言い合い結局私は血を少し小皿に落とした。
ルーカスは
「酔っ払う前に言っておくけど本当に俺、アリーセのこと好きだからね…主に恋してしまう変な悪魔だと思うけどよろしくね」
と言った。
「う…うん…私も…ルーカスのこと好き。鼻血流す変な女だけど…よっよろしくお願いするわ…」
と笑い合い軽いキスを交わすとルーカスは血を口にした。
貧血が治ったみたいで赤い顔で酔っ払い始め、目はトロンとしていた。それからいきなり私を抱え上げてベッドに下ろして押し倒された。
「るるるルーカス!!性急だわ!!流石に!待ってお願い…そそそそりゃ貴方にもちろん処女を上げるけど!!さささ流石にまだ心の構えが!土俵に上がる準備がっ!!」
と目をぐるぐるさせながら言うとルーカスはパタリと私の胸の上に顔を埋めてスウスウと寝始めた!!
ええええっ!!いやあるけど!こういうパターンも!!しかも寝言で
「ううーん、好きだよ…アリーセ…好き好き…」
と呟いていて真っ赤になりつつも仕方ないのでちょっとだけそのままサラサラの髪を撫でてそれからソッと部屋を出た私だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます