第10話 王子と騎士と宰相の息子の殴り込み
今日もルーカスに美味しい紅茶とお菓子を入れてもらい幸せ…。ずっとこうしてのんびりしていたいわ。いい天気だし…。
と窓の外を見るといきなり暗雲と雷が落ちて雨が降ってきた!
ふ、不吉だわ!!
「さっきまで晴れてましたよねー?」
するとバダバタと足音が聞こえオットマー執事長が控えめに扉を薄く開け、
「お嬢様!殿下と護衛騎士様とヘンドリック様がお見えになりました!!」
と告げられて顔面蒼白になった!!
な、何で?一気に攻略対象者が3人も私のところに来るわけ!?
「あ…」
何かを感じ取ったルーカスが呟いた。
「宰相の息子はともかく後2人の奴も俺の術解けてる…なんでだろ??」
「何でだろう?はこっちの台詞よっ!!どういうことなの!?嫌っ!会いたくない!お腹痛い!オットマー!絶対通さないで!!」
「だ、ダメです!お嬢様!も、もう…」
とオットマーが言った所でバァンと私の部屋に攻略対象者3人がなだれ込んできた!
更に!こないだのルーカスの先輩というのと、他にも男の悪魔らしきのが2人いる!!
ていうかこの部屋にもはや女1人の私に大勢の男が来て大変なことになった!!
「お嬢様!!大丈夫ですか!?」
ぐえっ…気持ち悪いっ!!男臭い!男が密集してキモイ!
「る、ルーカス…助けて…」
とルーカスにもたれかかると…
「おい悪魔!!貴様の正体はもう判っている!我が婚約者のアリーセから離れろ!!」
とエドヴィン王子が怒鳴った。
それに横にいた、こないだのルーカスの先輩悪魔ライムがバツの悪そうな顔をして
「よー…ルーカス…ご、ごめーん!なんていうかさぁ、俺召喚されちゃったわ…王子に…だからなんていうか全部、ここにいる奴等にはお前のお嬢様が醜女に見える術解けてる…」
と悪い悪いとヘラヘラ謝った。
最悪っっ!
通りで皆悪魔を従えてるわけよ!しかも男ばっかり!!
というかほんとに男の密度が凄い部屋になってる!もう嫌!私は思いきりルーカスに抱きつく!むぎゅっと胸を腕に押しつけたせいでルーカスが赤くなった。
「あ、主…どうしよ…」
「私だってわかんないいい!!」
と泣く。
「おい!くっつくな!悪魔!!僕の婚約者だぞ!!」
とエドヴィン王子が怒鳴る!くっ!後少しで婚約破棄できたものを!振り出しだわ!
しかも他の対象者もルーカスを睨んでいる!ルーカス1人悪者の様にされてる!
「や、やめてください!皆様!ルーカスは悪くないの!ルーカスを呼んだのはこの私です!」
と言うとエドヴィン王子は
「ええ、全て聞きました、このヘンドリックからね!」
と宰相の息子のヘンドリックを見る。ヘンドリックはたらりと汗を流す。この野郎!旅に出たんじゃなかったの?王子にバラすなんて!この裏切り者!!…まぁ別に味方でもなかったんだけどね。
エドヴィン王子は
「あの日…僕はどうしても違和感を覚えていたんだ…何故この侯爵家に来たのかと…その時の僕は術にかかっていたからね…、護衛騎士のダミアンも同様に違和感を感じたと言っていた。僕等2人ともアリーセ嬢に恋していたからね…まぁ僕の婚約者に惚れるダミアンも恋敵には違いないけどね」
とエドヴィン王子は紫の髪色で白い瞳のイケメン護衛騎士に目をやると彼は焦ったような顔した。いつも不機嫌そうな顔をして王子にくっついているが、たまにチラチラチラチラ私に無言で視線を送る様が激しく見てんじゃねぇよこの野郎!と何度も思ったけど、ゲームの展開で断罪される身としてはこいつも私に最初気があることは丸わかりなのである。
「それでどうにもダミアンと何かおかしいと思ってヘンドリックに意見を聞きに行ったらこいつ…旅支度をしていたから問い詰めて吐かせたんだ」
とエドヴィン王子はにこりと微笑み、私はげっと気持ち悪くなった。やめてください!その微笑み…サリンだよ?私にとって毒ガスそのもの。うげっ…。ルーカスにまたしがみつくとよしよしと撫でられ少し楽になる。
それを見てルーカスはまた王子に睨まれていたけど。
エドヴィン王子は続けて
「そしたら君が悪魔を召喚し男に自分が醜女に見える術をかけていることが判って僕達2人の術はそこで解けた。悪魔の術は真実を知ると解けるようにできてるんだってね」
とそこで
「お嬢様!!!そうだったのですね?このオットマーにもそんな術を!!」
とうとうこの場にひっそりいた執事長オットマーの術も解けてしまった。まぁオットマーは別にいいか。
「それで僕達三人はまず、アリーセが悪魔を呼び出すのに必要だった魔術書の入手に向かったわけだ。大変だったけど探し当てたよ。君も必死だったんだね。アリーセ…」
くっ!と私は悔しくなる。あの魔女アルファの家を突き止められたとは!まぁ王子だしなー。
「僕も婚約者の君に触れられないのは大変寂しいし我慢している…それなのに君はその悪魔には何故唯一触れるんだ!?やはりその悪魔の術か?」
するとルーカスの先輩が
「それについては判りません。悪魔でも流石に蕁麻疹出なくしたり吐き気とか怪我したりの治療なんかできませーん。悪魔ですからね」
と説明する。
「くっ!必ず僕等は君が蕁麻疹や吐き気などの症状が出ないような方法を見つける!なんとしてでもだ!アリーセ!君は僕の婚約者だ!絶対に逃がさないからね!」
とエドヴィンは言い、青ざめる私にオットマーはとんでもないことを言い出した。
「失礼ながら殿下…。ルーカスとお嬢様はもう…相思相愛でございます!」
それに全員が、はっ!!?と言う顔になった。
な、何言ってんのこの爺さん!!いいい、いつ私とルーカスが相思相愛に!?
「実は先日の真夜中私がお手洗いに起きて向かっておりましたらお嬢様のお部屋から幸せそうなルーカスがソッと出てまいりました…。お嬢様の処女はもうルーカスが奪ってしまわれたのです!!」
ドヤァ!!とオットマーが言った。
「え?主…俺って主の処女奪ったっけ?てか処女って何?」
と小さな声でヒソヒソ話した。
「知らない!あげてない!オットマーの嘘よ…こうなったらノリましょう、ルーカス!私に合わせるのよ?」
「は、はあ…」
と決まり私は言った。
「そそ、そうよ!バレてしまったら仕方ないですわ!わ、私のしょ…処女は!ルーカスに差し上げたのです!!ごめんなさい!皆さん!私のことは今日を限りに諦めて貰えないでしょうか!?王子!どうか婚約破棄を!!」
エドヴィンは物凄い顔で睨み、もはや血管が切れそうであった。怖いしキモい。
「それは…本当のことか?クソ悪魔」
とニコニコ顔でついにルーカスをクソ悪魔呼ばわりした。
「え…えと…あの…まぁうん!貰った!貰いました!アリーセお嬢様の処女を俺は…も、貰ったぞー…」
と言う。嘘下手クソか!?
しかし正気でない怒りに満ちた三人の対象者達は今にもルーカスをぶっ殺しそうな顔であり、私は咄嗟にルーカスに抱きつきいきなりルーカスに軽くキスをした!!
それを見て三人はあっと息を飲んだ!
ルーカスは咄嗟のことに赤くなり
「お嬢様…人前ですよ!?」
と狼狽た。
「ほ、ほほほ!ど、どうかしら?ルーカス以外にこんなことはもう出来ませんの!キッパリサッパリ諦めてくださいまし!」
と言うと三人は…
ドス黒いオーラを放ち
「悪魔!!貴様の名は!?」
とエドヴィン王子が言った。
「ルーカス・クロイツです…」
と言うと
「そうかルーカス!貴様を必ず殺してやる!!ライル!お前の後輩だろうが知らん!今は僕がお前の主人だ!主人の命令は絶対だからな!必ずこの悪魔を殺すんだ!行くぞ!アリーセ!君も僕から逃げられると思うなよ!」
と王子と攻略対象と悪魔たちは出て行った。
「なんてことなの…」
私は本当にズキズキ頭が痛くなり座り込んだ。
オットマーは頭痛薬を取ってきますと下がった。
「本当に…主…なんてことを…俺と先輩戦うことになっちゃったよ…どうしよ…」
とルーカスも頭を押さえた。
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