好き
麻城すず
好き
「佐倉! 鳥居君廊下にいたよ!!」
「えっ? ほんと!? 今すぐ行くっ!!」
バタバタと教室を抜けて廊下に出ると、3組のロッカーに凭れて鳥居君とその友達がしゃべっていた。
あたしは自分のロッカーに用があった振りをしながら、さり気なくそっちを盗み見る。
「あー、鳥居君ってば今日もかっこよかったー」
ウットリと呟きながら教室に戻ると、普段ほとんど話したことのない佐奈ちゃんがあたしの机の前にいた。
クラスで一番可愛い女の子。
「……あの、佐倉さんって鳥居君の事好きなの?」
周りに聞こえないように小声で耳打ち。
「うん好きー。もーあの顔犯罪級だよー。ツボ入りまくりだしっ!」
佐奈ちゃんはあたしの言葉に申し訳なさそうな顔をして言った。
「……あの、ね。鳥居君とあたし、先月から付き合っているの。だから……」
「マジ? やっぱねー。鳥居君超格好いいし絶対彼女いると思ってたんだー。佐奈ちゃんならありだねっ! これがすっごいブーちゃんとかだったらあたし立ち直れないとこだったよ!」
「え? あの……」
「やっぱり格好いい男には可愛い女の子だよ! たまにさー『何であれと付き合う!?』みたいなカップルいるじゃん。あたしあれ後ろから蹴りいれたくなるもん!」
あたしの力説に戸惑った顔の佐奈ちゃん。
あたし何か変な事言ってる……?
中学生はまだまだ子供。
好き=恋愛感情
好き=偶像崇拝
さあ、どっちがより子供っぽいのでしょう、か?
好き 麻城すず @suzuasa
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