第4話 見えてきた旅

 友輝に先導され、よくわからずについて行く。そして見えてきた場所は。


「マジで交番じゃん」

「でも勇姫を届けに来たわけじゃない。ここにあの人がいるか確かめに来たんだ」


 あの人? 誰だ。交番にはお巡りさんしかいねぇだろ。そう思ったが友輝は真っ直ぐ進み、交番の前に立っていたお巡りさんに話しかける。


「すいません、ここに"軍師"を名乗るお巡りさんっていますか?」

「軍師?」


 何言ってんだ。そんなやついるわけないだろ。


「もしかして、皆川さんのこと?」


 いや、いるんかい。


「皆川さんはもう旅に出るって辞めちゃったけど。もしかして、あの本ってマジ?」


「本のこと知ってんすか」


「皆川さんが持ってたからねぇ。あの人の妄想話かと思ってたけど」


「どうにか連絡つかないっすか」


「ちょっと待ってね」


 ちょっと待ってほしいのはこっちだ。なんの話をしている。あの本ってなんだ。ついていけないが口を挟む余地なく、友輝がケータイを受け取り軍師とやらと話し始めた。


「すんません今ですね、新しいリアルプレイングゲームが起きてまして」


『なんと! その響き、懐かしいですね。私を旅立たせたきっかけの』


「それでですね、今回の魔王に心当たりがありまして。確かめるために安藤あんどう蹴入しゅーとさんに会いたくて」


『しゅーと殿ですか。残念ながら今いる場所はわからないですね』


「じゃあ、大坂おおさかふうさんはどうですか」


『申し訳ありません。しゅーと殿とふう殿は同じ場所にいると思うのですが、もうコンビニにはいらっしゃらないと思います』


「そうっすか、わかりました、ありがとうございます」


『お役に立てなかったようで』


「いや、電話で確認できただけでも良かったです! では」


『ちょっとお待ちなさい! あなたは新しい勇者殿ですか』


「違います。てか、んー、さらわれた姫であり、立ち向かう勇者みたいなやつはいますけどね。じゃあ」


 そんな会話をして、友輝がお巡りさんにケータイを返す。そのタイミングでここまで謎に思うことをぶつけてみた。


「おい、さっき言ってた本ってなんだよ。今話してたのは前のゲームの参加者なのか」


「そうだねぇ、まだ全部は明かせてないけど、そのうち全部わかると思うよ」


「なんか遠回しだな。とりあえず今わかってるのは何」


「学校で前回のゲームについて書かれた本を読んだんだ。当事者じゃないけど担任が持ってた」


「そんで?」

「まあ、そんだけだな」

「えぇ」


「あとはまだ推測だからさ。じゃ、次は勇姫の家行こっか」

「オレ今、何中なにちゅうか知ってるよね」

「大丈夫。勇姫の家って一軒家じゃん?」

「そうだけど」

「おれの推測が正しければ今誰もいないから」

「はあ? なんでだよ」

「親いそうなら引き返してもいいからさ、ほら行くぞ」

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