〜勇姫と友輝の二日間〜
第1話 新しいゲーム
——「Real Playing Game! 〜オレが勇者で主人公はぼく〜」はマザーコンピュータと安藤時止のチート能力によって過去へ送られた。が、そのデータとは別に、こっちの時代には十冊存在した。これから綴る短い物語も同様に過去へ送るが、前の物語から約二十年後の話になる。
✴︎
ㅤ携帯電話に、一つの通知が入る。
『新しいリアルプレイングゲームの始まりです』
ㅤなんだこれ。こんなアプリとってたっけ。疑心と好奇心で思わず通知をタップする。そこに文章の続きがあった。
『
ㅤは? ㅤなんで自分の名前が。悪質な嫌がらせか? ㅤこれ名前だけ変えて送られてくるやつ?ㅤ でもこのぶっ飛んだ内容で詐欺ってよくわからないし。身近な誰かの程度の低いイタズラか?
「
「通知?ㅤ そりゃなんかしらは来るけど」
「そうじゃなくて。まぁいいや」
ㅤこの反応は何も来てなさそうだな。いや、待てよ。まさかこいつ。こんな通知信じて、一兆円もらおうってわけじゃないだろうな。ちゃんと確認しておいた方がいいか。
ㅤそう思っていたところに、もう一つ通知が来る。
『こんにちは、ぼくは魔王。このリアルプレイングゲームは、単なるイタズラではありません。壮大なイタズラです』
ㅤうーん。なんかめんどくせぇ。こんなの無視してもいいんだろうけど、万が一。いや、億が一。兆が一。みんなのケータイに同じのが届いていたら、いくら意味のないイタズラであってもなんか嫌だ。
→友輝に再確認する
友輝に再確認しない
「なぁ、友輝。オレのケータイにこんな通知来たんだけどさ」
「はあ?ㅤ なんだこりゃ」
「一応、友輝のケータイにも同じ通知来てないか確認させてくんない」
「いいけど、その確認ってなんの意味があるの」
ㅤなんの意味? ㅤなんの意味、か。とりあえずオレ以外のケータイにも送られているかどうかの確認ができる。と思ったけど、友輝だけには送られていないとかだったら証明にならないか。
でもこうして友輝のケータイだけじゃなく、反応を見てみると、確証はなくてもオレをどこかに連れて行くようなやつじゃないってふうに思える。その前に、この謎の通知を信じる方がどうかしているし、だいたいオレは友輝の家に
「おい、もういいか? ㅤ返せよ」
「ああ、悪かった」
とりあえず一安心だ。オレのケータイ以外には送られていない可能性が一応生まれた。だとしたら、なぜオレに送った? ㅤそれとも元々オレに送るつもりはなく、ランダムで届いた?
ㅤ何者かが金をぶら下げてオレを連れ去ろうとした。ところがその通知がオレ本人に届いてしまった。そんなバカなことがあるか? ㅤていうか一兆円って。
ㅤ金額はともかく、オレを探しそうな人物として思い当たる人はいる。親だ。親くらいしか思い当たらない。
ㅤただ、その親がいったい何をしようとしている? 「新しいリアルプレイングゲーム」ってなんだ。まず前のを知らんがな。
ㅤちょっと待てよ。もしかして、本当に前のがあるのか? ㅤ前のリアルプレイングゲームが。早速、それとなく検索をかけてみる。でも特に今回の件にピンとくるようなのは出ない。迷惑通知とかでも出ない。
「友輝さ、お前まだ中学行ってるよな」
「勇姫に比べたら」
「じゃあこのリアルプレイングゲームについて何か手がかりないか調べてくんない」
「はあ? ㅤそんなよくわかんねぇ通知気にすんなよ」
「いや気にしてるってかさ。もしどこかのバカがオレを探しに来たら怖いじゃん?」
「気にしいだなぁ。わかったよ、そしたら明日帰ってくるまでここで待ってろ」
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