吟遊詩人といえば、みなさんは誰を想像するだろうか?
直近のファンタジーものなら、平成最後の吟遊詩人がアニメ「ゴブリンスレイヤー」に登場している
といっても、あちらはむさいオッサンである
一方、本作の吟遊詩人=主人公=シオーネさんは黒髪ポニーテールの見目麗しい女性だ
勝ったな、この時点で令和の勝利である。アドが違う
本作は作者特有の日記スタイルを採択している
物語として成立する日記なので、とうぜんクオリティーが異様に高い
執念じみた努力でセリフは地の文に落とし込まれているし、無駄な描写はゼロに近く、主人公と同じように飲酒をした状態でも読めるほど滑らかな出来映えだ
そう、言い忘れていたが、シオーネさんは酒クズである
クズ系主人公、或いは飲酒系主人公は星の数ほどいるが──彼女ほど筋金入りの酒クズはまずいないだろう
酒を飲むためならあらゆる手練手管を使ってくる真の酒クズムーブは一見の価値あり
是非とも本編で堪能して頂きたい
クズだクズだと失礼なことを書き連ねているが、無論褒め言葉で
ついでにいえば、シオーネさんにもいいところがある
彼女の魅力というか、『雨の日に子猫に傘を差すヤンキー』のような味わい深さは読んでみないと解らないので、とりあえず目を通して欲しい
いや、本当にいいところはある
たぶん、おそらく、メイビー……?
いろいろ書き連ねてきたが、本作は文句なしに面白い
カクヨム黎明期に書籍化をもぎ取った作者が、久方ぶりに筆を執った完全新作
それがどんなものに仕上がっているか、ぜひともその目で確認されたし
以上!