第5話 偽装夫婦、○○。

 シオリが湯船に入りロードとふたりで浸かること数分。

(し、シオリさんが心なしか徐々に俺に近づいてきてるような・・・)

(うふふっ、ロードさんがわたふたしていてかわいいです♪)

 シオリはいつになく積極的にロードへアプローチをかける。

(もう少しでロードさんの肌に触れちゃいます♡)

(シオリさんが・・・近い・・・!)

 ロードへと近づくシオリ。

 ふたりの距離はゼロに近く、少しでも動けば触れ合えてしまう。

 静寂が場を支配し、音が鳴るのはふたりが動いて生じる水の音のみ。

 見上げれば雲ひとつない満点の星空。

 隣から微かに聞こえる息の音。

 シオリがロードへ距離を詰めてから更に数分。

 お互い顔を合わさず無言のまま。

 両者ともに緊張している様子。ロードにアプローチしていたシオリは何処へやら。先程とは打って変わって緊張しているからか縮こまっている。

 それを気にしたロードが左に居るシオリへと顔を向ける。するとシオリも右に居るロードに顔を向けて───。


 お互いの瞳が絡み合い。

 呼吸をするのも忘れて。

 無意識の内に顔を近づけ。

 ふたりの唇が。










 ゆっくりと、重なった───。

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