第21話 待ち合わせ時の作戦

『申し訳ないと思わせない。待ってないということを伝えよう。』

『心配させない。服装をほめて、安心させよう。』

『悲しいと思わせない。相手をじっくり見て、変化に気付いてあげたり、話をよく聞いてあげよう。』


 この3つを実践しないと。


「それで、律くんは早いですね。まだ待ち合わせ時間から30分はあるというのに。待たせてしまいましたか?」


 おー、めちゃくちゃピッタリな質問きたー!本当にネットで調べておいて良かったー!ネットは神だっ!


「いや、待ってないよ。えーっと……いま来たとこ。」


「………ふふっ。私を安心させようとしてくれたんですね?少なくとも、一分前にはもういらっしゃってましたよね。私、遠くから見てたので。」


 な……!いま来たとこ……なんて言わなければ良かった……。待ってないよで終わらせとけば安心させることができたのかもしれないのに……


 ん?……ってか、今さっき遠くから見てたって言ってなかった?……………………まぁ、気のせいだろう。僕の願望なんだろうな。


 それで、第1作戦はバレてしまったけど、第2作戦はバレないようにめちゃくちゃ自然にしてみよう!


 で、服装を見てみる。いつも見ている制服姿ではない、私服姿だからか、すっごい新鮮で可愛い……!いつもと違った東雲さんっていうか……



「可愛い………!!」


「……へっ?」


「……え?」



 今………僕、なんて言った?



「あ……ありがとうございます……!」


「ど…どうも………」



 照れている……のかは分からないけど、お礼を言っているとこから、声に出てしまったのが分かった。否定しようと思ったけど……でも、褒めれたんだし成功ということにする。うん、オッケー。


 それにしても……恥ずかしい……


 …………じゃ、じゃあ次は変化?


 うーん………私服だからいつもとは変化あるけど……そういうことじゃないと思うんだよなー……。


 …………って、あ!


「…………あっ、もしかして香水とか付けてみたの?すごいいい匂いがするよ。」


「は、はい……。本当ですか?それなら、良かったです。ちゃんと合っているのか不安で……」


「すごい合ってるよ。これって、なんて香水なの?」


「それはそのー……ひ、秘密です……」


「……そ、そう?分かった。」


 なんで秘密にするんだろう……………ん?今思ったんだけど、なんかこの香水の匂い嗅いだことがあるような……。確か……楓さんがつけていたっけ?


 たしか、蓮とデートするときにつけていたよね。結婚運を上げると言われている香水で、………とかなんとか。


 …………………………って、はっ!?


 いやいやいやいや!!そんなことはないでしょ!東雲さんがつけてくるなんて……。もしかして……………………いや、思い込みはいけない。そうだっ、付けている香水の噂とかを知らなかったとかなのかな?うん、そうだ。きっと、そうだ。


「どうかしましたか?」


「……い、いやなんでもないよ。じゃあ、ショッピングモールの中に入ろっか。」


「そうですね、名いっぱい楽しみましょう!」


「「おー!」」


 僕は、気のせいだということにして今は普通に楽しむことにした。そして、ショッピングモールの中に入った。


「まずはどこに行く?」


「どこ行きましょう?オススメの店と言っても、両方ご飯を食べるところなのでまだ早いですし。そうだ、ゲームセンターとか行きませんか?行ったことなくて……。楽しそうだなって思ってたんですけど……」


「じゃあ、行く?」


「い、いいんですか?」


「うん、いいよ。どこにいっても東雲さんと遊ぶのは楽しいと思うからね。」


「そ…そうですか……!!」


「うん。じゃあ、さっそく行こ。」


「は、はい…!!」


 顔が少し赤くなっていたのはなんでだろう?そんなことを考えながら、僕は東雲さんと一緒にゲームセンターの方へ向かったのだった。

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