第18話 聖女様の膝枕?

 僕は、なぜか東雲さんのお母さんと一緒に、ご飯を食べている。なぜそうなったのかは……当人の僕にも正直よく分からない。


「それで、学校での琴葉とかどうなの?きちんやれてるかとか気になってね。」


「んー……やっぱり東雲さんは、人気な人っていうか、いつも教室の中心にいるっていうか、すごいやつですよ。」


「おー、琴葉は授業のことばかりで人間関係とかなにも言わなかったから、結構心配だったのよね。」


「へぇー、あっ……でも、友達だちはあんまりいないって言ってました。やっぱり東雲さんは可愛いから、東雲さんというより付き合うということを目的として近づく人なんていますからね。」


「ほぉ〜、可愛いね〜!琴葉のことを、可愛いって言ったね?」


「あっ……ほ、本人には言わないでくださいよ。すごい恥ずかしいですから。」


「じゃあ、律くんからみての琴葉はどう?」


「僕の呼び名は律くんに決まったんですか……。まぁ、いいです。東雲さんは、まぁ僕からみたら『アニメのヒロインみたいな人』かな……。」


「例えば……どういう所が?」


「いや……うーん……人ができているっていうのかな?あと、一生懸命なところとか。それがすっごい可愛くて。なんか、アニメか!って突っ込みたくありません?」


「んー?分からないけどなー?まぁ、でも琴葉のことをどう思っているのかは分かったけど。」


「………ん?」


「まぁ、いいわ。それで、冷めたら熱いときよりも美味しくなくなるから、早目に食べて。」


「あっ、そうですね。すみません。」



 そして、ご飯を食べすすめる。同じ材料で同じ作り方で作ったらしいのだけど、やっぱりどこか違っていて、本当に不思議。



「「ごちそうさまでした。」」


「美味しかったです。それにしても、東雲さんのご飯とか大丈夫ですか?」


「美味しかったって言ってくれてありがとう。それで、琴葉の分は作ってあるから、起きてきたら渡すつもり。」


「そうですか。………なんか、お腹いっぱいになるとすごい眠くなってきますね……。」


「それなら、そこにソファーがあるから、そこで休んでからいけば?」


「……すみません、本当にご迷惑お掛けして。では、お言葉に甘えてそうさせてもらいます。」



 そして、リビングにあるソファーに寝転がった。すっごいフカフカで、僕の眠気をさらに促している。


 やば………。寝そう……。


 ソファーなんて、生まれて初めて使わせてもらったから、すっごい柔らかく感じて、離れたくなくなる。でも、離れないと……眠ってしまいそう。


 いろんな葛藤があるうちに……眠ってしまったのだった。



「ん……。」



 なんか……すっごい寝ている床が柔らかい……。そうか、東雲さんの家のソファーで寝ていたんだっけ。


 それにしても……こんなに暖かかったっけ?寝ているうちにソファーが熱でも持ってしまったのかな?


 グラッ……


 あれ?なんか、ソファーが動いたような?まぁ、なんかマッサージ付きみたいな物なんだろうか?お金持ちは違うなー。



「……え………ちょっ……」



 ん?なにか声が聞こえたような?ソファーって、喋るものなんだっけ?まぁ、最新の物はそうなんだろう。


 ……………っていやいや!ここまでくればさすがにわかるよ!なんか、絶対におかしいって!!



「……………え?」



 僕は、絶対におかしいっていうことに気付いて、眠くてあまり開けようとしなかった目を開けてみると、なぜか僕の正面には東雲さんがいた。ちなみに、同級生の方ね。


 どうなっているのか分からなかったけど、冷静になってみると分かった。


 これ……膝枕されてね?



「………………え?ちょっと……え?」


「目……目を閉じててください……!」


「なに、これ……?ど……どどどどういうことなの!?え……いや……え!?」


「ホ…本当に動かないでください……!本当に恥ずかしいんですから……!」



 本当にどういうこと!?やめようとしないってことは、偶然こうなったとかそういうことでもなさそうだし……。本当にどういうこと!?



「本当にこれはなぜ……?」


「いや……あの……ここに届け物を持ってきてくれたので……。お母さんになにかした方がいいかなって聞くと……膝枕すると喜ぶよ……って。だから……!」


「………お…おぅ……。」



 ありがとうございます、お母さん!ちょっとからかってくるのが恥ずかしかったけど、あなたは、いい人ですっ!



「これ………いつまで続く……?」


「ちょ……ちょっとだけ……。」



 少し、恥ずかしかったけど、やっぱりこんな機会なんてもう2度とないだろうから、僕はこれを楽しむことにした。


 本当に……ドキドキしていて膝枕は普通、身体を休めるときとかにするものなんだけど、そんなことできそうになかった。


 でも、良かった。


 たまに、目を開けたくなるんだけど、東雲さんのちょっぴり赤くて恥ずかしがっている様子が……本当に可愛らしくて……何度でも見ていたくなる。


 そして、ちょっとだけとか言っていたのに、これが終わったのは1時間後となったらしい。


 ちなみに、その後東雲さんのお母さんに送ってもらって家に帰った。

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