福音響きて

名もなき導師の記述

 彼の人は我らに新たな土地と光をくださった。

 悴む命が温かくなっていく実感が、確かにあった。


 ほどなくして、彼の人は土地を離れると言われた。

 私が「なぜか」と問うと、「定めだ」と答えられた。


 私は彼の人に付き従う許しを請うた。

 しかし許してはいただけなかった。


 彼の人は私にこう言われたのだ。

「この土地に残り、汝が神の教を残していくのだ」と。

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