第130話 想定はしてないの?
『副長より作戦全機、相手は戦闘機だ、撃墜は狙わなくて良い。散らしてくれ』
『1小隊了解』
『ITS了解』
『では、各隊状況開始。ブリッジからは以上』
『037から612、聞いてたわね? ついてきて』
「コピー、037に続きます」
『
――索敵部隊、っていうことは結構ちょろい?
『単純にそう言う訳には行かないかな。武装もしてるし、前線まで出てくる以上は撃墜されない自信がある、って言うことだからね』
リアルタイムで送った分だけでなく、採取した情報、経験までを全てを持ち帰る。
索敵部隊もそれはそれで大変な仕事である。
『間もなく作戦空域到達、全センサー最大解放。612、本機とセンサー同調。それと目視も大事よ。なにも見落とさないように』
「イエス・マム。コピー、センサー最大で037に同調」
視界の先に基地が見えてくる。
基地の迎撃部隊は空に向かってバンバカ撃ってるけど相手は戦闘機。
そう簡単には当たらないのだけれど。
とは言え。……数が足りなすぎだろ。
「襲われる想定はしてないの?」
『おなじみの”発見が致命的に遅れた“、というヤツね。もっとも、発見が間に合ったとして高射砲が3機に迎撃ミサイル小隊2個と、戦闘機が
いきなり上空にいる戦闘機群の編隊がバラける。
『小隊全機、目標は12時12分。+200の戦闘機小隊2機』
『目標確認、112は最大加速で正面から向かう。隊長、援護を』
『了解、任せるぞ。俺は右、113は左だ』
『イエッサ―』
あっちは放っておいてもいいんだろう。
普通に戦闘機三機分の戦力が増えた、と数えていいんだろうか。
『この戦力差でまだウチのドラゴンフライが
――ドッグファイト上等!
の中尉の居る1小隊だから、それでいいのかもしれないな。
「で、ここの基地はなんの実験してたの?」
『戦闘機の重武装装備標準化。ドラゴンフライ・シーボルディ。ドラゴンフライの重武装仕様の試験。こないだの重マシンガンはここの実験機のヤツだったのよ』
「ただの戦闘機にアレ積んだらそれこそ堕ちるんじゃないの?」
『一丁しか積んでないし、そもそも無理やり飛んでるBAよりは条件は良いのよ? 翼やハードポイントも初めから専用品だしね。マウント自体だけで無く、取付位置も初めから応力とか計算して補強してあるし、エンジンも出力カーブやマッピングまで全部見直してる。既に暫定使用は実践に投入してるしね』
なるほど、撃ち過ぎたら失速するとか翼ごともげるとか、そういうことはないんだ。
――って、俺のことなんだと思ってんだよ……!
他から持ってきたからバランス、悪かったんじゃないか!
しかも本家でさえ補強した本体に一丁しかついてないのに、翼にダブルで付けるとか。
どうかしてるでしょ、マジで……。
『気持ちはわかるけど、そう言わない。優秀なパイロットだと目されてる、ってことだからね。おっと。――037
編隊を組んで飛ぶ戦闘機が三機。
うーん、でもさ。
「コントロール、612も目視で確認、……うち1機はグンニグルではないと思われる、データ送る。至急解析乞う」
爆弾でも増槽タンクでもないようだけど。なんだろ、どっかで見たことあるような。
そしてカタチとしては後ろを取ったはずなのに、ちっとも距離が変わらない。
もともと空を飛ぶための機械、戦闘機と用意ドン。では勝てるわけがないんだけれど。
攻撃力だけならこっちが上。
ただ、向こうもこの空域を離れられない事情はあるようで、地味な鬼ごっこが続く。
『あれって、グンニグルの重装型が爆装してるだけじゃない?』
「爆弾じゃないと思うよ、たぶんだけど追加のレーダーに見える」
『うーむ。……あ。うは、その角度で良く見えたね。確かにそうだわ』
おぉ、状況判断で姐さんに勝った!
『RB037からCICに補足、敵3のうち1機にレーダーアレイと見られる装備を確認』
『CIC了解』
実は昨日、そういう形のレーダーがある。と資料で見たばかりだったのを思い出した。
学校以外でも大事なんだよ、勉強。
『CICからITS、確認中の敵戦闘機は、攻撃機AA106-MRb5、グンニグルmk3が2機と、SA1063-EW、電子戦哨戒機マチェット1機と思われる。データ送る』
『コントロールから037、飛行型BAは目視できないか?』
『こちら037。かなり高空でレーダーに感は出ていますが、視覚偽装を展開していると推察。目視及び光学観測は不能、未だ詳細不明』
光を捻じ曲げて、視覚的に自分の姿を隠すプリズム迷彩。
光学迷彩実用化のめどはたった。と教科書には書いてあったけど。それが連邦のBAに搭載されてるなんて初耳だ。
技術的に連邦が進んでるものだってあるよな。
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