第127話 設定、専門用語他2

地上戦型アールブⅡ砂漠仕様改 XBA-09Rb/ⅡeexB

アールブⅡ地上専用型砂漠仕様 特殊装備開発用試験機

特技専 独立戦術航空隊クレセント教導小隊2番機 CP612


 元から過敏すぎる、としてパイロットの如月からは不評だったのだが

 さらに機動性、旋回性を上げるために翼そのものを変更。

 可変型の前進翼、というアバンギャルドな見た目になり、翼自体も面積

 長さ共に減少。見た目の長さは2/3、幅はほぼ半分になった。

 固定翼部分が大きくなり、翼はバタフライナイフのように前方向に可動する。

 

 e系アールブとは完全に違う見た目と、一線を画する機動性を手に入れた。

 一応建前は、あまりに簡単に失速するのでそれをしにくくする、ということに

 なっており、こちらは予定通りにかなり改善された模様。


 また、完全に翼をたたむとかなり面積は小さいがデルタ翼形状となり、

 大気圏内の最高速だけならアールブⅡ/6をややうわまわる。

 ごくわずかだが最大速度域での燃費も改善している。

 

 その他の部分の見た目はそこまで変っていないのだが、飛行モードの

 見かけ上は完全にe系アールブとは別物になってしまった。


 翼下のミサイルラックは左右一個ずつに数を減らして翼の根本、

 面積の増えた固定翼部分に移動。

 戦闘機モード限定で使用できる機体下面の2つあるハードポイントも1つに減ったが、

 許容重量が増えている。


 全体重量は若干増えたものの、BA形態時には重心がセンター寄りになり

 重量バランスが大きく改善、意外にも機動性が向上した。


 動力系も前回、オーバーロードからの機器損傷で止まってしまったことを受け改修。

 配線から全面的な見直しがなされ、可動部も必要以上のファインチューニングが

 施されて、飛行、人型両形態で、より過激に過敏に、神経質になった。


 全部を機動性に振ったため、飛行形態では安定して飛行すること

 それ自体が非常に難しくなってしまい、最大重量フルロード状態でカタパルトから

 離陸できるだけですごい。と言われるほどに気難しい機体になってしまったが

 キサラギによると、離陸だけなら元のバージョンよりもかなり楽になったようだ。


 終盤。ローラが搭乗し砂漠の盗賊団を薙ぎ払ったが、当人曰く

 ――あんな不安定な機体でBA戦などボクには無理だ。

 とのこと。


 

 今回は、専用トンデモ兵装の中からラムパートバズーカを装備して出撃。

 これはバズーカと名前は付いているが、小型地対地弾道ミサイルのキャニスターを

 二つ束ねてアールブサイズの手持ち兵装としたもの。

 本来はミサイル四つ分のキャニスターをまとめる予定だったが重量超過を

 クリア出来なかったため仕様変更した模様。


 また今回は何らかの特殊弾頭の実験を兼ねていたらしく、マニィが

 ――旧時代のnuclearでないから良い、と言うわけではない。

 と言って艦長に不満を漏らしている。


 射撃時は肩に固定した上で両腕を使用して保持するが、片膝を付いた安定姿勢が

 求められる。

 作中のローラは威嚇のために片腕で立ったまま照準しているが、その姿勢で

 射撃した場合、右腕の他、頭部、バックパックが吹き飛び

 脚部にも致命的な不具合を起こす可能性が高い。

 距離的にも間違い無く、爆発に巻き込まれる位置でもある。


 移動形態でも使用可能だが、射撃時にほぼ最大速度で無いと反動で

 失速、墜落する。

 ローラが射撃するまで時間がかかったのは位置調整の他、射撃のために

 上空待機状態からの再加速の時間が必要だったため。



 CP612自体に固定兵装の装備が無い上、重量がありすぎて他の武装は

 装備ができないので、二発を打ち終わるとあとは武装が無くなる。


 但し破壊力は半端ではなく、アールブはあとかたもなく粉砕された上溶解、

 全体がほぼ蒸発。

 ミサイルの直撃にも何度か耐えてきた旧時代のスポーツ施設とみられる

 ドームも簡単に崩壊させている。

 100キロを切る超至近距離から約100mの低空で水平発射された

 弾道ミサイルには、連邦内でも高評価のミサイル防御システムさえ

 なすすべが無かった。

 

 また、弾頭については国際条約ギリギリ、新共和地上軍が実証実験

 自体を躊躇していた代物。

 今回は爆発の余波で地面にクレーターをうがち、地形を変えるほどの

 破壊能力を示しただけでなく、このような兵器をBAに装備し移動、使用が

 できることを実証することにもなった。


 如月は気が付いていないが、大出力破壊兵器を運用するための

 爆撃機や攻撃機を減らせる可能性が出てきたということで

 新協和防衛軍の兵器開発関連部署からは大きく注目されている。

 ローラがあえてパイロットをかってでたのはこの為。


 BA自体は多目的用途ではあるが、基本はあくまで局地戦用戦闘兵器の

 位置づけ。612については作戦全てをBAで行い一般兵器を削減する。という

 新協和軍の要望に沿った実験でもあり、如月が言うように

 メカチーフが趣味で作って喜んでいるだけ……。

 と言うわけでもなさそうである。




アールブ・早期警戒/電子戦仕様 重力下専用型試作初号機

XBA-09Rb/w・eD アールブ・スカウト極超長距離狙撃仕様


アフリカ方面軍 北アフリカ機動師団

リビア駐屯地 第三航空団所属 Ar3-628

 

 民間軍事会社ITSのエマ・クレスト大佐と、同じくITSクサナギ・ロス少尉が

 情報取集任務に使用するため、方面軍リビア駐屯地が貸与した機体。


 もちろん、ナミブ所属のES301を偽装した機体である。


 今回は新協和アフリカ方面軍、北アフリカ機動師団リビア駐屯地から

 民間軍事情報会社【ITS】が限定的に貸与された、という設定で

 機体ナンバーをAr3-628に変更、機体色は変わらないが

 通常、黒の帯が非正規部隊をあらわすダークオレンジに変更されている。



 機首の新協和章の位置には、民間軍事会社であるITSの骸骨のマークが付く。

 通常ライフルに見えるのは射出型データポッド、通称データライフルだが、

 今回は汎用性試験もかねて、軽量化を施したウルトラスナイプライフルを装備。

 

 いくら軽量化したとは言え、かなりの重量があるので外付けレーダー機器など、

 外せるものは全て外し索敵能力は通常の1/5前後になっている。

 但し、基本が索敵仕様機であるので前回CP612で運用したときと違い、

 電波障害や視程障害がなければ最大で12キロ強までロックが可能。

 という異常な性能を持たされているが、もちろん弾丸には目標追尾の

 機能などは無い。

 

 データ取りは十全とはいかなかったが、この任務後、元の仕様に戻されている。









アールブⅡ全領域型  特技専 独立戦術航空隊2番機

アールブⅡtype7 ルビィズ アウローラ・ハーベイ特務少尉専用機  

BA-09Rb/Ⅱ7r RB041



 見た目は変わらないが、RB037のマルチスティック仕様に興味を示し

 同じく操作系を操縦桿一本になるように改修した。

 037よりもアップデートは進んでいて、ボタンの位置や大きさなど

 操縦桿のデザインはかなり違う。


  ※BAの操縦中に片手が空くのは、ある程度の技量がある場合は

   当たり前だがローラの言う通りアドバンテージになる。

   また041の場合、ワンタッチとはいかないが、037とは違い

   操作系を標準仕様に戻すこともできる。


 また、合わせてナーバスの制御プログラムも変更、動作介入領域を

 増やしリミッター上限もあげているが、現状は問題なく動いている。

 ※これについてはパイロットがマニィやローラだから、と言うことでは

  なかったようで037、041のデータを元に、全軍のナーバスの設定や

  プログラムの見直しを始めている。


 RB037の稼働実績のデータが結構よかったこともあり

 元がルビィズ仕様なので機体形式に試験機を示すXナンバーはつかないが

 事実上、612と同じ程度の大改造をうけていると言って良い状態。


 ナーバスの上限限界の変更はもちろん、マルチスティック仕様を全軍で

 標準化できないか本国の工廠がこの機体の運用データを解析、

 本格的に検討を始めている。




全領域型BA アールブ(Ⅰ)・旧型アールブ

BA-09Rb アールブⅠ型



 Ⅱ型やⅡ地上型の増産は進んでいるが、1,000機以上が生産され

 今も宇宙空間、地球上の双方で運用が続く初期型アールブ。


 今回、傭兵の駒として登場したのはかつてアフリカタワー攻防戦に参加し、

 撃墜されたもの複数機を素材にして 作った とみられる機体。

 機体ナンバーなどは電子的なものも含め完全に抹消。

 変形も出来ずにBAモードのみで運用されていた模様。


 この機体に関してはカタチだけ組み上げた、という感じに近く

 本格的な機動戦やBA戦などは不可能である。

 と言うのが機体を直接見たマニィの評価。

 また、如月から酷評されたパイロットもナミブ所属の各員には及ぶべくもなく

 実際にただ動かせるだけ。程度のレベルであったようだ。


 今回も相手が武装の無いアールブスカウト一機だけであり、

 他のバックアップも無し。と踏んで動かして見せたもの。


 ここまでは、ほぼこけおどしのために使っていたようだが

 ジャンク屋にパーツを奪われた、と言う事実の証拠隠滅の

 意味も込めたラムパートバズーカの直撃を喰らい自走キャリアごと、

 部品回収不能なまでに粉々に爆散、機体の大部分はマニィによれば

 一段階目の爆発の余波でほぼ蒸発してしまったらしい。 





地球連邦軍

強行偵察型バトルアーマー キャサワリィ TT9057-FST

FSTはフォースドスカウトタンク 愛称はヒクイドリ

 

 オストリッチ部隊と同行する索敵、電子戦用装脚戦車を置き換えるために

 企画された機体。


 連邦アメリカ軍団の工廠が、投入され始めたアールブEWACをひな形にして

 ターミガンの動作試験骨格2号機を、オストリッチに随行する強行偵察型として

 再度設計し直し、そのまま艤装したもの。

 プロトタイプ零号機のみ乗員二名だが、以降の機体は一人乗りに変更されている。


 プロトタイプ零号機では小型航宙駆逐艦同等、というかなりオーバースペックな

 索敵機器が搭載され、車両形態の上面、キューポラにあたる部分を追加増設する

 ことになり変形後も背中部分に索敵機器が大きく突き出す形になる。

 プロト零号機以外にはこの装備はない。


 索敵性能的には申し分なかったが、さすがにパイロットの負担が大きすぎたため

 索敵機器については零号機のデータを鑑み、後に大きく見直しをされている。


 零号機だけはオストリッチの量産試験開始直後に完成。

 それ以外はかなりのラグののち、ターミガンの生産開始後に制作されている。


 型式番号はターミガンの試作機、実験機を示す905だが、

 このまま20輌弱が作られ、全機連邦軍アメリカ軍団の

 中央アメリカ管区と南アメリカ管区に配備されている。

 他の地域での配備実績はない。

 

 本来想定された使用用途としては、前線での現地戦闘指揮車としての

 s型アールブや、ナーバスを生かした早期警戒機アールブEWACのような

 運用であったが、試作初号機以外のロールアウト全機がレールガンを標準装備し、

 最前線のエースパイロット専用機として運用されている。


 これはたまたま数あわせで投入された作戦で、初号機が新協和BA隊との格闘戦で

 異常なほどの成果を挙げたところから。 

 但し、試作初号機はその戦闘で大破、修理不能となっている。

 零号機以外のキャサワリィは索敵機器の規模が1/5になっているが

 既存索敵車両比ではナーバスの補助もあり、比較にならない索敵能力を持つ。



 変形前はターミガンと同じ5軸10輪の構成

 平地で舗装路なら最高速は一〇〇キロを越える。

 重量は大幅に増えたもののバランスを見直し、全ての路面で

 ターミガン同等の最高速を維持することに成功した。


 零号機以外は車体前方にレールガンを装備し、変形後は左肩にとりつくが

 砲身が長いためそのままでは取り回しは悪い。

 但し次弾発射までのラグは短く、一秒間で二射できる。

 射撃時以外は機動や視界を阻害しないよう、上方に向く

 格闘戦時は切り離すこともできるが、切り離し後は手持ち武器として

 使用することはできない。


 オストリッチと同型のマシンガンを装備するが

 レールガンと同時装備の場合、こちらは移動形態では使用できない。


 

 人型形態時は超高機動型として最低限の装甲しかないため

 かなりスリムな見た目になるがこれは対レーダー対策で

 余計な装甲を全て取り外した結果でもある。

 格闘戦などを想定して軽量化のため、タイヤをパージしさらに機動力を

 上げることも可能だが、パージ後は自力での再変形は不可。


 その他、初号機は格闘専用の武器として、レーザーランスを装備

 以降の機体は技術の進歩によって柄の部分がだいぶ短くなり

 ブレード部分が二倍以上の長さになったレーザートーチを標準装備。


 初号機はダークグリーンとディープブルーにパイロットのパーソナルカラーである

 エメラルドグリーンのラインがあしらわれていたが

 通常型はダークグレイ、もしくはダークブルーに青のライン。



 BA形態ではレールガン装備状態でもアールブⅡを機動力で圧倒するほど。

 但し、異常なまでに高機動なのは、設定と運用を見直し

 パワーを全て機動に回しているからで、カテゴリーこそ

 強行偵察型となっているが、作戦行動時間はやや短めのターミガンの

 さらに2/3しか無い。


 今回はシミュレーター内の仮想敵として登場したが、ローラには

 まるで歯が立たなかった。



 この機体の経験をもとに戦闘力を持った強襲索敵型BAとして

 TT005量産型ターミガンをベースとした


 TT0054-AST カカポ ※ASTはアサルトスカウトタンク


 が量産されることになり、装脚戦車型索敵車両は役割を大きく減らすことになる。

 カカポはアメリカ、アジアでの配備が始まっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る