第119話 ありえないでしょ

「うるっせぇ! リビアにも借りがあるこったしな! その機体、こっちでもらい受けるぜっ!! ――女とはいえ情報屋、生かしておいちゃ後々面倒だ。良いな? 気にしないで殺せ!」


 ガシャガシャと音を立てて複数の銃口がこちらを向く。

 はじめから新共和防衛軍自体と仲が悪いんだなこの人達。


「バリア・アクティベイト!」

「撃て!」


 ほんの少しだけ姐さんの言葉のほうが早かった。

 そしてマシンガンの発砲音が響く中、

【Active Barrier in operation. Operating rate of 2%.】


 301の平坦な音声がイヤホンに響き、目の前に迫ったマシンガンの弾道は全弾、あらぬ方向にねじ曲がる。

 バトルアーマーのライフルを跳ね返して、レーザーをねじ曲げるバリアだからね。

 アサルトライフルの弾丸くらいはなんの問題も無いのは道理だ。

 わかってたって、生きた心地はしないけど。


 バリアより、はじめからここまでの展開を読み切ってた姐さんがスゴい。

 でも初めからこうなるのわかってたなら、何しにここに来たんだろう。 



「なにしてる! 構わないからランチャーで機体ごとぶっ潰せ!」


 デカいバズーカや、二人がかりで操作する大型機関銃も火を吹き、まわりが爆炎に包まれるが。

 さっき姐さんがサングラスに触れた時点で、301のパッシヴバリアも既にオン。

 手持ち火器が直撃したくらいでは、致命傷にはほど遠い。BAが最強兵器たる由縁だ。


 もちろん、引き続きアクティブバリアに包まれてる俺たちにも何の影響もない。


「おい! 攻撃、通らねぇぞ!」

「くそったれが! どうなってやがる!!」



 ――ぱんっ! ぱんっ! という乾いた音が何回かなる。


「ホント、バカなのね。この状況下で気を抜くとか、ありえないでしょ」


 

 アサルトライフルを持った5人が胸や額から血を吹き出してその場に崩れていく。

 姐さんの右手には正式拳銃の中でも一番大きなタイプの銃が握られている。



 距離によってはボディアーマーどころか鉄板さえ撃ち抜く。と言うパワーの分、反動も凄まじいので、必ず量手持ちかつ、命中精度が軍用拳銃としては異常に悪いので、相手を牽制、威嚇するような用途以外であまり使用される例は無い。

 みたいな説明を読んだことある気が……・。

 なにより、”女の子“が片手で何気なく撃っていい銃ではいんだが、


 ……まぁ、全弾命中。だね。


 だいたい、いつバリア解除したんだよ。

 ランチャーやマシンガンを持った連中は、撃ち終わったそれを捨てて逃げ始め、トラックが砂を巻き上げてドームへ向けて急発進する。


 ――人に銃を向けていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだぜ。


 なんてさ。小説でも映画でも、ド定番のセリフだろうに。 

 しかもお前らがこっちに向けたの、グレネードランチャーだぞ!

 結局、リーダーの男を含めて三人しか残んないのかよ。


BAバトルアーマー、知らないわけで無し。まして索敵用の機体だよ? 多少強力なバリアくらい、ついてて当然でしょ」

「しょうがねぇ! ブライアン、武装はねぇんだ、やれ!」


 男が無線にがなると、少し離れたトレーラーの荷台が徐々に持ち上がり、荷台にかぶせてあったシートが落ちる。

 あれ、BA!? しかも旧型とは言え、アールブじゃないかっ!?

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