第103話 なんだと思われていたの? 私
『RB041からコントロール、オペ4』
「こちらオペ4如月。……おつかれ、ローラ。大丈夫?」
「身体は大丈夫だが、精神的にはかなり疲れた気がする」
あれだけ大立ち回りをしておいて
――身体は大丈夫。
だと? お前も本気で何処かおかしいぞ?
「横からクレセントよ、ご苦労様、良いデータが取れたわ。着替えたらブリッジのコントロールまであがってくれる?」
「イエス・マム、終了処理終了後、至急着替えてブリッジに上がります」
「そこまで急がなくて良いわ。よろしく」
普段ここに座ってるお姉さん達が近寄ってくる。
「お疲れぇロスマンズぅ、初めてオペ席に座ったとは思えないくらいに堂に入ってたねぇ」
まぁ、普段無制限で無線、全部聞いてるからね。
喋り方とかは真似できるけど、内容は一切伴ってなかった、と言いきれる。
通常態勢だったらローラはもっと楽にやれたはず。
「だから言ったじゃん、キサラギくんはカワイイだけでなくて基本、天才なんだよ」
そんな基本があるんだったら、楽チンだったんだけどね。
って言うか、カワイイのカテゴリに入ってるの? 俺……。
「いや、そんなことは全然……」
「まぁ、マニィの立場なら可愛い! って言う理由だけで弟子にできるかなぁ。なんて思ってたけどぉ、うーん、違ったね」
「実は才能ありまくりじゃん? 本職、パイロットなんだよ?」
「あのぉ、さ。……なんだと思われていたの? 私」
「私たちもカワイイ男の子の弟子が欲しいなぁ、って」
「べ、別にそういう意味でラギくんを拾ったわけでは……」
拾ったことは否定しないんだね……。
まぁ、拾われたこと自体は間違い無いんだけれども。
「ホントにないって言い切れるぅ?」
「おほん。……みんな忘れてるようだけど、彼は私の命の恩人でもあるので」
俺が居なかったらランパスは起動できなかった。ではなく、しなかった。
そこだけは間違い無く事実だな……。
一応、言ってるのは腕の止血のことだろうけど。
「そう言えば、そう言う設定だったよね」
「設定。って。……あのね、私が左腕のケガだけで……」
「まぁまぁ、そこは良いじゃん。マニィ、そっちもログにマーキングだけしたらさぁ。間もなく食堂開くそうだし、お昼にしようよぉ」
「腹が減っては、ってさ。さすがにルビィズだって
「ラギくん、せっかくのお姉さん方のお誘いだからいってらっしゃい?」
「姐さんは?」
「私は、1150から司令と艦長にお呼ばれしてるから……」
「うわっ、マジか。これからあの二人とお昼? ワーキングランチってヤツ?」
「うかつにエラくなんかさぁ、なんない方が良いよねぇ」
「ま。なれないんだけどね、私ら」
「軍でエラく。なんて、私はむしろ、なりたくないんだけど」
お姉さん達の胸には上等兵と兵長の階級章。
伍長、軍曹、曹長の下士官までは、仕事の成果次第では昇格できるらしいがその上。
尉官以上、士官となると事実上、昇格ができないらしい(※)。
尉官以上になる為には、キチンと学校で勉強した人でなくてはいけないらしい。
俺の付けてる准尉の階級章は、本来その学校に在籍してる人たちの階級なんだそうで。
その手の話を聞くに付け、なんか申し訳無いことしきりではある。
「あ。そうそう、お二人さん。おひるなんだけど。ラギ君と一緒にローラも。その……、誘ってもらって、良いかな?」
「全然構わないけどぉ、どうかした?」
「あの子には、同性にはあまり好かれない空気感があると言うか……」
「うん、正直、こう言うとき、誘って良いかどうか躊躇しちゃうよね、ハーベイって」
「表情がでないだけで、当人はそれほど気にしてないんだけど、ね」
これはウソだ。――誘われたら困る、どうしよう! と言うオーラを毎回ひしひしと感じる。
ここは当然、姐さんも知ってるはず。
とは言え。実はこのところ、人見知りはだいぶ解消されたのだけれど。
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※軍隊の階級については国や地域、時代によっても扱いは異なりますが
一般的な国の場合、軍の士官になるためには士官学校や軍学校を
卒業することが条件となってる場合が多いです。
新協和防衛軍でも、基本的にはこれに倣うようです。
マニィやローラのようにその辺をすっ飛ばす人もたまにはいるようですが。
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