第98話 設定、専門用語他2

新共和防衛軍 全領域気密スーツ


 標準ではダークレッドとガンメタルにシルバーの線が入った

 パイロットスーツで宇宙服兼用型の機密服。

 

 宇宙軍、地上軍、特務隊ともカラーリング以外はほぼ同じもの。

 特技専ナミブではラインがイエローに。

 ルビィズ仕様はブライトレッドでラインがピンクになる。


 階級章は通常の制服と同じく、左胸一ヶ所のみ。

 右腕に新共和略称、左腕に簡易階級章と所属部隊章が付く。

 ※如月は本来部隊章はアフリカ方面軍技術科か特技専になり

  階級章は外枠だけで無地のものになる。


 今回の演習時から如月のもののみ、ベースがライトグレイ、

 ラインも蛍光紫フル-レセンパープルで 起動状態のランパスを

 意識したカラーリングに変更されている。

 腕の階級章の位置には TEST/BA-09eexB の文字、

 新共和章の位置にはITSのマーク。


 テストパイロットとして技量を認められたのはもちろん、

 機体を降りたときに正規の兵員ではない。

 と言うことを強調する意味合いもあるらしい。



 戦闘機、戦車乗員はもちろん、他兵科の戦闘部署なども

 必要時には陸戦隊、海上隊以外は全て同じものを着用する。

 歩兵、工兵にあたる陸戦隊は専用の戦闘服、海軍にあたる海上隊は

 ある程度の耐水、耐水圧性を持った戦闘服がそれぞれ専用にある。


 空調機能があるので、砂漠に居る限りは昼夜問わず着用している方が

 実は快適。

 マニィは慣れるため、として如月に普段からシュミレーター使用時だけ

 でなくデータ確認時なども着用させているが、彼が文句も言わずに

 着ているのはこの為。


 メカマンやエンジニア達も、必要に応じて同じスーツを着る。


 ブリッジクルー等も、必要なときはほぼ同じデザインのものを着用。

 ヘルメットは、グラスエリアをやや広くとったデザインだが

 それ以外の意匠は、下に制服をそのまま着るため

 若干サイズがルーズに見える以外ほぼ同じ。


 新共和は地上用、宇宙用共に基本部分は同じものを使う。

 宇宙用で使うときには生命維持装置や各種タンクが必要になるため

 ヘルメット、胸部、背部、肩、上腕部に補機が取り着けられる。

 地上の戦闘機やBAパイロットは背中に小型のパックのみ。


 ローラが降りてきたときは宇宙装備状態で、如月はこの状態に対して

 ゴツくて重そう、と言う感想を持ったが基本は同じもの。 

装備重量は約一〇キロと重いが装甲としての役目は無い。


 動きやすさにはあまり影響が出ない様に設計されているが

 補機の大きさは全サイズ共通なので、如月の感想には

 彼女の身長と体型も多分に影響しているだろう。



 ヘルメットはバイザーだけでなく、首元を残して前面1/3程度が

 大きく開くフルオープン型。パイロットは操縦時以外はだいたい

 フェイス部分はオープンにしている。


 バイザーだけの開閉も可能で短時間の休憩などの時は、ほんの

 5秒ではあるが再度装着時の気密チェックを省略できるので

 この状態の時が多い。


 バイザーには遮光フィルターだけで無く、顔が見えないように

 鏡面フィルターを展開することも出来る。

 ローラが無線で初めて話しかけたときは、見た目で侮られる事を嫌って

 この状態だった。


 各所属ごとの違いはカラーリングやマーキングぐらいで、

 ルビィズ仕様も違いは色のみ。

 腰には右に小型拳銃、左にナイフが基本だが左利きは逆になる。


 マニィは右に拳銃のみ、本人曰くナイフの間合いは蹴りで対応する

 ので問題は無いらしい。

 如月は右に小物入れ、左に伸縮警棒を下げる。





アールブⅡ地上専用型砂漠仕様 特殊装備開発用試験機

XBA-09Rb/ⅡeexB 地上戦型アールブⅡ砂漠仕様改

特技専 旗艦ナミブITS付 機体ナンバー“CP612”


e2系D型仕様の初期ロットを、現地改造した特殊兵装試験機。

eexBはe2Dとの区別のために便宜上そう呼称しているもので

公式呼称は

XBA-09Rb/Ⅱe2D-ex ES2B Ver.B 2.32

(バージョンナンバーは今章開始時。毎日のレベルで細かくあがる)

になる。現場ではそのまま“612”と呼ばれることがほとんど。

 

※型式のXは試験機、exは改造機を、ES2は特技専の制作した

 2機目の実証試験用実験機であることを示す。


  ES2A案は机上プランのみの近接攻撃特化型。

  実際の試験機は遠距離射撃特化型B案の設計を基盤に

  A案の武装だけは、一部612専用の形で制作されている。

  ちなみにES1は前回“お使い”に使ったe型ベースの偵察機。

  既に特技専の制作した機体は退役し、ナミブで運用中の機体は

  アフリカ方面軍装備科で制作した公式試験機三機のうちの一機。



 部隊単位で複数の試験機が企画、作成されるのは防衛軍全体としても

 異例だが特技専に関しては、優秀な技官と有能な技師が

 集まっているうえ、カヌテ中尉以下、指折りのパイロットも複数

 所属しているために可能になっているらしい。



 クレセント教導小隊2番機こと、如月の機体 (のなれの果て)。

 ナミブの員数外であることと、如月の卓越した操縦能力に目をつけ

 ほぼ毎日、新規の理論を技官達が提唱し、BA担当のメカマン達が

 それを実証するために何処かに手を入れている状態。

 シミュレーターで結果の出た仕様については、即座に実機実装したうえで

 試験ができるのが開発の上で強みになっている。


 この為、外見こそ“似ている”が、内部構造に関しても一部フレームの

 撤去、補強などもあり、通常のe2Dとは、だいぶ変わってしまって

 本当に09系列に含めていいのか疑問だ、などといわれるほど。


 軽量化のため、戦闘機形態で機首に付くはずのマシンガンは撤去、

 本章開始時には前章までついていた対人用内蔵火器類も外され、

 BAとして異例なことに内蔵火器は無し。

 さらにこちらも通常、BAでは標準になっている補助シートも撤去され、

 完全一人乗りになっている。

 ファインチューンと補機の追加によりエンジンパワーは二割増しだが、

 その分燃費は大幅に悪化し、パワーを稼ぐため特性もかなりピーキー。


 e系アールブの美点である安定性、低燃費性を捨ててまで、

 パワーと飛行形態の機動性に重点を置いた極端な機体。

 このため、最大稼働可能時間はe2Dの6割弱で全領域仕様よりも悪化、

 最新鋭タイプ7のフルチューン仕様、r型と比較しても若干悪いが

 重力下での機動性については、若干だが上回ることが今回実証された。

 

 ぱっと見ではわかりづらいが、主翼も元になったE2Dと一緒なのは

 可変翼であることくらい。翼自体が薄くなり翼面積も大幅に減った。

 但し計算上では、ある程度の速度を超えると揚力はノーマルより

 増加するらしい。

 翼自体は今後も形状を含めて大規模な変更の可能性があるらしく、

 パイロットキサラギはうんざりしている


 この為、主翼を最大に縮めると全幅は通常よりかなり狭くなり、

 格納限界値は下回るのだが、格納スペース収納用の主翼折り畳み機構は

 残してある。

 これは計画の中心が格納庫のメカマンチームだからだろう。


 BA形態を含め、燃費や安定性を犠牲にして限界まで機動性にふった

 チューニングなので非常に乗りにくい機体だが、無装備状態で

 ただ動くだけならe2Dとは全く違う機種、と言って良いほど

 基礎的な性能はあがっている。


 通常のe2D用火器の使用も可能で、如月は模擬戦時には

 そちらを使いたいと要請したのだが無視されている。

 

 ランパスの関与も疑われるところだが、この機体については

 開発にも、如月の試験飛行時の操縦にも一切関わっていない。

 ※状況によっては機体や周囲の情報を逐次、如月に報告しているが

  開発に繋がる言動は一切しない。



特技専 旗艦ナミブ 独立戦術飛行隊 CP612

特装試験機  XBA-09Rb/ⅡeexB

専用特殊装備


遠距離狙撃用として企画されたeexBなのだが、制作されなかった

対BA格闘戦特化型のeexA用、として設計された武装もいくつか

実装試験されている。 


 冒頭では、超長距離射程ウルトラロングレンジスナイプライフル

 (略称ULスナイプライフル、通常はウルトラライフル、またはSライフル)

 の実物大ダミーを実際に取り付けてタッチアンドゴーをやらされている。


 これはシミュレーター上ではあるがカヌテ中尉さえ、初期には二割の

 確率でカタパルトからの離陸に失敗するほどバランスが悪かったため、

 何が悪かったのか、洗い出しの作業に付き合わされているもの。


 ライフル自体の性能は初速、射程、破壊力全てで従来型を

 大きく上回るが、現状では戦闘機形態で一秒以内に三連射すると

 失速し、建て直すことができずに墜落する。


 重量は既存のアールブ専用重力下用スナイプライフル

 (BA形態で出撃するのが前提の装備で、飛行形態への変形は不可)

 の約2,5倍だが、これでも計画当初より三割以上低減している。


 また今章冒頭では装備状態での変形を禁止されていたが、

 これはマニィがこの機体のデータでシミュレーターをまわした時、

 彼女でさえ変型時に重量バランスを取れずに擱座。その後、

 立てなくなってしまったため。


 ローラとの模擬戦時はバランスも改良、変型も可能となっているが

 実機試験は終わっていなかった模様。

 結局。ライフルを振り回したことで本体に計算外の負荷がかかり、

 動力供給が過負荷で止まってしまった。


 如月の、

 ――機動戦を得意にするアールブにはこのライフルはあわない、

 と言う感想は全く正しいと言える。




 他の武装についても強力だがバランスの悪い試験用装備ばかりで

 装弾数一〇〇発を2秒で打ち終えるが、0.5秒以上連射すると失速し

 マウントが破損、翼も損壊するという、翼のミサイルマウントに取り付く

 超高速ガトリングポッド。

 

 同じく翼下のマウントに取り付き、BAモードでも手持ち武器として

 使えるマイクロミサイルランチャーポッドであるランチャーメイス。

 これは名前の通りにハンマー的な使い方もできるが、あまりの重量で

 離着陸時と旋回時に翼のたわみが限界値の90%を超えてしまうため

 さすがにマニィから実機試験に待ったがかかっている。


 また、武装を持ち変える必要無く、レーザーと実弾の両方を打ち出せ、

 グレネード二発の他、銃剣バヨネットまで装着するが、

 重量が通常の三倍になったマルチアサルトライフルも実用化済。

 (前回、移動は一切しない前提だったのでこれを装備していた。

 結果的に装弾数と速射性でセブンスを押し切っている)


 その他、装弾数4発を撃ち終わるとあとは武器がなくなる

場壁崩しラムパートバズーカ。


 ランパスの装備を参考にしたのだが、威力が実体弾のアサルトライフル以下のうえ

 一発撃つと制御系電源が一秒弱停電する荷電粒子砲、ビームカービン。


 高周波切断と高熱溶断を会わせたブレードにレーザーの刃を付け、

 標準のHFナイフよりも三倍以上長く、重量も1,7倍で戦闘機形態では

 格納できないため空力が悪化する。という、マルチカットブレイド。

 さらにそれを大型化、重量化し、飛行形態ではデッドウェイトそのものの

 スマッシュアックスなど、謎の“ロマン装備”が他にもたくさんある。


 どうやらドリル系やパイルバンカー系の格闘武器の設計図もあるようだが

 さすがにこれらは、予算を管理する艦長から試作許可が降りなかったようで

 机上プランのみになっている。



 スナイプライフルやマルチアサルトの銃身に取り付けることのできる

 マルチカットバヨネットは、対象の部材にあわせて

 振動周波数を自動で可変させ、戦艦の装甲板さえ切り裂く切断力を誇る。

 但し銃剣バヨネット、と言うには刀身がかなり長いため、

 BA形態に変形後、正規の位置である前を向くようになっている。

 これだけは三本作られ、通常型ライフル装備の時でもeexBでは

 標準で装備することとなっている。


 但しこれも性能は良いが、通常のe系の機体では電源規格の

 関係上装備できない。という根本的な問題を抱える。

 しかもやたらに重いため銃の照準に狂いが生じ、それを自然に

 補正できるレベルのパイロットで無いと、装備自体が出来ない。



 現状での標準装備はマルチカットバヨネットを装着したスナイプライフルと

 ガトリングポッドだが、これは如月が一番安定している、として

 消去法で選んだもので、対ローラ戦もこの装備で出撃している。


 この状態でもアールブの標準装備であるレーザーランスのマウントは可能。

 但し、重量超過で離陸できないため飛行形態での出撃だと装備はできず、

 接近戦は技量の高いローラを相手に銃剣を付けたライフルを

 グレイブのように使う以外手が無く、如月はその点を気にしていた。


 銃身が曲がるかどうかに関しては、チーフに答えたとおり気にしていないが

 これはローラ相手に接近戦になった場合、もう距離は取らせてくれない

 という判断から再度の発砲の機会は無くなると踏んでいたから。




全領域型アールブⅡ BA-09Rb/Ⅱ7r 

アールブⅡタイプ7 ルビィズ仕様通常型 初号機 RB041


 アールブⅡでは最新鋭のタイプ7がベースのルビィズ仕様。

 同じくルビィズ仕様であるⅡ7rsとはほぼ同じ機体。


 RB041はルビィズ、アウローラ・ハーベイ特務少尉専用機。

 極端に原設計によせた調整が特徴で、意外にもチューニング自体は

 他の機体と比べても、7rとしてはおとなしめで安定寄り。

 7rsマニィ専用機の一発のパワーにふりきった、通常あり得ない

 過激なチューニングとはいかにも対照的。


 r型はパイロットとは不可分で、本来の所属はルビィズ本部のある

 防衛軍参謀本部。


 作戦上、赤道低軌道ステーションのBA大隊に帯同していたが、

 敵襲に合い、補給物資を護衛しつつ一緒に地上へと降下。

 そのままナミブに合流。独立戦術飛行隊二番機として

 パイロットと共に特技専に仮移籍している。



 連邦宇宙軍では“朱いアールブ”の中でも、ナンバーRB041は

 出てきた時点でその戦闘は戦術レベルで終わり。と噂されるほど

 有名ではあるのだが、マニィが見る限り圧勝できる状況でしか

 出撃“させていない”ようだ。とのこと。


 ルビィズでは全員がパーソナルマークを持つが、一方で

 序列七位以上かつ、撃墜率上位五名に入っていないと

 尾翼にパーソナルマークをマーキングすることはできない。


 序列だけなら正規隊員の最下位である彼女の機体は、オーロラを模した

 ローラのパーソナルマークが小さく機首部分に書かれ

 尾翼には機体ナンバーの RB041 のみ。



 現在、同型機はローラのRB041のほか、038、039、040の

 四機が存在する。

 

 7rsとの違いは事実上、指揮官用装備の有無だけで

 外観的には如月が気がついた程度の差しか無い。


 重量が3%以上軽くなっているので運動性、機動性とも7rsよりも良好。

 一部センサー関連機器や、それに紐付いたデータ機器がオミットされているが

 武装、オプション火器などはrs型と同じものを使用する。


 純粋な機体性能は、ルビィズ指揮官仕様の7rs型よりこちらの方が上。

 rs型が最強と言われるのは、機体ではなくパイロットの腕が大きい。

 


 新世代型ルビィズ専用機、アールブⅡ7rの初期ロットで

 本来は三号機。引き渡し順が変更になって、この機体が

 7r型の初号機になった。


 既に041は三度の実戦をくぐり抜け、降下作戦まで敢行したが

 二号機にあたる038は最終調整に入ったばかり。

 これはローラが専用機を持たず、旧型機のオーガとアールブⅠの

 予備機を使用して実戦参加し、予想外の戦功を上げていたことにより

 041のロールアウトを大幅に前倒したため。

 (オーガr型は全機退役済だがローラ機のみRB303として仮登録、

 その後使用したアールブⅠr型は予備機、RB019を使用していた)


 ルビィズ専用機は建造開始時点からパイロットと機体ナンバーが

 わり振られており、ナンバー通りの順番で製造されるのが本来である。


 

全領域型アールブⅡ BA-09Rb/Ⅱ7rs 

アールブⅡタイプ7 ルビィズ仕様指揮官型 RB035

※本編未登場


 ルビィズ総隊長専用機 RB035。

 この機体のみ、ブライトレッドは同じだがラインが若干太くなり

 色もメタリックピンクになる。

 機体自体はルビィズ旗艦、ザ・シー・オブ・クワイリティの所属。


 マニィの機体とほぼ同じ仕様で、ローラによればチューニングは

 とんでもなくピーキーで、一般のパイロットだと、フルマニュアルでは

 コロニー内部を普通に歩かせるのも難しいのではないか、とのこと。


 尾翼には手を胸に、羽根を広げた憂いの天使が描かれた機体。

 どんな状況で出て来ても、大損害を与えるため

 連邦宇宙軍からは 血濡れの堕天使 のあだ名で呼ばれる。

 実際に艦艇三隻、艦載機九機をたった一機で墜とし

 連邦の一個巡洋艦隊を事実上壊滅させたことがある。


 連邦内では正式に、機体を見かけた場合はすぐに報告し、交戦は避け

 即座に撤退するよう通達が出されている。


 




連邦軍 地上専用バトルアーマー 

オストリッチ TT002b2A・B 現地改修型砲戦仕様

b2Aはブロックbバージョン2のアフリカ仕様を

Bは砲戦仕様を示す

愛称は駝鳥



 最新型ブロックbを現地で改修した機体。

 以前、RB037と交戦になった砂漠仕様をベースに

 センサー類を強化し長距離砲戦に特化した機体。

 連邦地上軍でもアフリカ軍団のみで配備されている。

 サンドベージュにダークブルーのラインが入る。


 主砲のリニアカノンは大口径、長砲身化し移動形態では

 大きく右にオフセットして装備される。

 変形後はもちろん腕では保持できず。背中から右肩に

 背負う形になり、砲撃位置が高くなり射程距離はさらに伸び

 移動時の小回りも効くようになるが、燃費はあからさまに

 悪化するため、砲撃時以外は移動形態のまま運用されることも多い。


 近距離専用の武装は持たず、BA戦は元から想定していない。

 命中率をナーバスで底上げした支援砲撃専用の機体として

 連邦地上軍アフリカ軍団では、一人で運用出来る上、命中率の高い

 長射程支援用自走砲の扱いで、ある程度の数がブロックbから

 改造されている。


 新共和技術陣はこの改造のコンセプトを疑問視していたが

 図らずも、如月がCP612で超長遠距離狙撃をやってのけ

 考え方自体は間違っていないことを実証してしまった。


 今回は、数こそ二個小隊四機であったが、強行偵察援護のための

 支援砲撃だけの予定だった。

 そのため砲戦仕様機のみで随伴機無しの例外的な部隊構成で

 二個小隊に分散後に作成開始の予定だったが、運悪くターミガンより

 先に位置が露呈してしまった。


 数こそ同数だが、マニィとナミブ第1小隊。と言う最悪の相手とBA戦に

 なってしまったのは不幸と言うほか無い。


 ※移動速度について行けるのは同じくオストリッチのみ、であるので

  本来は砲戦型×2に対して護衛用兼予備弾倉運搬用の一般型×1

  もしくは2で1ユニット。とする運用が基本で通常、予備の弾を

  ユニット化した弾倉を積んだ車両が複数台同行する、と言う運用が普通。

  小回りのきくBAがベースであることを生かし、かなりこまめに位置を

  変えるので捉えるのは結構難しい。



バトルアーマー ターミガン TT905y(動作試験用試作機)

              TT905 (実証試験型)

              TT005 (量産型)

愛称は雷鳥


 オストリッチの後継機として設計され全般が高性能化している。

 人型形態ならアールブⅡとも十分渡り合える高性能機。



 TT905は、連邦アメリカ軍団主導で開発された機体。

 実証試験前にターミガンの愛称が付いたほどの性能を示した。

 生産全機のうち、構造解析用の初号機、変型試験、動作確認用の

 二、三号機の形式にyのつく試作三機を除いた全機が実戦投入された。


 TT905自体は実証試験機の扱いだが三〇機以上がロールアウト。

 アメリカ軍団工廠の管轄で試作された機体だが、最終的に製作したうち

 八割以上がアフリカ軍団に配備され、各部隊のエースを中心に運用された

 試作機のため故障、破損した場合の部品などは数が限られている。


 移動形態はオストリッチを踏襲する5軸10輪の構成だが

 平地なら最高速は七〇キロを越え、最大移動距離も

 六〇〇キロを超える。

 試験型905は燃費が悪く、作戦行動時間が量産型より二割ほど短い

 主砲として大型レーザーライフルを機体左にオフセットして搭載。

 標準塗装はダークブルーにライトグレイの二本線。


 905の開発と試験は南アメリカ軍団が行っていたが、アフリカ軍団が

 高性能機を求めていたため、そのままの仕様である程度の数が生産され

 エースパイロット用の機体として、二〇機以上がアフリカに配備された。

  

 ※一章で砂漠の街、ウォータークラウンを襲って

  ランパスとの交戦で中破となったのは、この試験型ターミガン。

  何らかのデモ機、もしくはパーソナルカラーであったらしく

  やや明るめのブルーに、ホワイトとレッドのラインが入っていた。


  変形後は標準より若干細身のシルエットで機動性向上試験用の

  機体だったらしい。

  近接戦装備としてHF高周波クラブを装備していたが使う

  機会は無かった。




 正式採用機TT005は、外見上905との差違はほぼないが

 905よりも燃費が良くなりオストリッチの一割減まで改善。

 ピークパワーが若干落とされているが、

 出力を落として小型化されたレーザーライフルとレーザースピアの

 レーザー装備を連邦系の機体では始めて標準装備した。

 行動時間も装備も、ほぼアールブⅡ/e2系相当になった。

 BA形態の単純性能比では、一部e2系を越えると評価されている。


 ターミガンの標準塗装はダークグレイとスカイブルー。

 砂漠に配備された機体はサンドベージュにダークブルーの

 塗装になっているものが多い。

 色以外に仕様の違いはない。


 連邦地上軍アメリカ軍団工廠の開発だが、量産型もアフリカ軍団を

 優先に配備がなされている。

 配備の始まった飛行型BAとはべつに陣地防衛などの用途に向け

 車両型の量産機としてオストリッチと置き換わる予定だったが

 コスト高を解決できず、量産体制は未だ整っていない。



 今回、ITSの二機と本格戦闘になってしまったが、本来はナミブの

 戦力を確認するための偵察が主な任務で、配備されたばかりの機体の

 “ならし”の意味が強かったようだ。

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