第63話 設定、専門用語他1

※毎度お馴染み、お話には直接関係の無い、作者用に

 作ってある世界感設定です。

 読み飛ばしても影響は無い様に書いているはずですが

 もし時間が宜しければ、こんなの書いてる暇があったら本編書けよ!

 などと思いつつ、眺めて頂けたらと思います。 


 まぁ、実際には体裁整える必要はあるにしろ

 ほとんど本編より前に書いてあるわけですし。


 ※今回はやたら多くなったので二週にわけます。

  今週は基本的に人物、来週がメカニック編です。



特技専 独立戦術航空隊 教導小隊パイロット見習い

如月(きさらぎ)・ロスマンズ特務士長 (准尉相当官)

 アフリカ方面軍の雇った民間人なので、本来階級は無い。

 技術科開発部付き准7級技士、要は方面軍技術科が雇ったアルバイト

 と言うのが、彼の本来の立ち位置。

 


 ナーバスを使った実検の被験者として特技専に異動。その後

 さらにマニィの個人秘書としてルビィズに“又貸し”され准尉相当

 それをルビィズ本隊が正式に認め、特務士長。となっている。


 ナミブ内では五十位内に入るほどに階級が高くなってしまった。

 自分で自分の立ち位置をもう一つ理解できていない様子。


 ※特技専は非戦闘員の技術士官が多いのでこの順位。

  実働部隊では上位三十位内に入ってしまう程に階級は高い。


 マニィとスペンサー司令の配慮で、本来は受験資格さえないはずの

 免許や資格を既にいくつか手に入れている。


 また、何処にどうやって手を回したのか、全く訓練も無しに

 BAを動かせてしまう彼のためにパイロット候補生として

 仮免許的に操縦することの出来る権利も付与され、

 制服の胸にパイロット章が付いた。

 これは恐らく、マニィが各所に圧力をかけたものと思われる。


 ※マニィがBAパイロットなら最低准尉。と言っているので

  新共和では、BAについては幹部搭乗主義であると思われ

  そうであれば准尉相当官なので本当はこれでも不味い。




 階級章は無し → 准尉。但し、ルビィズ仕様の色違いの階級章ではない。


 ※意匠は同じだが、一般の階級章は白に暗赤色、ルビィズは赤地に金。

 (本来はルビィズ仕様の軍曹か曹長の階級章になるはずだが、

 階級自体が仮に与えられたものなので、階級章は内部で混乱を

 招かないように、と言う意味あいが大きく“准尉である”と言うこと

 をわかりやすく見せるための措置。特務士長として登用される場合は

 ままある措置で如月だけが特殊なわけではない。如月個人は

 特務隊クレセント特務少佐付きの軍曹、と言うことになっている)



 如月は肩章、と表現しているが、実際には全員ショルダーストラップだけで

 肩章の類はつけておらず、階級章は左胸一ヶ所のみ。

 ※礼装は肩章がある。


 実用的に手袋を挟んだり、無線機をつけたりしている者もいるが

 特に服装規定には抵触しないようだ。


 下士官までは服と同色。

 技術系将校は黄色、憲兵隊は白、その他は青。

 ルビィズは制服より一段明度の落ちた赤に金モールの縁取り。

 総司令部や参謀部は銀に赤の縁取りで、銀の飾緒しょくしょ

 右胸に下げる。


 如月は今のところ青のショルダーストラップが付いた服を着ている。

 ※如月の本来の制服は、腕のワッペンがルビィズになるだけ。

  特士のショルダーストラップは元の兵科のものになるので、

  本来は司令達と同じく黄色が正しい。


 左腕のルビィズの腕章の下には所属部隊章として防衛軍士官学校の

 ワッペンが付いているが、胸の所属章は

 アフリカ方面軍技術科(【African Area Army / Technology Dept.】)

 になっているので、矛盾しないように腕章を外すときは

 所属章も外す。


 本人曰く、――どうでも良いんじゃ無いの……?

 と言いつつ誰に言われる事も無く自身で外している。


 (本来は士官学校のパイロット候補生なので

  【Defense Academy/Pilot Div.】になる)


 駐屯地の外に出るときは腕章と所属章は外している

 今回被っていた帽子のエンブレムも、防衛軍では無く士官学校のもの。


 若干、経歴を詐称している模様だが、マニィはそこに気が付いた上で

 あえて触らないで居る様子。



 


特務隊ルビィズ エマニュエル・クレセント特務少佐


防衛局 防衛戦略総監部付き主席武官 兼

国防軍 特別任務遂行隊 作戦運用課課長

の肩書きを持つらしい。その上臨時措置とは言え現在、

特技専 部隊司令補佐官

と言う肩書きまで付いている。

階級だけではなく、組織内においてもかなりエライ人である。


 左腕は相変わらず二の腕の先から動かないのだが

 開き直ったようで、腕を吊る用のカバーを専用で作った。

 吊り紐やパッドの工夫によって首や肩への負担は

 大幅に減った様子。


 ついでに腕を吊ることで上着のポケットが使えなくなるので

 小物入れとしても使えるように作ったようで

 そこそこ便利に使っており、如月は感心するより呆れている。

 上着の左袖にも脱ぎ着がしやすいようにジッパーを付けた。


 戦闘時はブリッジに入り、司令の補佐。と言うのが

 一応のルビィズとしての立場。

 今回は建て前通りにブリッジ詰め。


 艦長席の右側に専用の席が増設されたため

 ブリッジに居ざるを得なかった。

 如月が現場に出たのは危険がないと判断されたためだが

 現地指揮官のルビィズである自分の変わり、と言う意味でもある。


 

 特技専内に独立戦術航空隊クレセント教導小隊、と言う

 謎の部隊司令直属部隊を作り、その隊長に収まっている。


 如月のCP612も、自機の所属部隊を独立戦術航空隊と表示し

 自己紹介の時にも部隊名をそのまま名乗っているので

 冗談やおふざけでは無く公式に存在する部隊であるようだ


 但し、配下は如月一人で事実上の部下は無し

 状況はルビィズを指す 一人戦闘隊ワンマンカンパニー の陰口そのまま。



 器用なのは相変わらずで、本来左利きのはずだが

 完全に右腕だけで、仕事も普段の生活もこなせている。

 また戦術眼も鋭く、相手の布陣を見ただけでもう一機の

 セブンスの存在に気がつき、位置もほぼ特定して見せている。


 ※如月はCICのシライ少尉が位置を算出したと思っていたが

  最初の配置計算はマニィが行い、その後特定作業を移管している。


 また、パイロットだけではなく教官としても頭抜けており

 如月のシミュレーターでの動きを見ただけで

 彼のもつ何らかの特殊性を見抜いてもいる。



 街に出る時にはさすがにルビィズの制服は脱いで

 腕のカバーも外し、三角巾に取り替えている。

 帽子に伊達眼鏡なのは、政治的な仕事も多々ある立場なので

 出来る限りで顔を知った人間に判別されないようにするため。

 彼女にとっては実に四ヶ月ぶりの自由行動だった。


 ルビィズ仕様の真っ赤なスカートは現在発注済で到着待ち。



特技専 旗艦ナミブ艦長 マッカーシー少佐

 部隊を無能呼ばわりされ、盗賊団に舐められて

 ランパス奪取作戦を仕掛けられる。

 さらに船も不調なのに、怒り心頭の司令をなだめすかし

 方面軍からまで人命のかかった助言を求められる、と言う

 今回は、一人で損をする役回り。


 ブチ切れているように見えるのは、司令が一目で見抜いた通りに

 ほぼ演技で、あまり極端な選択をしないように司令を牽制する

 行動の一環。


 その他、無差別爆撃が目的のはずなのに主砲は徹甲弾だったり

 ミサイルも超指向性爆発弾頭だったりで被害低減を最大現考えている。

 (但し、いずれも空砲や無弾頭ではない)

 当然そのデータを司令が承認するのが前提であるので、そこでも

 地味にプレッシャーを与えていたと言える。


 軍機上は(駐屯している新共和軍が居るため)事前に勧告さえすれば

 デザートピーク本市全域を壊滅させても問題がない状態であったうえ、

 軽く見られたこともあり、あえて杓子定規に規定の最大現で

 状況を処理しようとする司令を、艦長がなだめすかしたカタチ。

 努力の甲斐もあって、事態収拾の実際は敵性勢力の全面排除でなんとか

 落ちついた。


 ※艦長がアフリカ出身で、住人の対感情を懸念したのはもちろん

  あまり目立つことをして、アフリカ方面軍本体への悪影響が

  出るのを嫌ったため。

  但し、BA横流しの件では、問答無用で方面軍内部に一〇〇人以上の

  処分者を出し、極刑に処されたものも最終的に一〇人を超えたらしい。

 


 本当は単純に優秀、として問題のない実力があるからこそユーロと

 アフリカという、新共和内で政治上面倒な立ち位置にある

 二ヶ所からの寄せ集めであり、任務内容としても中央そらとの

 接点が間違い無く発生する、と言う前提条件のかなり過酷な

 特技専の前線部隊である旗艦を任されている。


 恐らくはアフリカとユーロの各方面軍からの要請や苦情も、

 司令を素通りして彼の元へ直接、届いているものと思われる。


 新規のシステムに馴染んでいないとは言え、

 “エライ人”らしく書類仕事自体は特に苦手にはしていない様子で

 上司のスペンサー司令が作った草稿を書類にまとめたり、各所に

 サインをもらった上で各方面軍との折衝に当たったりしている。


 実務能力のない上司の代わりに各方面との協議、調整をも

 自分の仕事としてそつなくこなしている。

 

 マニィとは、そこそこ馬が合う様子で冗談を言い合いつつ

 仕事を進めている、



特技専 旗艦ナミブ 装備科整備班長 サイード少尉

 ナミブのメインエンジンから自動車まで、なんでもお任せの

 メカマンチーフ。

 ナミブの不調とマニィのムチャブリ、さらにナミブでは出撃管制の

 一部もハンガーを管轄するメカマンの仕事で、今回は結構忙しそう。


 艦長が、かなり追い詰められているのを見て取って、あえて軽口を

 叩いてみせる気遣いも自然にやってみせる、出来るおっさん。

 

 

 BAに関しては新共和地上軍でも指折りのスペシャリスト。

 e型セブンスやその後継であるe型オーガ、そしてe型アールブの

 開発にも直接関わっている。

 たくさんの設計者やメカニックを見てきたはずのマニィが

 手放しで褒める人物でもある。


 ウォータークラウンでのスクランブル対応では失敗して

 しまったが、これは部下達の経験不足のせい。

 しかし、艦長に頭を下げに行った時にそれは口に出していない。

 普段の言動は結構乱暴だが、それでも部下達が付いていくのは

 理由がある、と言う事である。


 マニィが思いつきで作った仕様書に基づいて本物の設計図を

 半日で起こし、RB037の魔改造をほんの数日で終えて

 しまったり、アールブスカウトをナミブのレーダーアレイの

 一部として使用するプランを、構想のみで正規のプランニングも

 設計図も無しにやってみせるなど、技術者としては頭抜けて優秀。


 また、シミュレーターの出力パラメーターをマニィの

 要望に合わせて、本来変更できないない部分まで増減している。


 ※如月のシミュレーターはパッシブバリア強度を四割減、

  機体のレーザーコーティングは無しに設定にしてあったが

  これも通常現地では触れない数値。

  事実、メインエンジン一機がコーティング剥離で済む距離で

  貫通、爆発し、同時に右主翼も空力制御不能な範囲まで破損した。

  マニィはそれでも最期まで機体を振り回してみせた如月を見て

  彼のポテンシャルを再確認したらしい。


 研究開発班とは基本非戦闘員でマッドサイエンティスト同士、と言う

 部分で意外にも親和性は高い。

 マニィと気さくに話し、如月も特に恐い人だと思って居ないが

 格納庫のメカマン達にとってはとんでもなく恐ろしい人であるようで

 スクランブルの件では、本当に死ぬ目にあったものも数人居たらしい。


 

特技専 旗艦ナミブ CIC統括 情報解析班長 ミウ・シライ少尉

 ナミブの影の女帝、として恐れられるCIC担当だが

 本人は二〇代中盤の黒髪でやや背の低い女性。


 才能に気がついた艦長が、名指しでアフリカ方面軍本部の

 管制室から強引に引き抜いた逸材。

 のはずなのだが、その艦長も頭が上がらないくらいに

 仕事中は怖いらしい。


 マニィさえも、戦闘情報の取捨選択は彼女に一任するほどの才女。


 ※ほぼランパスの予測時間通りにゼブンス出現位置の変更を

  しているが、ランパス自身、間に合うと思っておらず

  如月に伝えた情報は安心させるためのブラフだった。

  実際には、ランパスの予想を30秒以上短縮して位置の算出に

  成功した。


 “日の当たらない職場”だからなのか、シフトがオフの時は

 炎天下の甲板で昼寝をしているのを、何度か目撃されているが

 (別に全裸と言うわけでは無く、服はキチンと来ている)

 目撃者全員が、見て見ぬ振りでスルー。


 本編中で、戦闘時に飛び交う無線の中の一部が彼女の声。


 生真面目で苦労人。ナミブ配属の道のりも平坦では無かったらしい。

 マニィとは真逆に見えるが結構仲が良く、平時にはCICに

 マニィが尋ねて来る形で、雑談したりお菓子を食べたりしている。


 その為、コンディションF0の時には、マニィの端末に

 ナミブ内でもかなりの大容量のリソースが割かれている。

 マニィの仕事が異様に速い要因の一つがこれ。

 もっとも、その割り振られたリソースを使い切れるマニィが

 異常である事に変わりは無い

 



ジョン・ドゥ

 かつて如月と共にウォータークラウンに流れ着いた少年。

 如月と同い年だが、年齢以上に頭が回り、社会の暗部にも

 それなりに通じている。

 恐らくは偽名で本名はもとより、出生地も経歴も不祥。


 反体制組織に近い位置に身を置き、ジャンク屋と称して戦場を駆ける。

 ウォータークラウン襲撃事件の直前に姿を消した。

 但し、襲撃に気が付いて逃げた。と言うわけでもないようだ。


 割り切りの良い性格らしく、所属組織のナミブ襲撃に気がついて

 愛想を尽かし組織を抜けようとしていた。

 そのまま逃げるつもりだったが如月と再会、

 彼を一緒に連れて行くべく画策する。


 その状況は期せずしてマニィの知るところと成ったが

 “ロスマンズ特士”に情報を流し、自身はナミブ襲撃には

 関与しなかった。と言う大義名分が立ったため、マニィは

 彼に対し情報提供者保護プログラムを申請。適用“させた”。


 多少の“報奨金”と各自治領行政府へ対して、永続的に

 “ジョン・ドゥ”の身柄の安全、立場の保全、権利の確認を要請。

 新たな偽名の必要はなくなった。



 もらった車は、マニィが自警団団員の自家用車を

 駐車場で見て、目立たない車種を選んで、その場で買い取ったもの。

 個人的なお礼だ、と言っている通りに代金は自分で払ってる。


 名義は三日前に遡って一度、マニィが所有した上で、自治領行政府が

 買い上げ、その後オークションをへてレンタカー業者が取得、借りだした

 ジョンが気に入ってそのまま取得。と言う形で変更するよう、

 マニィが自治領行政府に圧力をかけたうえで丸投げした。

 


 襲撃の翌朝、如月と会ったのを最後にデザートピークから

 行方をくらました。

 その後、ジョン・ドゥを名乗っているかも含めて消息不明。



ランパス

強行偵察用BA試験機 XBA-09Lp(試験機のため愛称無し)

特技専 索敵班予備機 ES397 

(上記は情報攪乱用の偽装型番 VMZ999F "Lampás"/ニンフ・ランパス)


 アールブ系フレームを用いた09Lp計画は論理的な矛盾が見つかり

 プロジェクトは中止、実験データは廃棄。制作中だった試作初号機は

 ナミブ内にて索敵支援機のテストベッドとしてデータ収集に用いる。


 と言うのが対外的な“設定”。

 ランパスの移送計画は、特技専が所属するユーロとアフリカの

 上層部以外には、本局の統合参謀本部と技術開発本部のほか、

 系統上、特務隊を麾下に収める防衛戦略総監部しか知らない。

 と言う、建て前になっている。



 今回は如月の前に声だけで無く、アバターを伴った姿でも登場、

 だいぶ言語理解が進んだようで、話し方がほぼ人間同様になった。

 如月の予想通り、既にナミブのシステム中枢に潜り込んでいる模様。

 一方の本体には全く動きはない、様に見える。


 メインフレームの仕様上、使用が出来ないはずの空き容量を専有し

 ナミブとそれに付随した装備ならば、艦載機まで含めて全てを

 自由に使える様子で、負荷のかかるはずの複雑な演算や通信、

 映像データの送信、投影など問題無く行っている。


 現用とは異なるプロトコルで通信しているらしく、通信のログは

 もちろん、通信量や通信の事実さえ、如月に自己申告する意外は

 誰にもわからない。

 “本人”曰く、通信自体の容量は現用方式の1/10以下で

 ナミブ本来の通信リソースには、ほぼ負担をかけていないとのこと。


 艦長が、ナミブの燃料流量計の数値が合わないのを気にしているが

 それは実は彼女のせい。

 物理的にどうやって補給しているのか、“自分”用に推進剤や

 燃料をかすめ取りつつ、自分の装備や必要になるナミブ内の

 モジュールに優先的にエネルギーを供給しているのが原因。


 もちろん誰も確認できていないのだが現状、既に本体には

 1/2、追加ブースターにも1/3の推進剤が充填されて

 メインジェネレータの燃料は満タン、本体の充電も完了している。


 ランパス本体のモニターには相変わらず動きは無いが、既にナミブの

 あらゆる設備は事実上“彼女”の支配下にある。

 

 なんでもやりたい放題とも見える“彼女”だが

 わりと控えめに登場。如月のサポートに回る。



 アバターは小さくて良くわからないが、拡大すると胸の階級章は大尉。

 ショルダーベルトは銀色、右胸にLampas・Nの名札と

 銀の飾緒しょくしょを下げ、ブーツではなく短靴を履く。

 所属章は【Defense Bureau/Supervisor Dept.】となっている。

 設定としては本局参謀部付きのエライ人らしく、自身でマスターと呼ぶ

 如月の階級に会わせるつもりは無い様だ。


 彼から見ると身長30cm前後に見える様に投影時に設定してある。



元デザートピーク自警団 市街パトロール車

特技専幹部移動用車両 ES333


 自警団からもらったパトロールカーは、使い道に困った艦長が

 基本的に幹部移動専用車にすることを決めた。

 ※仕様としてはちょっといかつい機動隊の警察車両、

  例のDJポリスのランクルな感じです。


 ルーフ後端のキャリアに見える赤青のパトランプバー、

 グリル内部、リアウィンドウ内の点滅灯は、青一色に変更した上で残し、

 ルーフ前部に格納式の回転灯が増えた。

 防弾ガラスや、ボディ下部の対地雷防護板などもそのまま。

 ウィンドウの金網やサーチライト、機銃座の付いたゴツいキャリアや、

 屋根に上るはしごなど全て撤去され、グロスの効いたキャンディレッドに

 再塗装。


 色や格納式回転灯は本国の軍警察の車両と同じ仕様。

 ※軍警察は通常の警察や憲兵隊とは完全に別組織。

  要人警護や武装集団の強制鎮圧などを主な任務にする。

  通常民事には介入しないため、新共和軍のマークは

  付いているが、全車両パトランプ等は極力隠してある


 ベース車両は不整地装甲車では無く民生用大型SUVだが、内装は

 簡素なものであったので、これをベース車両の上級グレード相当

 まで改装。

 ※車種のイメージはシボレータホ、トヨタランクル200あたり。

  



 車内後方は、荷物スペースはほぼゼロとして後席の居住性をあげ、

 昇降式のパーテーションや任意で窓の不透明化が出来る様にし

 事務作業や簡易的な会談などに使えるようにした。

 (通常はかなり広い2人掛けに引き出し式テーブル。

  後方荷物スペースに収納式3人掛け簡易シートがある)


 フロントフェンダーに小さい新共和国章、フロントとリアのバンパーに

 ES333のレタリング。

 その車体番号以外、特技専を示すマークは付かない。

 


 当初艦長は受け取りを拒否したものの、断り切れず

 ナミブ側で取りに行く、と言う事で話が決まった。

 如月はたまたま街にいたので巻き添えを食ったかたち。


 その後車両の責任者は、何故だか如月に押しつけられた。



R.N.G.DF


 新共和防衛軍の略称で

 Republican Organization of the New Global Order Defense Forces

 の頭文字をとったもの。

 “旧標準語”での略称表記が必要なさいに用いられる。

 もらったパトカーに装備された通常の無線機を使って、如月が

 ナミブに連絡を取ったとき、ナミブの所属先として表示されている。





陸上強襲航空母艦サハラ級 二番艦

特技専 艦隊旗艦 GAC002 ナミブ

※便宜上、呼称は艦隊旗艦だが、特技専所属艦船はナミブ一隻のみ


 デザートピークから一〇キロ強の位置に、船尾を向けて停泊中。

 今回、BA《バトルアーマー》1小隊はサイドハッチから歩いて出撃。

 待機の2小隊も航空機形態は取っているが、後部エレベーターに待機。

 カタパルトは両サイドに畳んだまま追加装甲扱い。



 3階層構造のメインブリッジ最上段が若干改装され、今まで向かって

 左にあった艦長席が真ん中に移動し、一列下がった。

 そのうえで、向かって左側に司令席、右側にマニィの席として

 作戦補佐官席が新設された。

 本来は移動基地として、5人~7人の幹部収容を予定しているので

 結構広々としている。


 艦長の簡易デスクがやや大きいのと常設固定ディスプレイが一枚多い

 のを除けば、横方向に伸びた保持アームに椅子とデスク、と言う構成は

 全席、ほぼ同じもの。

 今回の改修時、司令席のみ、通信時の機密保持のために音響遮蔽シールドで

 囲う事が出来る様になった。


 各席のアームは前方向に伸びてるが、ショックアブソーバの役割が大きく、

 意図的に上下動させたり、スイングさせたりする機能はない。


 但し艦長席だけはアーム取付基部が若干高いうえ アームが

 持ち上がっているため、通常は他二席より約一m高い位置にあり、

 アームを下ろした上、二段の階段で降りることになる。


 これは、艦のことに関しては艦長が最高責任者なのでブリッジ全体を

 見渡せるように。と言う新共和軍の伝統で、艦隊司令や総司令座乗が

 始めから決まっている艦であっても、艦長席が一段高いのは変わらない。

 

 もっとも、司令自身はデスクが狭い事くらいしか不満に思っておらず

 マニィも戦闘指揮に入ると同時に、仮想ディスプレイに囲まれているので

 あまり違いがあるとも言えない。


 当の艦長もブリッジ内部の移動が面倒、とあまり好意的でないが

 これは艦長が宇宙軍や、地上軍でも海上の部隊ではない

 地上部隊所属の将校であるからだろう。


 

デザートピーク市

 ウォータークラウン市からだいぶ内陸に入った位置にある自治領。

 新共和アフリカ方面軍麾下の自治領としては最大級の人口を誇り、

 街も自治領としてはかなり大きく、デザートピーク本市の他、

 近隣四つの街を管轄に収め、街道だけでなく街をつなぐ鉄道も

 整備されている

 

 連邦寄りの土地柄である、とされているが行政府長官と市長は

 特技専の寄港を政治的なチャンスと捉え、その悪評を払拭しようと必死。

 マニィの来訪が決定する前には飲料水二〇tと生鮮食料品五tの

 無償提供を決め、物資購入にも最大現の便宜を図っている。


 ナミブ襲撃が露呈した時点から、行政府長官は激怒。

 行政府と市役所職員の2/3をたたき起こして自警団に派遣、

 午前一時には戒厳令と都市間移動禁止令を発令、自警団と共同で

 市をあげて一斉に非合法業者狩りを始めた。


 誤認逮捕や強引な捜査、重火器の使用など、通常は市と行政府が

 諫める行為全てに目を瞑ったため、事態の収拾は早かったが

 かなり無駄な犠牲も出た。


 このせいで、これまで証拠不十分で見逃されていた盗賊団や傭兵団も

 襲撃とは無関係であっても検挙、拘束、拒めばその場で射殺された。

 朝五時前には主要街道の封鎖、検問設置も完了している。



 マニィがジョンを呆れながら褒めていたのは、この状況下で

 掴まらずにキチンと約束の場所に現れたこと。

 一応、事前に手を回し殺傷は禁止、捕縛された場合速やかに

 彼女の元に連絡が来る、と言う手はずにはなっていた。


 彼の所属していた組織も表のジャンク屋専業だったものも含め

 全員拘束、その際に抵抗を示したとして2名がその場で射殺された。


 市長も強権を発動して街中から生鮮食料品と水をあるだけ集め

 翌朝七時にはトラックの第一陣、12台をナミブに送り出し

 さらに食料と汎用品を街中から集めている。

 この為、デザートピーク本市では2週間ほど生鮮食料品を中心に

 食糧不足に陥ることになる。


 

デザートピーク自警団

 他の自警団と同じく、デザート迷彩の戦闘服が制服。

 規模が大きいが、人数や機材は恵まれているとは言えない。


 自警団団長の階級は本来大佐だが、現状は大尉が務めている。

 これは数年前に連邦系独立組織への資機材横流しがバレ

 当時の団長以下、幹部20人以上が更迭、粛正されたため。

 機材が冷遇されているのもおなじ理由による。


 自治領側と同じく、ナミブ寄港を機に失地回復を狙っており

 要請される前には燃料の無償提供を決め、支援要請に対しても

 正式支援締結前に、汎用資材を積んだ車両を送り出している。

 

 ※各自警団とも内部の最高階級は大佐だが、デザートピークでは大尉。

  これは、資材横流しの件がバレたときに大尉以上と役職者が全員

  処分されたことが原因。一部のものは市民権剥奪や銃殺に処された。

  これにより、中尉より上の階級と課長級以上の役職が不在、

  と言う異常事態が約一ヶ月続いた。


  現在の団長がまだ若いと言って良い年齢の大尉なのは、

  当時処分を免れた中では最先任の中尉だったから、である。 

  大尉以上が居ないのは、組織再編の後、昇格を再び自主的に

  凍結したため。

  現在、恒常的な人材不足に陥っている。

 

 ナミブ襲撃発覚後は自治政庁に負けずに組織あげての大騒ぎになり

 動かせる人員全員をつぎ込んで臨時に混成中隊を編成、ナミブの

 援護に動けるように用意していたが、にべもなく断られた。


 その後自治領からの養成により、ナミブ付近の調査片付けの部隊を

 2小隊だけ残し、それ以外は全軍を動員、盗賊団の検挙と

 街道封鎖に動いたが、行動はかなり過激だった模様。


 その後、提供できる物資が皆無だったため

 久しぶりに買った新車のパトカーをナミブに無償提供している。


 艦長とマニィの説得により渋々司令が裏から手を回し、

 結局自警団、団長とも大きな処分は無し。

 双方、アフリカ方面軍総司令と中部群司令からの警告のみ、で済んだ。

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