第11話 全部ダメじゃねぇか!
《パイロットへ警報。敵性と思われる機動兵器の接近を検知》
いきなりコンソール以外でもモニターのランプがつき始め、各種モニターにはエマージェンシーやらワーニングの文字が流れ始める。
「だから俺にどうしろってんだよ、さっきから! ……オストリッチってヤツか!?」
《モニタ範囲に侵入、映像を表示します》
壁の一部が画面になって、コンテナにつけられたカメラが外を捉えた画像が映る。
全身薄い茶色、いかにも砂漠仕様の色合いで青い連邦のマークを胸につけたオストリッチ。
《データ上、先程攻撃を行った機種については、仮称オストリッチとして登録。音紋、熱紋、バリアウェイブ。全て先程発砲を行った機体のデータと一致。以降これをオストリッチ1と呼称》
そして暗めの青に白と赤、二色の帯の入った、オストリッチよりスマートな機体。
《各種データから半径300m以内の敵性機体は、オストリッチ1の他、ライブラリ未登録のアンノゥン一機、計2機で確定》
……オストリッチ一機でも持て余してたのに、ちがうヤツも居る!!
《味方と思われる機動兵器の接近、反撃開始を確認》
もう一枚、映像が開くとさっき追っ払ってくれた装脚戦車が三輌。主砲が火を吹いているが。……しかし。
三輌とも、あっさりと黒い煙を上げて擱座した。
「あの細い機体か! マジかよ!!」
《こちらの存在が露呈した模様。接近中》
人間ならアタマの部分に相当する、オストリッチの頭部センサーアレイ。それが完全にモニターカメラを見た。
モニター越しに“目が合う”。完全にバレたな、こりゃ。
《“起動シーケンスを開始して下さい”シーケンス開始を宣言した時点で緊急事態につきオートブート、戦闘モードで起動します》
「なんだって!?」
《Limited time grace. Please declare》
「なにを動かせって言うんだよ! 俺はただの……」
《Master. Please make a decision.》
「うぅ、……ぐっ」
……マニィさんを乗せて、みすみす標的になるのは。
それは不味いだろうけど。
「……起動シーケンスを開始! って言えば良いんだな!? それとも
Start sequence ! って言えば良いのか?」
《Release key confirmation.start sequence》
――キュゥウウウウイイイイイ! 甲高い金属音が響き、周りを囲んでいた壁が、足元を含めて全てモニターに、コンテナの内部が映し出される。
「まだ言ってないってば!」
《VMZ999F "Lampás" Start complete - Ready-》
モニターというモニター全て、そして外部を映す壁の方々に
- Ready-
の文字が躍る。
「こうなりゃやけだ! なにができるっ!?」
《内蔵火器は全てエンプティ。オプションは無し。ビームソードはエネルギー収束装置未調整、爆発の可能性があるため使用不可。メインブースター、サブブースター、姿勢制御バーニア、全て推進剤エンプティ、可動不可》
「全部ダメじゃねぇか!」
《ビームライフル、起動に成功、励起開始に成功。射撃可能域まで20秒、残弾3》
「ビームライフル? ――レーザーじゃ無くて荷電粒子砲ってこと?」
兵器にそこまで詳しいわけでも無いが、普通は実体弾とレーザーの二択。
属に言うバリアやコーティング塗装は、照準されたらほぼ当たる。と言うレーザー対策だが、荷電粒子砲なら弾速が同等でバリアもコーティングもある程度無視できる。
レーザーより遅い、とは言え人間の眼にもセンサーでさえ直接視認するなんて出来ない。撃たれた後で逃げるのは不可能だ。
もちろん、さっきの実弾のライフルだって。撃たれてからと言うなら、もうかわせない。遅い、と言うのはあくまでレーザーに比べて、と言う話。
いずれにしても、安定した実用化はできていない技術だったはず。
《その通りです》
「当たればバリア無効ってことか。……でも動けないんじゃ結局、意味無いんじゃないのか?」
動けるにしたって俺、動かし方なんか知らないぞ!?
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