破れ鍋に綴じ蓋

 幼い頃から人間ペットが欲しくてたまらなかった。

 両親にねだってみた事もあるが、飼うには収入の下限条件があるらしい。それを知ってから、将来立派なオーナーになる為に朝も昼も夜も勉強した。友人が居ないから遊びや付き合いに時間を使う事もない。勉強する時間はいくらでもあった。その甲斐あってとんとん拍子で希望の進学先へ行き、希望の職に就いた。

 成長と共に無くなると思っていたいじめは、場所が変わっても無くならなかった。だから相変わらず私に友人は居ない。でもその先に私を全肯定してくれるペットという存在があればと踏ん張れた。オーナーを全肯定してくれるペットなら私の体型が太っている事や鈍臭い事で嫌ったりしない。醜い私の事もきっと愛してくれる。ペットという存在は私にとって救いだった。

 そしてやっと今年、規定ギリギリの年収額に到達した私は、早速リサイクルのペットを見にきた。リサイクルのペットは色んな子がいる。傷だらけの子、私を見て逃げ出す子、目が虚ろな子。その中に居た一体に近付いた。

 本当は新品の子が欲しかった。誰の手垢もついていない子。でも。

「私のおうちに来る?」

 傷付いた私には、傷付いたペット位が丁度良い。

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