15

「しまった、バラバラにされた!」


6人ならまだしも二人で一人と戦わなくちゃいけないなんて……


「さて、アンタ達には燃え尽きてもらうわ。アタシのこの『紫炎』でね!」


マゼンタが右手にもつ扇を振るうと部屋の中が紫色の炎に包まれる。


「熱っ!」

「超高温の紫の炎……アンタ達に、なす術はない!サクッと焼かれちゃいなさい」


そう言いながら笑うマゼンタは扇子で顔の辺りを扇いでいる。

こんなの、どうすれば……それにしてもさっきから赤井が静かだな。


「なんてことだ……」

「フフッ、そっちのボウヤは俯いちゃって、もう諦めたみたいね。」


マゼンタは扇子を閉じて、俺達を指す。


「アンタ達の情報はバッチリ入ってる。風じゃこの炎は消せないし、この状況でツッコミなんてできないでしょ?」


確かにその通りだ。このまま負けるのか……?


「風……炎……できる、できるぞ!」

「な、なんですって!?」


顔を上げた赤井の目は今までみたことないくらいに輝いていた。

頭上高く大剣を掲げ、赤井は叫ぶ。


「掃除殺法――」


赤井の巻き起こした風に紫の炎が取り込まれ、渦を巻く。


「赤井インフェルノ!!」


降り下ろされた炎の渦はマゼンタに向かって飛ぶ。


「す、すごい!赤井の散らかし技がこんな時に役立つなんて!」

「めちゃくちゃ格好よかっただろ!今の!」


喜ぶ俺達の前に再びマゼンタが立ち上がる。


「驚いたわ……」

「ま、まだ倒せないのか」

「こうなったら合体技だ青野!」


合体技ってどうや……なんで剣を振りかぶる!?


「見せてやれ!お前のツッコミ魂を!!」


その言葉と同時に、赤井の放った風によって俺はマゼンタに向けて飛ばされる。ってツッコミ魂ってなんだよ!


「青野を弾丸のように飛ばす……名付けて」


マゼンタが近づく。ツッコミなんてできるわけ――


「青野ブレッド!」

「パンかよ!」


できてしまった。

カキイィン☆という音とともにマゼンタにピコハンが当たり、城外まで飛ばされていく。


「……できちゃったよ」


勝った喜びよりも、自分のツッコミ魂に半分泣きそうになりながら座り込む俺だった。



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