9

「しまった、ツッコミしないとただのピコハンじゃないかぁっ!」

「俺を、筋肉を、バカにしてるのかぁ!」


怒り出すブロンゾン。


「だ、誰か青野が突っ込むようなボケを!」

「なら、俺が!」


慌てる黄瀬の声に応えるように、銀が凄まじい速さでブロンゾンの前に現れる。


「くらえ必殺……停学パンチ!」


銀色の拳に力をこめて銀は叫ぶ。

やめてくれ銀、そのネタは突っ込みにくすぎる!

そんな俺の思いとは別に停学パンチは強力だったようで、受けたブロンゾンは倒れる。


「よ、よし勝ったんじゃないか!?」

「だめだ!黄瀬、その言葉は――」

「……ふはははははは!さすが宝玉だ!ここまでの力とはなぁっ!」


黄瀬の立てたフラグを回収するかのようにブロンゾンの笑い声が響く。そしてみるみるその巨体が大きくなっていく。


「特別に……俺の能力『膨大』を全力にして、お前達を踏み潰してやるぅっ!」

「スカイツリー並みの高さだ!こんなの防ぎきれないぞ!」

「くらえ!ヒラメ筋ストンプ!」


巨大な足が迫ったそのとき


「……待たせたな!正義の力を見せてやる!」


狼狽える俺達の目の前に大剣を持った1人の男が現れる。


「お、おまえ――」

「必殺ぅ!赤井ハリケエェェン!」


その叫びと共に強い風が巻き起こり、ブロンゾンの巨大は後ずさる。


「無事だったんだな!赤井っ!」


思わず俺は幼馴染の名を叫んだ。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る