第6話③ 誤解から恋は始まり…愛は誤解で終わる?
宏美は部屋のドアを開け、明かりをつけた。
「ただいま」
暗い部屋の奥からは誰の返事もなかった。
「ねえ、いないの。恭平、いたら返事してよ。
突然、ディスコ音楽が鳴って、ミラーボールの点滅しながら回転する七色の光とともに、筋骨隆々の恭平が身体にピッタリのアニメヒーローの衣装と派手なマントをひるがえし、踊りながら部屋の奥から出てきた。そして、ダンスが終わると宏美の前でポーズを決めた。
「おかえり」
「どうしたの、その身体? 」
「宏美に似合う男になるため、ずっとジムに通って肉体改造したんだ。もう、力のない文系男子とはおさらばさ! 」
「で、その衣装は? 」
「この衣装はデパートの屋上でやるショーの練習さ」
「ショーの練習って? 」
「実は僕、葬儀屋からイベント企画会社に転職したんだ」
「転職? じゃあ、いつもそんな格好ばかりしているの」
「いやいや、これはね、けが人がでて、この週末のデパートのショーに、一人足りなくなったから、ピンチヒッターを頼まれただけさ。いつもは会社が企画運営するイベントの司会なんかをやっているんだ」
「あなたがイベントの司会? 」
「これでも、『楽しい司会のキン肉マン』て評判になって、結婚式の司会の仕事なんかもくるんだぞ」
「あなたが…」
「あ、信じてないな。よし。それじゃ、今、この部屋で行われる結婚式の司会をして、ちゃんと司会ができることを証明してあげるよ」
「結婚式って? 」
「君と僕とのさ」
「えっ… 」
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