第5話⑦ サブリミナルでハゲモテドン! それは人を救うおまじない?
アキは台所に行くと冷蔵庫を開けた。そして、中からペットボトルの麦茶を取りだして恭平に手渡した。
「お兄ちゃん、これで本番、いくわよ」
「うん。分かった」
アキはボタンを押して、再び不思議な音楽をかける。そして、また声色を変えて甲高い声を出した。
『この声は人間の耳には聞こえない』
「え、何を言ってるんですか。読者の皆様、僕には何も聞こえてないんです…ほんとですよ」
「そう、そう。さあ、お兄ちゃん、麦茶を飲んで」
「OK! 」
恭平はペットボトルのキャップを開けると、右手にキャップを持ったまま、左手でペットボトルを持ち上げて口にくわえた。
「ゴクンゴクンゴクン…」
「今、ペットボトルの麦茶を飲んでるお兄ちゃんに、十分に気を送ったこのマイクから、人間の耳では聞こえない2万ヘルツ以上の声で」
アキ、マイクに向かって叫んだ。
『飲んでる麦茶は、チョコボールである!! 』
恭平は急にペットボトルから口を外した。
「えー!! 麦茶なのにチョコボールみたいな味がする」
「と、ペットボトルの麦茶をチョコボールと間違えて、おもわずペットボトルのキャップの裏に…」
恭平は右手にあるペットボトルのキャップに目をやると、キャップを天に掲げた。
「やった!! 金のエンジェルだ。おもちゃの缶詰もらえるぞ! 」
「と、金のエンゼルと銀のエンゼルの幻を見てしまう」
恭平はアキに駆け寄った。
「なんて恐ろしい技なんだ」
「ええ。そのあまりの影響力のすごさにアメリカペンタゴンでは重要機密、四千年の歴史をもつ中国少林寺では門外不出。そして…」
「そして…」
「新宿の、とあるクリニックでは、四十万円の壷とセットで販売しているほどよ」
「それはあかんやろう」
「そやな…」。
「とにかくすごい。アキちゃん、お願いだ! 僕にサブミナルカラオケをかけておくれ! 」
「うーん、かけてもいいけど、人によっては副作用があるかもしれないわよ」
「副作用…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます