第5話① サブリミナルでハゲモテドン! それは人を救うおまじない?
2020年4月27日、アメリカ国防総省が、UFOの映像3本を公開した。しかし、この報道に日本人は大きな関心を示さなかった。これが、コロナ騒動もなかったオカルトブームの70年代なら大騒ぎしたであろう。あのころのテレビの画面にはネッシーや雪男、超能力や心霊現象、UFOや日本の古代ピラミッドにノストラダムスの大予言などオカルトが大手を振って登場していた。
登場したモノの中には眉唾と思われる放送もあったが、当時、ネットのような手段はなかったので、放送の真偽を視聴者が調べることはできなかった。そのためかテレビ局は競って特集番組を組んで、オカルトの話題を放送し、それが80年代の前世ブームにつながった。
しかし、90年代になると、オカルトよりサブリミナルが流行りだす。これは初め『ポップコーンやコーラを手に入れるメッセージを、人間が意識できない短い時間で何回か映画に挿入すると、映画館でのコーラ、ポップコーンの売り上げが飛躍的に伸びた』という社会実験のような形で紹介された。しかし、その後、『人が意識できないメッセージを組み込んだ映像や音楽を聴くだけで、手軽に潜在意識から自己変革できる方法』として、サブリミナルが提供されると、たちまち大ブームとなった。
ところが、再放送アニメ番組を録画していた視聴者が録画したアニメをコマ送りで見ていた時、偶然、アニメと全く関係ない画像が挿入されている事を発見して公表した。すると、ビデオ録画機で簡単に検証できるので、多くの視聴者から同じような事例がアニメだけでなく、報道番組からも発見されたと多数公表された。そのため『客観性が必要なニュース報道で、特定の方向に視聴者を洗脳するためにサブリミナルの行為が行われている』と大きな社会問題となり、日本放送協会・日本民間放送連盟が『番組放送でのサブリミナル使用を一切禁止する』と記者会見する事態にまで発展した。現在、視聴者を特定方向に洗脳するサブリミナルは番組放送から消えている…はずである。
恭平は自分の黒歴史を語り始めた。
「僕は高校の時、考古学クラブに入って空飛ぶ円盤の研究をしていたんだ」
「ちょっと、お兄ちゃん。考古学と空飛ぶ円盤って、どんな関係があるの? 」
「当時、テレビの特番でやってたんだ、日本には昔、空飛ぶ円盤の基地に使われていたピラミッド型の古墳がある…て。僕は、それを信じていた。だから、高校時代の僕にとって、空飛ぶ円盤は考古学の問題でもあったんだ」
「そうなんや…で? 」
「高校3年の夏休み、前々から好きだった同じクラブの西田さんを誘って、生駒山に空飛ぶ円盤の写真を撮りに行ったんだ」
「生駒山って、お父ちゃんと言ったことあるわ。ケーブルカーで頂上に上ったら、大阪の町が一望できて、すぐ横に遊園地もあって、とっても楽しいとこやったな…」
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