第4話④ 小学生アキちゃん登場。なんでも身の下話が得意だそうで

「宏美姉ちゃんってラジオのDJやるような美人で、スタイルよくてセンスもいいのに、お兄ちゃんときたら…」 

 アキ、恭平の頭を見た。

「ちょっと待て。今のなに? 」

「何って、自覚あるやろう」

「俺は、ちょっとおでこが広いだけや」

「ちょっと広いだけって…ほっといたらカッパみたいになるで。ちゃんと手入れせな、あかんわ」

「手入れも、ちゃんとしてるわ! 」

「どんな? 」

「通販で、専用シャンプーもセットして1ヶ月1万4千円っていう養毛剤を使って、毎日朝晩がんばっているんやからな」

「へえー、1万4千円の養毛剤か…」

 アキ、もう一度、恭平の頭を見た。

「お兄ちゃん、いくらなんでも、どぶにお金捨てたらあかんわ」

「どぶ…ひどい…」

 崩れるように座り込み、アキに背中を向ける恭平だった。

「もう、お兄ちゃん、年上やろ。すねたらあかんわ。ハゲがすねても似合えへんで」

「うるさい!! 」

「おお、こわ!」

「なにが、どぶにお金捨てる、ハゲがすねても似合えへんや。アキちゃんにはデリカシーちゅうもんがないのか」

「おこりないな。ほんまのこと言ったまでやん」

「もう、ほっといて!」

「お兄ちゃん…もう…子供みたい真似せんと」

 恭平の顔を見ようとするアキだったが、恭平はグルグル顔が見えないよう、向きを変えた。

「もう、気を悪くしたら、ごめんやで…なあ、お兄ちゃん…ああ、ヘックシュン!」

 アキが突然、大きなくしゃみをした。

「ごめん…かぜかな。ちょっと待ってな」

 アキがポケットからテッシュをだして、チーンっと大きな音で鼻をかんだ。すると、恭平が突然、振り返り、アキを睨み付けた。

「なに、お兄ちゃん。そんな恐い目で、ウチを見て…」

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