第7話 芽生えた疑問……! の巻
「スリャ!」
そこから、私の反撃が開始した。
まずは側頭部への右の回し蹴り—
「げっ」
命中。
「スリャッ!」
次に脇腹への横方向の
「うぐ」
命中。
「スリャリャーーッ!」
そして軽く飛び上がり、両足を揃えての胸元目掛けた飛び込み蹴り—
「うおぉっ」
失敗。腕で防がれてしまった。しかし体勢を崩し、大きく後退させることはできた。
「調子に乗りおって……」
苦々しく吐き捨てる彼女の態度をよそに。私にはある違和感が芽生えていた。
先ほどネックフォール・ダウンを押し返した時には気づき始めていたが、何かがおかしい。
私はそれを確信に変えるため、次なる行動に出る。
「この首を落とすんじゃなかったのかい?」
私はここで、あえて煽って見せた。わざとらしく、首まで指差して。
(どうだ……?)
一瞬の静寂が訪れる。
「こんの、小童がぁ〜〜っ!」
賭けは当たったようだ。彼女はそう怒鳴り散らしながら、
「ならば望み通りにしてくれるわあぁぁーーっ!」
「『
彼女が腕を広げると、4つの燭台に火が灯り、人型の炎が形作られる。
「『
合図とともにその全てが一斉に動き出す。
「……」
それらは瞬く間に私の背後へと回り、私の両手両脚をガッチリと押さえてしまう。
しかし、これもまたわざとだ。
ネック・フォールダウンを誘発させるための撒き餌に過ぎない。
「ふははは、どうじゃ!動けまい!」
「喰らえぃ!ネックフォール・ダウンーーーッ!」
彼女は私を嘲笑うような声色で叫びながら、またもや突進を仕掛けてくる。
(かかった)
私はそう思い、じっと彼女の接近を待つ。そして。
「ムゥン!」
「何じゃと!?」
再び力づくで『
焦って急ブレーキをかけた彼女だったが、間に合わず真正面から受け止められてしまう。
技が不発に終わった上、威力を自分で殺してしまった—最悪のパターンだ。
「スリャアアアーッ!」
私はその隙を逃さず、彼女の左腕を軸にして巨体を放り投げる。
この時、先ほど芽生えた疑問は確信へと変わった。
「レイア。その身体—」
私は彼女を指差し、言い放つ。
「君のものではないね?」
「!!」
一瞬だけぎくり、という風に身体を震わせた彼女だったが、
「ほざけ、どこにそんな証拠が—」
そう言って否定する。
「証拠はその腕にある」
「なぬ!?」
しかし、私は続けた。
「その腕、鎧にしては重すぎる」
「まるで、『人が着るスペースが無い』みたいだ」
「だからなんだと言うのだ!!」
「巨大なその全身は見せかけ、本体の君は胴の部分に身を隠していると見た!」
私は握り拳を作り、力強く叫んだ。すると—
「くくっ、ふはは……」
彼女が突然、笑い出す。
「よもやばれてしまうとはのう。その通り」
「わらわのこの身体は仮のもの!」
「これぞ秘術、『
彼女はバレてしまっては仕方ないとばかりに、大仰な動作で力説を始めた。
だが、そんなことはどうでもいい。重要なのは—
「そうか……安心したよ
「なぬ?」
「その身体が偽物なら」
私はそう言うと、再び戦闘体勢を取り直す。
面の左右からフェイスガードが展開し、鼻と口元を覆い隠す。
同時に、私の体を包んでいた白い光が消失する。
「思いっきりやっても問題はなさそうだ」
私は彼女を—否、『あれ』を睨みつけ、そう言い放った—
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