(閑話)元の世界に帰還する愛堕夢と多威餓
――夕暮れ時の公園。
そこは
「なあ
「……ああ、
「痛てぇ! ってことは……夢じゃない……。」
「夢じゃない……夢じゃないぞ! 俺たちは元の世界に戻ってこれたんだッ!」
二人揃って喜び合っていると、カサリと手紙が落ちる。
「そういやぁ、悠斗から預った手紙はどうするよ。」
「あいつは元の世界に戻してくれた恩人だからな、届けてやろうぜ! 郵便でよ!」
幸いなことに、届け先の住所も書いてある。
ならば行動あるのみだ。
「――ッ。ああ、久しぶりに帰ってきた。数ヶ月も家を開けちまったからな……親父もお袋も心配しているかもしれねぇ。」
すると、『バキッ!』という音と共に、レバーハンドルが外れ、ドアが開いた。
「へっ?」
すると、ドアの向こう側からドタドタと音を立て、何かがやってくる気配を感じる。
そして、ドアが開くとそこには数ヶ月ぶりに再開するお袋の姿がそこにあった。
「――お袋ぉぉぉぉぉ……ぐふぅえっ!」
久しぶりの再会に涙を交わすと思いきや、レバーハンドルを壊したことに腹を立てたお袋にバットで打ん殴られる
「あんたぁ! なんてことをしてくれてんのっ!!」
「元気にしてたかお袋! おいおい、少し太ったんじゃないか? 俺だよ俺、
怒り心頭なお袋は
「何を馬鹿なことを言ってるの! 学校はどうしたの、まさかサボったんじゃないでしょうね! そんなことより、あんた! レバーハンドルを壊して! どういうつもりなんだいッ!」
「あ? いや、俺本当に異世界に……いてぇ、いてぇよ! 耳を引っ張らないでくれよ!」
お袋は、倒れた
「はあ? 異世界!? 意味の分からないことを言うんじゃないのッ! ドアノブの修理に業者を呼ぶから、それまで外で反省していな! またドアノブ壊したら承知しないからねッ!」
そういうと、涙目になりながら耳元を抑える
家に帰ってきた
しかし、ドアの鍵を派手にぶっ壊した
「おお、今日はえらくドアの滑りがいいな! パピー! マミー! 今家に帰ったぜ!」
「た、
パピーが煎餅を皿の上に置くと立ち上がる。
そして何を勘違いしたのか
「久しぶりだねパピー! ぐぅあふっ!」
駆けてくる
「お前……今、バキリと大きな音がしたが、今度は何をした。」
「えっ、パピー? 俺は何もしてないけど……。」
「それより……お前、学校はどうした! まさかサボった訳じゃないだろうな……。」
(あれ? なんでこんなにも普通に俺に接してるんだ? ここはほら、『久しぶりだな息子!』とか、『お前今までどこに行ってたんだ! 心配をかけるんじゃねぇ!』とかいう風になる場面じゃないか?)
突然沸いた疑問に、
「……おい。てめぇまさか、あのドアぶっ壊したんじゃあねぇだろうな?」
パピーが本気で怒っている。
そのことに
「す、すいませんでした!」
パピーが
「すいませんでしたじゃあねぇだろッ! 申し訳ございませんでした。だろうがぁぁぁぁ!」
「も、申し訳ございませんでしたぁぁぁぁ!」
転移した時と同じ時間軸に戻ってきていることに、そして、既に普通の人間と比べるのが恐ろしくなるほどの膂力を持っていることに……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます