09
怖い怖い怖い!
私は身を小さくしてしゃがみこんだ。
勝手に体が震えてくる。
確か雷って、木の下にいると危ないんじゃなかったっけ?
昔学校かテレビかで教わった記憶が一気によみがえってくる。
「もう私、死ぬかも…。」
このまま木の下にいたら雷に打たれて死んでしまうかもしれない。かといってこれ以上どうしたらいいかわからない。どうすることもできない。
絶望的な気持ちに血の気が引いていく。
雨はどんどん体温を奪っていった。
呆然とする私の目に、小さな光を感じた。
雷の稲光ではない、柔らかい光だ。
顔を上げてキョロキョロとその光を探す。
すると、遠くに明かりのようなものが見えた。
それは等間隔にあるように感じる。
街灯?
もしかして開けた道なのかも?
そこまで行けば助かるかもしれない。
車が通るかもしれない。
私は意を決して進んだ。
雨と雷で折れた心に、ほんの少しの希望がわいたのだ。
怖いはもとより、とにかく今は雨と雷をしのぎたかった。
屋根のあるところへ行きたかった。
明かりのあるところへ行きたかった。
あわよくば通りがかった人に助けを求めたい。
ううん、せめて携帯の電波が届くところに行きたい。
どうか私を助けて!
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