第4話

「みのり、彼女って子達のお母さんじゃないの?それに3人共此処で泊まるみたいなんだけど。。」


ベッドで横になって呑気に本を読んでいるみのりに聞いてみた。


「彼女と子供達、養子縁組しているらしいの。

私もあまり詳しくは知らないのだけど。

それと此処で寝てもらっても構わないわ。

布団がない事は彼女もわかっているから」


みのりはそう言うと、眠くなったのか、大きな欠伸をして開いている本を閉じた。


彼女が了解済みなのなら私の出る幕ではないわね。


自分の布団に戻ると、マイ枕を抱きしめて女の子がスヤスヤと眠っていた。


疲れたのかしら。


女の子を起こさない様に、ゆっくりと布団の中に入った。


先に寝てくれていたので、布団の中は程良く暖かくなっていた。


一人暮らしで子供と接する機会がない為、子供が出来たらこんな風に寝るのかな?と、

不思議な感じがした。


頭を優しく撫でていると、いつの間にか睡魔に襲われて眠ってしまっていた。



バタバタドキューンと何かの音がして目が覚めた。

電気は消されておらず、男の子がTVゲームをして遊んでいた。


私は腕時計を見て、今が夜中の2時である事を知った。


「ねぇ僕、もう夜中だよ。

寝ないと朝起きれないよ」


男の子は私の声に反応してこっちを振り返った。


驚いた事に、彼の顔には目と鼻と口のパーツが無く、まるでのっぺらぼうの様に見えた。


私は恐怖で叫びそうになった。


しかし、口から声が出せないのだ。

それどころか、身体中が動かない。

これが金縛りというものだろうか?

冷や汗が額から溢れ出てくる。


「お姉ちゃん、僕と遊んでくれる?」


男の子はTVゲームのコンピュータを下に置くと、自分の方に近づいてきた。


「いや、来ないで!みのり助けて!」


懸命に声を出そうとするが、全く言葉が出てこない。


「お姉ちゃん、バレーボールしてたんだよね。上手だったよなぁ」


「。。?」


どうしてこの子が知っているの?

みのりに聞いたの?

でも、まるで中学生時代の私を知っている様な。。

彼がこっちに近づく度に、背丈が高くなっているような気がした。







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不思議なアパート 小久保 さち @shintuk

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