第3話

夕食を食べ終わった私達は、昔の話をしていた。

みのりは中学時代のバレーボール部の印象が強いらしく、その話ばかりしてきた。


会社帰りに呼び止められた時もそうだった。


逆に言えば、その時の話しかしていない。


確かに私はその時バレーボール部に所属をしていた。


複数の友人達と遅くまで練習に励んでいたと思う。


その中の1人がみのりだったのだろう。


ただ彼女には申し訳ないが、その時の友人の名前が浮かんでこない。


私の頭の中では懐かしい中学時代の思い出の一つなのだが、どうやらみのりにとっては違うらしい。


今でも彼女はまだその場所にいるような、そんな感じを受けるのだ。


みのりは驚く程鮮明に、私の記憶を呼び起こしていった。


ただ随分昔の頃の話であって、そんな何十年先の、今日の泊りの約束なんてするだろうか。


何かが引っかかる。


突然、ボーン、ボーンという音が鳴りだした。


彼女の壁に飾ってある柱時計の針が9時を指していた。


「もう横になりましょうか」


みのりはソワソワしながら立ち上がり、パジャマに着替えだした。


その時、見知らぬ女性とさっきの子供達がドアを開けて入ってきた。


「こんばんは。みのりのお友達の方ね」

その女性は私の顔を見て、和かに話しかけてきた。


子供達はさっきとは違い、パジャマに着替えて枕やぬいぐるみを握りしめている。


この部屋で寝るっていう事?


みのりを見ると、もう自分のベッドに入って横になっている。


「お姉ちゃん、一緒に寝ようよー」


女の子が私の布団の中に潜り込んできた。


男の子は一緒にやってきた女性と話こんでいる。


「ママ、明日はお休みだからゆっくりできるね」


ママという事はこの子達の母親?じゃあ一階に住んでいるのか。


2人は何故がこの部屋で寝るのだろうと想像がついた。


しかし驚いたのは、この母親までもが床の上に横になりだしたのだ。


えっ?ちょっと。。


「あの、そこで寝たら風邪を引きますよ」

私は布団から立ち上がって女性に言った。


「おばちゃんは大丈夫だよ」

私の言葉に男の子がぶっきらぼうに答えた。


「おばちゃんって、、あなた達のママじゃないの?」


私はびっくりして問いかけた。





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