第15話 能力値

 さて、ここで【能力値】について分かっていることを説明していこうと思う。


 まずは体力。


 体力は、その名の通り今の自分のスタミナみたいなものだ。

 スタミナ、といっても意味合いは広い。


 労働をするときに使うという意味でのスタミナでもあるし、攻撃されても耐えられるという意味でのスタミナでもある。


 要は、体の持久力だ。これが切れると行動が不能になり、労働をするのなら休めばいいが、魔物と対峙しているときに切れたらタコ殴りにされる。多分死ぬ。

 だから、かなり重要なパラメータだと思う。

 単純に体力というステータスが多いだけで、行動できる量が増える。

 優先的に上げていきたい能力値でもある。


 この体力は、休むことで回復する。最大で能力値に書かれている数値まで回復する。


 回復するスピードは、体感的には体力の能力値が上がるほど早くなるイメージ。

 だから多分、体力の能力値の何パーセントを一時間で回復するみたいなものだと思う。

 たぶん1時間で10パーセントくらいだろうか。


 このように、体力はとても大事な能力値だということが分かるだろう。


 最初の頃と比べて、今では体力が60近くにもなった。


 だから。


「ふぅ。今日はこんなもんか」


 ダンジョンに入ってからも、体力が伸びていくごとに一日に倒せるゴブリンの数も増えていく。


 今では1日で50匹は余裕で狩れる。

 多分、家の改築とか、今頑張っている解体場の設置に体力を割かなければ100匹は狩れるのではないだろうか。


 この能力値の上昇はとてもありがたい。



 次に力。


 これは、もうその名の通り、このパラメータが上がるごとに力が増幅する。


 例えば物を運ぶときに使う力だったり、魔物を倒す際の殴るときに使う力だったり。


 こちらも体力と同様で上がると嬉しい能力値になる。


 最近は石を運ぶ機会が多いので、力があると一度に運べる石の量が増えて楽になるし、ゴブリンを倒すときも力が高い方が楽に狩れる。


 今では、スキル【運搬】で大きくなった袋一杯に石を入れても何とか運べるようになったし、ゴブリンなんか適当に殴っとけば勝てる。

 めっちゃ便利だ。


 それにこの能力値のいいところは、パラメータの上昇が肌で感じることが出来ることだ。

 他のステータスではこうもいかない。


 力が上がればすぐにフィードバックされて楽になる。

 だから例えばゴブリンを倒した後に急にバッグが軽く感じる、みたいなことがあって楽しい。


 上げやすく、それでいて上げると楽しい。

 最高の能力値だ。今のところ、どのステータスよりも価値が高い。


 ぜひダンジョンから帰還したらダンドと腕相撲をしよう。

 ボコボコにしてやる。



 そして、お次は分からない能力値4つ。


 防御、魔力、運、そして賢さだ。


 正直これらはあまり能力値が上がっても実感するタイミングがない。


 防御の方は、上がると多分体がより強くなるのだと思う。


 強くなる、と言っても受け身的な意味で。

 自分から積極的に働かせようとする意味での強さは、力が担っている。例えば物を運ぶのだとか、物理攻撃を加えると言ったものだ。


 だから防御を上げると、外界からの攻撃に強くなるのだと思う。

 殴られる、はもちろんたとえば壁に体をぶつけたときの痛みも減少するとか。


 まあ何分、検証をしていないので何とも言えないのだけど。


 そして、魔力と運と賢さだけど、これは本当に未知。


 魔力はたぶん体力と同じで、上げると体に貯められる魔力の量が増えるのだろうけど、そもそも消費する手立てがないので不明。


 運と賢さについてはまじで何も分らん。


 賢さというのだから頭がよくなるのかもしれないが、この世界で頭を使う機会に恵まれていないので分からない。

 運は……きっとよくなっているんでしょう。知らんけど。




 最後に敏捷。


 これは言うまでもなく脚力に関係するものだ。


 例えば足が速くなったり、例えばジャンプ力が伸びたり。

 こういった恩恵を、このパラメータから得られる。


 このパラメータは、普段はあまり意識することもないが、魔物との実戦では大いに役に立つ。

 なぜなら、いくら体力が上がっているとはいえ攻撃をまともに受けることはリスクになるからだ。


 出来る限り攻撃は避けられる方が良い。前に村でフォアウルフと戦闘になった時なんかは、避けられなければ確実に死んでいた。


 だから、このパラメータはいつでも役に立つというわけでもないが、無いと命の危険にもつながる大事なものだという位置づけだ。




 さてどうしてこうやって能力値の説明をしたのかというと、能力値は非常に大事だということが分かってもらいたかったからだ。


 多分今はまだ分かっていない運や賢さ、それに魔力なんかもいずれは必要になるときが来るはずだし。


 それに、能力値を上げていけばより生活が楽になるし、そのために魔物を倒していけばその副産物として魔石やら食料やらが手に入る。


 だから手っ取り早く能力値の上がるゴブリン狩りは、いつも一日のうち8時間くらいを使ってやっている。

 一体一体の経験値の量は大したことないが、一日頑張って100体も倒せば1レベルくらいは上がる。


 そしてパラメータを上げることで、建築の方も効率よく進められるのだ。


 ちなみに、溜まった魔石の量はすでに300個を越えている。


 一日に多くて10個くらいしか使わないから、勝手に溜まっていってしまうのだ。


 そして、ひとつひとつはおにぎりくらいの大きさしかないけれど、さすがに300個もおにぎりがあったら邪魔になる。

 いや、300個のおにぎりを家に置くっていう状況が考えられないけど。


 ちなみに300個の魔石といえば、一個が400円なので大体12万円だ。

 これで、次にダンジョンに潜るときはもっと準備できるので、次に進める。


 ただ、アリサを迎えられる空間が欲しいので、この一階に入ってからの空洞は完全な安全地帯にしなければならない。

 絶対に魔物をアリサに近づけてはならないので、万が一の万が一すら許されないのだ。


 それこそ、砦くらいにしないと気が済まない。


 いや、もしかしたら空洞内の壁から魔物が生まれるかもしれないので、その対策もしないといけない。

 本当は他に冒険者がいるといいんだが……。まあ、無理はさせられない。


 もしかしたらアリサをダンジョンに連れてくるのは、もう少し後になるかもしれないな。


 ……。


「こうしている場合じゃない」


 休憩している時間はない。

 もし今ダンジョンが開いてしまったら、次の探索でダンジョンにアリサを連れてくることはできなくなる。


 一刻も早く、この拠点を完成させないと。


 僕は追われるようにして解体場の建築に向かった。


 これが、ダンジョンに潜ってから10日後のことだった。



 最後にステータスの確認。


【加護 坂本龍馬】 レベル 14→16


【スキル】――【型破り】レベル 1

       【運搬】 レベル 1


【フィル】

【能力値】

 ・体力 57 →61

 ・力  64 →68

 ・防御 25 →27

 ・魔力 20 →22

 ・敏捷 55 →59

 ・運  43 →47

 ・賢さ 42 →47


【魔法】


 今日のメモ――とうとう体力も60台!

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