舞台『狐面の日常』(1)
森の奥にひっそりと佇む一軒家。家の前には二人の人ががいる。一人は人は尻尾を三本生やし狐の面をつけている。もう一人も狐の面をつけているが、こちらは尻尾が四本だった。参尾は鼻唄を歌い箒で掃除を、肆尾はその鼻唄を聞きながら参尾が集めたゴミをちり取りで取っていた。
すると、セーラー服を着た少女が家の反対側から現れた。彼女は少し泥だらけだった。
肆「あ、玖々梨ちゃん。おかえりなさい」
玖々梨と呼ばれた少女笑顔で答えた。
玖「しーちゃん!さんちゃん!ただいま!!」
参「ん?くー…泥だらけだね?もしかして…また?」
玖「うん!また獣道使って帰ってきたんだ」
参「もー…制服こんなに汚して。まあ、元気なのはいいことだけど」
参尾は玖々梨の頭を撫でつつ、肆尾に声を掛けた。
参「そろそろ終わろうか。肆片付けお願いしていい?」
肆「もちろん!」
参「さ、荷物置いて手洗っておやつ食べよ。今日はね~」
玖々梨と参尾は家の中に入っていった。中に入ったのを確認した肆尾は木の方に向かって話しかけた。
肆「漆ちゃん、もう出てきて平気だよ」
漆ちゃんと呼ばれた少女が木陰から出てくる。
肆「今日も見守りご苦労様。毎日ありがとね」
漆「別に…陰から見ているだけだし、大変ではない」
肆「漆ちゃん隠れるの上手だからな~。私が行ったら絶対バレちゃうよ~…」
漆「肆は隠れるの下手。あれは誰でも一瞬で気がつく」
肆「そんなー…」
肆尾は落ち込んでいる。漆尾は全く表情を変えない。
肆「無表情だね…」
漆「そう?笑ってるつもりだけど」
肆「全く表情変わってないよ?!」
すると家の中から一人少女が現れた。彼女も面をつけ、尻尾が六本生えている。
陸「いい加減家入ったら?」
漆「あ、陸尾…」
肆「陸ちゃん!そうだね、お家入ろうか。そういえば…あの二人は?」
肆尾が漆尾に聞くが、彼女はキョトンとしている。
漆「あの二人…?」
肆「え…?」
漆「ああ、伍尾と捌尾……忘れてた」
陸「そんな気はしてた」
漆「あの二人は先生に怒られてたよ。また何かしたみたい」
陸「全く…なんのために学校へ行ってるのか。玖々梨を近くで守るためなのに。これは壱と弐に報告しないと…」
肆「まあまあ…」
肆尾は苦笑い、陸尾は呆れ顔、漆尾は無表情で家の中に入っていった。
しばらくすると、二人森の中から現れた。二人も狐面をつけ、一本と二本それぞれ尻尾を生やしている。
弐「みんな帰って来てるかなぁ~」
壱「どうでしょう…私の勘だと……伍と捌はまだな気がします……また学校でなにかやらかして怒られてるような…」
弐「お、壱の勘当たるからな~」
すると、二人の後ろから二つの人影が現れた。
捌「あ!壱尾さんと弐尾さんじゃないすか~」
弐「捌!伍も!」
伍「何々?何の話~?」
壱「ん?私の勘が当たるって話ですよ」
伍「お?!当たったの?」
壱がにゃーっと笑った。
壱「当たりましたよ。君たちがまだ帰ってないって言う勘がね。また怒られてたのでは?」
捌「あ、そこまでわかっちゃうんすね~」
弐「そりゃわかるだろ。君らの日頃の態度を見てればさ…」
伍「えぇ~そんなに悪くないよ~。…あ、そこは」
伍尾が何か言おうとするが、遅かった。弐尾は落とし穴に引っ掛かった。
伍「あーあ…玖々梨を引っかけようとしてたのになんで弍が引っ掛かるのさ」
弐尾は落とし穴から這い上がる。
弍「ふ…ふ…ふっざけるなー!今日という今日は許さないからなー!」
弍尾は伍尾を追いかけた。すかさず伍尾は家の仲良くに逃げた。
捌「弍尾さんいいカモにされてるっすね~。あは、面白ーい」
壱「全く…大人げない。さ、我々も入りましょうか」
捌「そーだね~。…ただいま」
家の扉を開く。
玖「おかえりー!」
中から元気な声が消えてきた。
(暗転)
夢見の交響曲 ソラ @sora_0_0_
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