第50話 異動

「歯医者予約しててね」


「虫歯?」


「いや、定期検診的なね」


「さすが笑 先生っぽい」



「歯は大事にしないとね」

なんかK先生っぽかった

きっちりしてそうというのかな笑


途切れる会話

意識しすぎちゃって頭が回らない


「4月から異動になるんだ」



「え!?」

青天の霹靂だった

公立の先生は移動があるんだ

すっかり忘れていた



「どこにいくの?」


「〇〇中学校」


そこは先生の住んでる家から

比較的近い駅だった

行けない距離ではないけど

私は卒業生じゃないから会いに行けない…



「だから今日会えてよかったよ」



でももう会えなくなっちゃうよ


「じゃあもう先生に会いに行けなくなっちゃうね…」


ポケベルなんて先生はもってなさそうだし、

連絡手段は家の電話か学校くらいしかない



「手紙なら書いてもいい?」


「もちろん」



「どうしても会いたくなったら学校にいってもいい?」



「いいよ」


「家に電話しちゃうかも」


「話したいことがあったらかけてきていいよ」


「うん…」


でもそんなこと現実にできる気はしなかった

私の楽しみが一瞬にしてなくなってしまった


先生も気まずいのかあまり話してくれない

そのまま駅に着いてしまった



またいつものように私を先に見送り手を振っていた

私も泣きたい気持ちをこらえて手を振った


私が連絡しなきゃ先生にはもう二度と会えない

早く卒業して先生と飲みにいく!!

電車の中で落ち込む気持ちをあげなきゃって

それを目標に頑張ろうと決めた

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