第34話 海

慣れない服に落ち着かない

そんな私をよそに先生は進路の話

人生観みたいなのを語り出す


流れる景色は都会のビル群から抜けて

海がみえたきた


「ハワイの海綺麗だったなぁ」


「そうなんですね…」   



「海っていいよな。心洗われるわ」



海…

小さい時、まだお父さんがいた頃

どこか海の近くに何日も泊まったことがあった

布団に入ると波の音が心地よくて

家に帰ってからも

海の音が聞こえてくるような

不思議な感覚がしばらくあった


あの時すっごく幸せだった 

お母さんもお父さんもすごく楽しそうで

また海に行きたい

そんなことを思ってた時期もあったことを思い出した



「海いいですね」

自然にそんなことを口走ってた



「りょうこは海が好きなんだな」

「ちょうどよかったな」


なにがちょうどいいのか


「右のあっち!ほらみてみ?」



ん???


「ディズニーだよ!見えてるだろ?」 



あれがディズニーなの?

恥ずかしいことにディズニーにいったことがない私はいい反応もできず…



「あっはい…」




「なんだディズニーも好きじゃないのか?」


ディズニーもって何も言ってないじゃん



「行ったことないから…」   



「そんな顔するなって!!笑」

「じゃあ今度いくか?」



「…」



N先生となんて行きたくない

K先生となら行きたいです!!

でも初デートディズニーは別れるって

言うしなぁ  


そんなあり得ない妄想をしながら

流れる景色をずっーと見ていた








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