第32話 常連

「いらっしゃいませ。○○さま」


別世界の店員さんが慌てて飛んできた


「取り寄せてた時計取りに来たんだけど」

「あとこの子に似合いそうな服見繕ってもらえた?」





「あちらにご用意がございます」

スタイル抜群な素敵すぎる店員さんは

微笑みながら私に近づいてきた



何パターンか用意されてる洋服たち


「これなんていいんじゃない?」 

「とてもお似合いになると思います」

なんて勝手に話が進んでいる


どういうこと!?

こんな上品でスタイルの良い店員さんがいるお店の服

私が着れるわけもない!!


立ち尽くす私に優しい笑みで話しかけてくる

それがまた怖すぎた…


「○○様 是非一度ご試着して頂いて」


というか親子くらいに思われてるのか?

私は○○様でもない



「りょうこ 着替えてきて」

ほぼ一式渡された服のタグはおっそろしい値段


ピンクベースのキャミワンピ?

ヒールの靴とバッグまで



着たこともないそれたちは私には似合わない

どうしよう…


「○○様 いかがですか?」

「あっはい。えっと」


「是非出てきて頂いて!」

こんな格好ででるなんて恥ずかしすぎる


「大丈夫ですか?」

「はいっ大丈夫です」


失礼します!と言い終わる前に

カーテンを開ける先生


「なんだ!似合ってるじゃないか」

「はい。とてもお似合いです」

ニコニコな先生と店員さん



「あーでもこれジャケットもあるといいな」

「はい。こちらもご用意させて頂いております」



「おー。じゃあそれも一緒で」

「ありがとうございます。」



「このまま着ていくから。」

「かしこまりました。いつもありがとうございます」



「失礼します。」

数箇所のタグを外してくれる店員さん


 


「そこ座って待ってて」

振り返りざま一言残すと

店員さんと奥に消えていく2人


これってどういう状況?

お店の外を歩いてる人たちは

みんなイケイケの別世界の人たちで

異次元に紛れ込んだみたいな気持ちになった


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