第23話  ステーキランチ

ここはいわゆるラブホってやつだ。

エレベーターの中はやたらにキンキラキンだった。

握ってる手を離そうとしない先生。


 

長い廊下の各部屋の前には、

部屋番号の看板?が赤だったり消えてたりした。



「ちょっといい部屋にしたから楽しみだねー」

  

「…」



お洒落な空間が広がっていた。


「やっぱり高い部屋は違うな。」


初めて入ったラブホ

それも好きな人と行くとこだと思っていた所なのにN先生と来てしまった。


「そんなとこに突っ立ってないで、中に入ってきなよ」


中に入ろうとしない私に業を煮やした先生。

私の手を引っ張ろうとする。

ちょっと抵抗する私に呆れた顔で


「この部屋に入ったら襲われるとでも思ってるの?」


「せっかくいい部屋なんだから、もったいないよ」



窓際の椅子に腰掛けて

机の上のメニューたちを見てるみたいだった。


1人でも帰れないし、逃げられるとも思えなかった。


部屋に入ってみると、メニューを渡す先生。


「好きなもの食べていいよ。」

「俺はこれにしようかな」


ステーキランチ2000円を指差していた。


「私は…」


1番安いのはたぶんこのやきそば?

「やきそばでお願いします」



「え?!本当に??笑」

「食べたいならいいけどさ、遠慮してるの?」



「そんなことないです。自分でお金払います」



「いやいや、ステーキ嫌いなの?」



「嫌いではないです…」



「あと飲み物はコーヒーでいい?」



「飲み物大丈夫です…」  

コーヒーに500円?!

高校生の私には高すぎた



先生はかなり呆れた様子で

「りょうこ、お金出さなくて大丈夫だよ」

「これぐらい払えるから連れてきてるんだから」



そんなこと急に言われても

デート代だしてもらうとか、甘えるとか

そんなことしたこともなかった。

それにデートでもない。



わたしの返事を待たずして注文

「ステーキランチ2つとアイスコーヒー2つでお願いします。」




「30分位掛かるみたい」



「そうなんですか」


30分もどうやって過ごすんだ(・・;)

それにステーキまで…

そんなわたしの気持ちなんて知らず。


「テレビでも見てるか」

大きいテレビの前のベッドに腰かけて

リモコンで番組を選んでいる。


「りょうこもおいで」

「なにみたい?」


隣に座るようにポンポン叩いてる先生。

仕方なく少し距離を置いて腰掛けた。
























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