第21話 ポケベル

バイトが終わりポケベルを見ると

メッセージが入っていた。


にちよう〇〇えきまえ10じ

まちあわせ 



予定を勝手に指定してくるN先生。

行かなかったらどうなっちゃうんだろう。


まだ無知だった私は

怖くてすぐに公衆電話から返事を打った。



わかりました。

 


何のために会うのかも分からず

バイトの日程も変えてもらった。



会った時に消してもらうか、

現物をもらえるように話をしてみようなんて

甘い考えを持っていた私。


 

あっという間に日曜になり

ドタキャンしようか、行かなかったらどうなるか。

考えても答えは出なくて

結局怖くなって待ち合わせの駅に

早めについてしまった。



改札を出ようとすると改札の外に立っていた。

「早かったね!えらいな」


学校の時より少しチャラい感じの服装のN先生。

動揺してる私の手を掴むと歩き出した。



「どこいくんですか?」

  


「すぐそこに車停めてるから」


 

助手席のドアを開けて

「どうぞ、お嬢様」なんて笑っている。


演技なのか本気なのかも良く分からないし

余計に怖かった。


「ありがとうございます…」

車に乗るとすぐに車を走らせる先生。



「その敬語、今日は学校じゃないから

やめない?」

  


「え、でも…」

急にタメ口なんてさすがに聞けない。



「まあいいや」  


「最近勉強ちゃんとしてる?」



してなかった。

あれ以来勉強する習慣が私の中でなくなってしまっていた。


「授業中も答えられないこと多いな」



それは先生のせいじゃん。

あんなことがなければ…

言いたい言葉を飲み込んだ。




















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