第19話 帰り道

頑張って学校に行った日、N先生の授業もなく

会わずに済んだ。

見かけることもなくその日はほっとしていた。


でも数学の授業はどうしても受けないわけにはいかない。

授業中はほぼ下を向いてノートを取ることに専念してても思い出してしまう。

そんな私にわざとなのか当ててくる先生。


「わかりません…」


考える気も答える気も起きない。

 

「大丈夫か?ここは前にもやったとこだぞ?」


「すみません…」


先生は私になにがしたいのかわからなかった。

わざと晒そうとしてるの?

もうこのまま存在ごとスルーして欲しかった。


N先生に勉強を教えてもらわなくなったこと、

勉強する気が起きなくなってしまい

成績はかなり下がってしまった。

このままじゃK先生と同じ国立大学には行けないかもしれない。


やっぱり予備校に行かないと難しい。

でもやる気にもならなかった。

気分転換にバイトをしてみることに決めた。

予備校のお金も貯められたらとか

少し思ったりしていた。



バイト禁止の学校だったけど 

学校から遠いお蕎麦屋で働ける事になった。


初めてのバイト。

学校ではできない友達もできたし、

N先生とのこともこれで少しは気が紛れていた。


あれから1ヶ月経ち、

久しぶりの委員会の日。


先生に会わないように、

いないタイミングを見て下校。

その日も先生の車は置いてあったので

まだ学校にいる。


早足で帰っていたら、

1車線になるところで後ろから車の気配がしたので、先に行ってもらおうと私は止まって端によけた。


その車は私の横に寄せてきて、怖くなってさらに壁に寄ってるのに通り過ぎない。


「りょうこ!送るから乗って!」

N先生だった。



「大丈夫です!」

歩こうとすると更に寄せてくる車。 

  

「話したいこともあるし、早く乗って」



N先生の口調も怖くて仕方なく乗った。


「家まで送ってあげるよ」


「本当に大丈夫です」

家の場所を知られたくもなかった。


私は下を向いて話したくないオーラを出しまくった。



「痛かった?」


は?この人なに言ってるの?


「よかったよ。りょうこ」


いつのまにか名前で勝手に呼び捨てに

してるのも気持ち悪かった。


なにを返す言葉があるのか。



「聞いてもらいたいものがあるんだよね」


「ここで聞く?」

「それとも家に来る?」



「聞かなきゃいけないものなんですか?」



「そうだね」

少しうれしそうにしてるN先生


聞かなきゃいけないもの?!

急に胸騒ぎがした…













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