第33話 『黄金郷」




入場ゲート


 「ようこそ『デスティニアランド』へ!」

 

 輝かしい笑顔で出迎えてくれるスタッフ。

 衣装もこだわっているようで、銀とブルーのLEDライトで近未来感を演出している所を見るとかなり世界観を重視している事がわかる。


 「入場チケットを拝見させて頂いてもよろしいですか?」

 「あ、はい」


 そう言われ俺のスマホの入場バーコードを表示して銀色ミニスカLED女子スタッフに見せる。


 「それでは失礼します…」


 ピッと読み込む機械で一瞬でバーコード情報を読み取った銀色ミニスカLED女子スタッフは驚愕した顔をし、何やらマイク付きイヤホンでどこかと連絡を取っている。


 「あれ…もしかして有効期限切れてたかな…」

 「冗談でしょ?ここまで来てそれはあんまりだわ…」

 「大丈夫でしょうか…」


 ここまで来て「この入場チケットは無効です」などと無慈悲な一言を言われまいかとヒヤヒヤしたが、ぴっちりスーツを纏ったオールバックで髪型をピシッと決めているスタッフが大慌てでやってきた。

 

 「た、大変お待たせして申し訳ございません。私この「デスティニアランド」支配人の渡部ヨシハルと申します。いやはや噂には聞いてましたがまさか本当に実在するとは…」

「は…はぁ」

 汗を拭き取りながら頭を下げるヨシハルさん…入れるのか不安に思っているのが顔に出ていたのか、詳しく説明をしてくれた。


 「この入場パスをお持ちの方は創設者並びに世界有数企業の一部の人物しか発行していないパスでして…今まで一度もお目に掛かって居なかったもので都市伝説となっていたのですが…まさか本当にいらっしゃるとは…」

「えっと…それで入れるんですよね?」

「えぇえぇ!もちろんですとも!私達スタッフ一同誠心誠意ご期待に答えさせていただきます」


 ホッと胸を撫で下ろすミウとヒカリ。どうやらこのまま回れ右をして帰らずにすむらしい…


 コホンッと咳払いをしてヨシハルさんは姿勢を正してこちらを見る


 「先程は取り乱してしまい申し訳有りませんでした。白金アキラ様とお見受けしますが他の可愛いレディ達はアキラ様のお連れ様という事でよろしいでしょうか?」

「///」

「…ッ」


 可愛いと言われて少し照れる二人。俺はそれが事実だと言う意思を込めて頷く。


 「かしこまりました。でしたら本日は全てのアトラクション並びにレストランでのVIPルーム使用権限、そして我が「デスティニアランド」が世界に誇る宿泊施設である最高級ホテルのご利用が可能ですがいかがなさいますか?」


 「えっ!もしかしてここのホテルに泊まれるの!?」

 

 隣接してるゴールド一色の超豪華ホテル「黄金郷」に泊まれる事もできるのかよこのパスは!?いくらなんでも太っ腹すぎるだろ!?

 だけど今回は二人共泊まりになるなんて言ってないし着替えもないだろうから断ろうとしたらミウとヒカリが


 「やったねミウちゃん!!!こんな豪華なホテルに泊まれるなんて夢見たい!」

 「兄さ…皆でお泊り出来るなんて嬉しいです!」

 「もちろんダメなんて言わないよねアキラくん?」

 「ふ、2人がいいなら俺もいいぞ?けど急に大丈夫なのか?特にヒカリの親なんかには…」


 親が反対するんじゃ…と思ったがすぐにヒカリが反論した。


 「大丈夫よ!アキラくんと一緒って言えば大丈夫だから!」

 「そ、そうなのか?今は詳しく聞かないとして…わかった。ミウはどうだ?」

 「わ、私も大丈夫です。こんなチャンス逃したらいつ泊まれるか…(兄さんと)ボソッ」


 最後は何を言ってるかよくわからなかったがとりあえず2人が良いらしいので


 「それじゃホテルの方も手配よろしくお願いします。」


 「かしこまりました。最高のお部屋をご用意致しますので是非期待しておいてください」

 

 泊まれることがわかり後ろで2人共「キャーやったー!」「まさか泊まれるなんて…ウットリ)てやりとりが聞こえたがまぁいいだろう。急な泊まりとなったがたまには良いんじゃないか?こういうのも…


 「では手続きは以上となります。全ての操作はスマホ上で出来ますので何かあればトラブルダイヤルで電話していただければ私がすぐ駆けつけますのでご安心を」

 「あ、ありがとうございます」


 そこまでしてくれるのか…やっぱここの施設は噂に違わずすごいな…予約5年待ちだけはあるな…


 「それではようこそ「デスティニアランド」へ!!あなたの知らない未知の世界がこの先に待ち受けています!どうぞ心より満足の行くまで楽しんでください!!」

 

 「なんかすごいわね…」

 「さすがです…」

 「ふふっ楽しみだな」




 こうして豪華で重厚そうな入場ゲートが開き「デスティニアランド」へ足を踏み入れた。






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