第29話 妹流あいさつ
俺の…俺の思ったこと…今!!俺の思っている事を全力でミウに伝える!!それが俺にできる唯一の事だと思うから!!ミウにもう嘘はつけない。付きたくない!だから俺が今一番ミウに対して思っている事を想いの全てをぶつける!!!ミウ!!!俺は!!!!
「ミウの事が可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて可愛くてしょうがなくて見れなかったんだ」
「えッ?」
「ミウにはわからないと思うが…兄ちゃんミウと一緒にいたら恥ずかしくなって照れちゃうんだ」
ミウの眼をこれでもかというくらい見つめるアキラ
「え…っと…」
困惑するミウ。思ってもなかった事を真剣に見つめられながら熱弁されたのだ。困惑しないわけがなかろう。
「だから今までミウの眼をちゃんと見れなくて!ミウとちゃんと話できなくてごめん!!!!!ゴンッ」
謝る際テーブルに思いっきりおデコをぶつけたがそんなの気にしていられない。ミウのために本気で謝る。
「今更はいそうですか。とはならないと思う…だけど兄ちゃん本気でそう思ってる。ミウの事世界一可愛いと思ってる。それで俺の行動でミウを悲しませちゃって本当に申し訳ないと思ってる!!!!」
「ごめん!!!ミウ!!!!」
「…///」
言葉にならない悲鳴をあげるミウ。そんな事も知らずまだテーブルにおでこをゴシゴシさせながら誠心誠意謝るアキラ。
「だからどうか兄ちゃんがミウの事を嫌いになったとかもう二度と思わないで欲しい!そんな事!!未来永劫!一生!この先!!絶対ないから!!!」
はぁはぁはぁ…言い切った…言ったぞ!!!俺は!!!全部!!!思った事全部言ったぞ俺は!!!!!!!
不思議と緊張しなかった。ミウを目の前にしても自分の言いたいこと全部言えた…どうしてかはわからない。心境の変化?大人の階段登ったから?わからない…だけどミウは俺にとって大切な…かけがえのない…大好きなミウだから…これからはちゃんと向き合っていく。…そう心に決めたから。
恐る恐る顔をあげるアキラ。そーっと様子を伺いながらミウの顔を見る。
涙を滝の様に流しながらアキラの顔をずっと見ていて、口に手を当てながら信じられない!と言った様子だった。その顔には悲しみも、怒りもない。ただただビックリしながら涙を流すミウの顔がそこにあった。
「変な兄ちゃんでごめん…だけどこれが本当の俺なんだ…許してくれるか?ミウ」
「う…ぅ…うわぁーん」
そのままテーブルを突き飛ばして突進してくる勢いでミウは俺に抱きついて来た。
物凄い勢いだったが俺はミウの全力の突進を全力で受け止める。
「兄さん!!兄さん!!兄さん!!うあぁあーん」
「ごめんな…ダメな兄ちゃんで」
「ぞ…ぞんなごどなぃ…」
「こんなにミウを悲しませてるじゃんか」
「うぅ…いいのぉ…」
「よくないだろ…」
「いいのぉ〜〜」
ミウを受け止めた拍子に床にケツからダイブして俺の足の間と身体にミウはしがみつきながら泣いている…風呂上がりで女子特有の良い匂いがミウから香りその頭を俺はヨシヨシとなだめる様になでる…
しばらくミウの頭をゆっくり愛でる様になでていたら、落ち着いたミウが眼と鼻を擦りながら向かい合う様に起き上がった。
「私の事世界一可愛いって思ってるの…?」
「ん?…あ、あぁ思ってるとも!」
もっと責められると思っていたが、まさかそんな質問がくるとは思わず強気で返事をしてしまった俺。
「本当に?」
「あぁ本当に。世界で一番可愛いと俺は思うぞ」
「そう…じゃあヒカリさんは?」
「お???」
ヒカリ…ヒカリ…ヒカリさん??はっはーん。さてはヒカリと私どっちが可愛いの?って事か?だったら答えは簡単さ。俺にとってヒカリとミウではエベレストと富士山を比べてどっちが高いか?って聞いてるもんさ!当然…
「ヒカリも可愛いと思うけどミウには到底敵わないなぁ〜」
ありのままを言う
「ふふ。ヒカリさんには悪いけど…なんだか嬉しい」
「ミウと比べられちゃ他の誰もが悲しい結果になるんだけどね」
本人を目の前にしてこんな恥ずかしいセリフがペラペラ出るとは…今日の俺ヤバい。脳の何かがリミッターをぶっ壊して突き抜けるところまで突き抜けてしまっている。
そんな事を考えているとミウが起き上がり伸びをした。
「なんだかいっぱい泣いてスッキリしちゃった」
そう俺に話しかけるミウの顔はさっきまで泣いていた顔とは思えないほどスッキリと…そしてなんだか開き直った様な顔をしていた。
「なんだか…初めて本当の兄さんと話してる様な気がする」
そう俺を見つめながら話すミウ。俺も起き上がりミウの前に立ち見つめる。
「俺も…初めて本当の意味でミウと話をしてる気分だ…」
「兄妹なのに変なの…フフフ」
そう小さく笑うミウの顔は今まで見た笑顔の中で一番小悪魔っぽくて、子供っぽくて、そして本当に嬉しそうな笑顔だった。
一瞬が何十秒もの時間と錯覚してしまう程見とれてしまっていた俺はふと我に返り時計を見た。
「あ、もうこんな時間か…風呂に入って早く寝なきゃ」
「本当だ…私いっぱい兄さんにギューしちゃってたね」
「うっ…そんな事言葉にしないでよろしい!」
「ふふっ」
「ははっ」
二人見つめ合いながら少しばかり笑い合う。するとミウは手を後ろに組みながら少し照れくさそうに
「今までの事…許してあげる…」
「あ、ありがとう!ミウ」
「けど!」
ジィーっとこちらを睨む様に上目遣いで見つめてくるミウ…
初めて見るんですけどその上目遣い〜〜!!!なにこれ!!なにこの可愛さ!!!新発見!!!
そんな真顔でバカな事を考えていたら
「これから前みたいな態度は絶対に許さないんだから」
「わかったよミウ。俺もちゃんとミウに向き合うって決めたから」
「そ、そう…ならこの話はもうお終い!」
クルッと後ろを向きモジモジとしているミウ…なんだ?今日は新世界の幕開けなのか??俺の知らない世界(ミウ)がどんどん見れるぞ!?!?
なんてのんきに歓喜していたら
「わ、私もう寝ようかなぁ」
「そうだな。俺ももう風呂に入って寝るわ…今日疲れたし…」
伸びをしてポキポキと腕と背中の関節を鳴らす…一瞬だが今日の疲れを吹き飛ばす快感が襲うがすぐに元に戻った。そんな簡単に疲れなど取れぬ。
「…じ、じゃあ私もう寝ようかなぁ…」
「ん?お、おう」
なんだ?なぜ二回も言った?それにミウがさっきからこちらをチラチラと見てはすぐ視線をそらしてそっぽを向くではないか。ははーん?さては頭ヨシヨシが忘れられなくておやすみのヨシヨシをして欲しいんだな??可愛いなぁ本当
そう思い俺はミウの頭をポンポンとやってからヨシヨシした
「ちゃんと布団かけて足冷やさないように寝ろよ?」
「う、うん…」
「ん?なんだ?」
なんだかミウが期待はずれ…みたいに落ち込んだ顔をしている。
俺の感が外れたのか?ミウセンサーがビンビン反応していたがヨシヨシ攻撃はミウのツボにはまらなかったか…
有頂天に登っていた俺の思考を遮るようにミウがボソっと言う。
「お、おやすみのあいさつしたいんだけど…」
「へっ?あぁ。おやすみミウ。また明日な」
そうミウの顔を見ながら言った。だけどミウは
「ち、ちがう」
「え?じゃあどういうあいさつすればいいんだ?」
わけもわからず尋ねる
「じゃあ…眼瞑って…」
「お、おう…」
言われるがまま眼を瞑るアキラ。
おやすみのあいさつに眼をつぶるなんて聞いたこと…ん?あれ?なんかデジャヴ感あるぞこれ。ちょっと待って。冷静に考えろ俺。おやすみのあいさつに眼をつぶる理由がどこの世界にあるんだ?あれ?これってさっきヒカ…
今まで考えていた事全てが、唇に触れるやわらかい「ナニカ」の感触で一瞬にして全て吹き飛んだ…
びっくりして眼を開ける。だがそこにはもうミウの姿はない。振り向くとリビングの扉から出ていこうとするミウ。俺は今まで味わった事のない感情に支配されながらミウの姿を見る
顔を赤らめ走り去ろうとするミウはリビングから出ていく直前、振り向き俺に言った。
「か、海外じゃ…あいさつでもキスするみたいだから…おやすみ!」
バタバタと階段を駆け上りガチャッ!バッタン!と自室に戻っていったミウ…
「ふぇ…?」
なんともなさけない声がリビングに響きわたり、人生で二度目のキスを味わった白金アキラであった…
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