第26話 ミウ視点その1


 


 …最近兄さんの様子がおかしい


 いつもはなんだかこちらの様子を伺いながら話しかけてきたり、私から話しかけたとしても目を反らすがチラチラこちらを伺いながら話していた。

 だけど今回の兄さんは全然こっちを見ない!本当に私を見てくれない…


 そう感じたのはやっぱり…一緒に兄さんと寝てからだ。怖くてとても一人じゃ寝れそうになくて…どうしても昔の様に兄さんと一緒に寝たかった。

 そうしたら兄さんの方から一緒に寝ようって言ってくれた。涙が出るほど嬉しかったのに私はあろうか事か兄さんがお風呂に入っている間に寝てしまった…


 「兄さん…」


 兄さんの様子が変わってしまってから何日経ったんだろう…


 「このままじゃ…ダメだよね」


 そう一人部屋で嘆くミウ…



 私が兄さんに迷惑かけちゃったからかな…一緒に寝ようって冗談で言ったのに私が真に受けて…だから兄さん困って私の事を嫌いに…


 バタバタバタバタバタバタバタバタ

 

 バタバタと脚をベッドに打ち付けてその反動を使いさらにバタバタさせるミウ

 

 一緒に寝ると言いながら兄さんと一言も会話せずに寝てしまい少し罪悪感のあるミウ。

 せっかくもう少しで昔みたいに仲良くしゃべれる様になるようになったのに…考えれば考える程罪悪感に打ちひしがるミウ…

 今回は私からちゃんとしなきゃ。兄さんが私を守ってくれた様に…私もしっかりしないとよ!白金ミウ!兄さんの名に恥じない行動をしなきゃ…


 「よし…明日ちゃんと聞こう…あし…た…」


 そう胸に決意し、枕を抱いて眠るミウであった…






 翌朝



 目が覚めるとカーテンの隙間から朝日が差し込み、心地の良い鳥の囀りで目を覚ます。


 「ん…」


 いつの間に寝ちゃったのかな…

 

 時計を見ると朝6:30


 「兄さん帰ってきてるかな…」


 そう思い目をこすりながらベッドから可愛らしい寝間着姿で起き上がるミウ

 自分の部屋から出て顔を洗いリビングに向かう。朝兄さんが帰って来た時のためにコーヒーをいれるためだ。


 自分様にカフェラテを作り、兄さんのブラックコーヒーをいつでも渡せるようにコップに注ぎ待つ


 「まだ帰ってこないのかな…それにしても遅いな兄さん…」


 自分が飲むために注いだカフェラテはもう飲みきってしまい兄さんのために作ったブラックコーヒーは冷めてしまう頃ようやくミウはアキラが帰って来ない事に焦りを覚えた


 「まさか…」

 

 悪いと思ったがいつも帰ってくる7時を過ぎても帰ってこない兄さんを不審に思い、ミウはアキラの部屋をコンコンと優しくノックする


 「兄さん?起きてるの?」


 「・・・」


 何も返事がないことを確認して扉を開ける


 カチャ…


 扉を開けるとそこには整理整頓されて必要な物意外何もない清潔感のある兄さんの部屋があった。

 最初にミウが確認したのは学生服だった。


 「兄さんの制服がもうない…」


 次に兄さんがいつも学校に持っていく鞄を探すも整理整頓され、必要な物意外なにも置いていない部屋である事から兄さんの鞄が無い事は、そう時間がかからずともわかることであった。


 「…」


 もう兄さんはこんな早い時間から学校へ向かってしまったと認識した途端、沸々と怒りが湧いてきた。

 

 「私は兄さんの事…こんなにも心配してるのに!」


 フルフルと震え、目に涙を溜めて必死に抑えようとするミウ


 何も知らないミウにとってその状況は明らかにミウを避けていると言っても過言ではない状況だった。


 「絶対に今日聞いてやるんだから…覚悟しなさい…」


 白金ミウは固くそう決意して、学校へ行き、お昼の食堂で兄さんを見つけ思いの丈をぶつけるのであった。






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