第21話 全て話す決意
昼を告げるチャイムが鳴った
ヒカリは他の女子と机をくっつけて弁当を食べるようだ。いつの間にか俺の席へと座り机を動かしている所で俺とドク男は昼飯を食べるべく食堂へと赴く。
ドク男はというと、昨日みたアニメの戦闘シーンがお気に召さなかったようで、ずっとその愚痴を言い続けている。俺に言った所でわからないんだけどあまりに熱く語るその姿に少し笑みが溢れてしまうのは内緒だ。
そういえば…ドク男の家はどこだっけ?今までドク男のプライベートは聞いたことがないのでふと気になった。
「そういえばドク男の家って学校からどのくらいなんだ?あんまり遅くなると親御さんに迷惑かかるんじゃないか?」
俺はミウとふたり暮らしだから連絡一つすれば遅くなっても夕食は一人で食べてくれるだろう。(本当はめちゃくちゃ一緒に食べたいけど)どのような稽古か今から楽しみでしょうがないがご両親に迷惑をかけてまで教わる気にはなれない。
「ん?家でござるか?拙者今一人暮らしで駅前のマンションに住んでるでござる。親もいないので快適でござるよ!帰ればすぐにアニメ見放題でござる!!」
「そうか一人暮らしだったのか…今まで知らなかったよ…」
一人暮らしだったとは知らなかった…もしかして両親とはとっくに死別してしまったのか?嫌な思い出が一瞬脳裏によぎるがすぐに頭を切り替える。
そんな俺の表情を読み取ったのかわからないがドク男は語った
「両親は仕事が忙しくて家に帰る時間があまりないでござるよ。だからどうせならって事で学校の近くにあるマンションに引っ越したでござるよ!実家はここから2時間くらいのところにあるでござる」
「え!?そんな遠い所なの?どうしてこの学校を選んだんだ?なにか特別な事情でもあったのかよ」
ん〜と少しドク男は困った顔をしながら考え…
「女子の制服がかわいかったからでござる!!!」
パシッ!
「い、いたい!師匠に手を挙げるとはなんたる恥知らずでござる!極刑に処すでござる!!」
クネクネと指をさせながらこっちに近づいてくる
「すまんすまん!ツッコまないといけないところかなぁ〜なんて」
「師匠に手を上げた。その事実さえあれば極刑でござる!!!」
マジで襲ってきそうな形相だったのでマジで走って逃げた。
「ま、待つでござる〜〜〜」
そんな師匠の言葉を聞きながら食堂へと走り去った。
食堂
俺とドク男は無事和食のA定食を手にしながら席へ着いた。
「ところでドク男って武術でもやってたのか?」
本当にいつの間にか俺の後ろへいるからな。影が薄くて気づかなかったとかそういうレベルではない。
「親から子供の頃から習わされていたでござる…『男たるもの強くあるべし!!!』って、常に父上が言っていたでござるよ…あ〜思い出したくもないでござるよ…」
そんな過去があったなんて…今のドク男からはまったく想像できないな…
「へぇ〜今のドク男みたいになるとは夢にも思わなかっただろうな〜」
ハッハッハと笑っていたら度が強くて眼すら見えないメガネがキラッと光り、殺気を感じた。
「ハ・・・いや冗談だ冗談」
「そうでござるよね?拙者今もまともでござるよね?」
「う、うん…まともまとも」
「やっぱりそうでござるか!良かったでござるよ!!」
機嫌を良くしたのか止めていた手を再び動かして食事をするドク男。こいつの殺気ホンモノダ…
すると突然
「隣よろしいですか…兄さん」
ブッー!!
飲んでいたお茶を吐き出してしまい正面にいたドク男にかかってしまう。また先程の殺気を感じてすぐに謝りハンカチを手渡す
「…大丈夫ですか?」
「だ、だいじょうぶだいじょうぶ…な?ドク男??」
「ふふ…ミウ殿!大丈夫でござるよ!」
笑った顔でミウに返事をする。だがその後すぐ殺気を放ち俺の方を見るドク男
すまなかったって!本当にわざとじゃないんだよ!!ごめんって!!
さっそく俺の隣に座るミウ
(うぉおおおお!!!一緒に昼飯食べようって約束してなかったのに隣にいるぅううう!!うれしぃいい!)
「ミウ殿珍しいでござるね一人で食堂なんて…何かあったでござるか?」
ゴホンゴホン…たしかに珍しい。急に連絡もせず来てくれるなんて…俺にとってはご褒美サプライズ以外のなにものでもないのだが…
「えっと…最近兄さんが私を避けているようなきがして…それで…」
!?!?!?!?!?!?!?!?!?
「えっ?どういうことでござるか??」
どういうこと!?俺避けてないよ??避けるわけ無いじゃん!!!むしろ近づきたくても近づけないから困ってるくらいなのに!!!
「なんだか家に帰ってもそっけないし…私と眼を合わせようともしてくれなくなってそれで…昔からあまり会話はしない方だったのですが、最近はそれとも違くて…明らかに避けてるような気がしたので…ごめんなさい。誰かが居ないと兄さん話してくれないと思ってそれで食堂に来たらお二人が見えたので…それで…」
顔を伏せて悲しそうな顔をするミウ。
俺はと言うと鳩が豆鉄砲くらった様な顔をしていたに違いない。
「ご、ごめんなさい!!」
バッと立ち上がりそのまま走り去ってしまったミウ
俺もドク男も掛ける言葉もないままそのまま姿が見えなくなってしまった。
どうして?なんで?俺がミウを避ける??そんな馬鹿な!!1日の内26時間くらいミウの事を考えているのに!?WHY??
わけもわからず放心状態の俺に
「どういうことが聞かせてもらうでござるよ?アキラ殿…」
ドク男の背後には殺気のオーラで鬼の形相で佇む何かがいた…
「ヒィ…!」
こうして俺は観念して放課後ドク男に全て話す決意をした…
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