第19話 一緒に寝よう


 あれから一条ハジメとユージロウを一時間もたたないうちに開放的してあげた。

 本気で反省している様だし自分達がした事の罪の重さもこれで充分わかったはずだ。

 解放するにあたって、この件はだれにも言いません。と一筆書かせたのでバカな真似はしないだろう。

 車を用意してくれた「サバゲーを皆に広めたいの会」の皆には色々協力してくれたお礼に好きなモデルガンを一人一個買ってあげる約束で集まってもらった。

 皆、統率の取れた動きで結構本気で怖かったけどモデルガンのために色々動いてもらって本当に感謝している。

 それに昨日、夜のタイミングから探偵を雇って一条ハジメを見張らせていたからミウを助けられたけど...もしあのままなにもせずにいたらと考えると寒気がする。


 今お風呂に入っているミウを待ちながら俺はリビングでコーヒーを飲んでいた


 (怖い思いをさせてゴメンなミウ...初めからもっと穏やかな方法で手を打ってれば...)


 今さら考えたところで遅いが、やっぱりヒカリとドク男が言っていたことは当たっていた。


(さすがはあの2人だな...後でなにかお礼でもしないとな...)


と思っていたらいつの間にか風呂から出たミウがリビングに入ってきた


 まだ髪が濡れていて、暖まったのか顔がほのかに赤く、ショートパンツに薄着一枚の格好でこちらに近づいてきた。


(風呂上がりの姿なんて久しぶりに見たけど...ゴクリ)


 息をのむほど美しいその姿に俺は見とれてしまった


「兄さん?待っててくれたの?」


 声をかけられてようやくハッと気付いた。


「あ、あぁ。ミウが心配でな...大丈夫か?」

「もう大丈夫...兄さんに助けられてから震えが止まったの...それに兄さんに抱きついてたから...」


ずっと抱き着いていた事を思いだし更に顔を赤めるミウ。普段の自分なら考えられない行動をしてしまったと自覚し急に恥ずかしくなる


「そ、そうか...酷いことされたんだ」


ふと、自分の思ったことが口から出た


「もし思い出して眠れなかったら...一緒に寝ようか......な、なーんてな !」

(お、おい!俺は何を言ってるんだ?ただの変態ムッツリ親父みたいな事言っちゃったよ!普段なら絶対に言えないセリフなのに!)


完全に変態を見るような目で見られてるだろうな...とミウの顔を覗く


ミウは大きな目を更に大きくしてビックリした顔をしていた


(あれ...いつもと様子が違う!?キモいとか死ねとか言われる流れだと思ったのに!?)


そんな事を考えているとミウが


「そ、そうね。怖くて眠れないかもしれないわ。だから...今日は兄さんと一緒に寝る...」

「へっ!?」

「な、なによ…」



俺と一緒に寝るなん何年ぶりの出来事だ!?


そ、そんな事よりミウが了承するなんて夢にも思わなかったから嬉しいはずなのにリアクションが取れなくてミウを見つめるだけになってしまった



「そ、それに今日だけだからね!本当に怖かったんだから…だから今日だけ一緒に寝る」



(夢みたいだ...ミウとこの年でまた一緒に寝れるなんて!!兄さん嬉しいぞ!!!)




「わ、わかった それじゃ俺も風呂入っちゃおうかな...今日は早く寝ようか」

「うん...」

「それじゃ...すぐ入ってくるから部屋で待っててくれ」

「わかった。ゆっくり暖まってね」

「お、おう」



 平常心...平常心と思いながら急いで風呂場に駆け込み、身体を洗い、5分だけ湯船で暖まり、髪の毛を洗ってもう一度身体を洗う!


(ヤバイヤバイ!ミウと一緒に寝る!!!これはミウと付き合える一世一代のチャンスでは!?)


と考えたが急にヒカリの顔が浮かぶ...



(そういえば...ミウは俺とヒカリが付き合ってる事になってるんだよな...彼女いるって思われてるなら...付き合えなくないか!?)


うおおおおおおお!!!っと髪の毛をガシガシ洗い無駄な考えを洗い流す!


(とにかく今日はミウを安心させるために一緒に寝るんだ!それ以外の事は考えないようにしよう!!)


 風呂から上がり、着替えて髪の毛を乾かしてからゆっくりと俺の部屋のドアノブに手をかける...


(あ~緊張する!ミウが俺の部屋に...何を話そうか...まぁなるようになれだ!)


とドアを開けた





そこには俺の枕を脚と腕でギュと抱いてスヤスヤ寝息をたてているミウの姿があった



「あははは...ですよね...」


静かにドアを、閉めてゆっくりとベットへ近づいて行く。

安心した顔で眠っているミウの寝顔を見て懐かしい気分になる...




「昔から変わらないなこの寝顔は...」


小さい頃から怖がりで、一緒に寝るといつもこんな顔して寝てたっけな...


そんな事思っていたらミウが寝言で


「にぃ...さん...」

「ふふ...寝言で俺を呼ぶとは...かわいいやつめ...」


そっと起こさないように髪の毛を撫でる...


(起こしたら悪いし俺ももう寝るか...)




電気を消して、少しミウから離れた所に横たわる



(予想と違ったけど...これはこれで一緒に寝るって事なのかな...?)



「おやすみ...ミウ」



眠りにつく意識の中、無駄にデカイキングサイズのベッドをもう少し小さいサイズにしよう。






と心に決めるアキラであった。





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