第14話 思考の負の連鎖

白金ミウ 視点 その2


 ミウの部屋


 もう寝ようとした時にふと、一条ハジメの顔がちらつく。

 兄さんの弱みを握って、私に脅しを掛けた張本人。絶対に許さないと決めた人。

 寝ようとしていた頭を覚醒させる。

 一条ハジメが見せてきた写真を思い出してミウは悲しい気持ちになる。


(兄さん…バイトまでして…無茶ばっかり…)


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 2年前



 「この家は…り、両親の残した、遺産で買った!」

 「こんな大きい家建ててお金は大丈夫なの?」

 「お金?あ、あぁ、心配ない!結構貯金あったみたいだから、大丈夫だよ。だ、だからミウはそんな事心配すんな!?な?」


と私の頭を撫でた。


私は中学2年 兄さんは中学3年の時の出来事で、ヒカリさん家の隣だったアパートを取り壊してそこに家を建て、またそこに引っ越してきたのだ。


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(何が心配すんなよ…バイトしないと生活できないなんて…もっと早く私に言ってくれれば良かったのに…)

(もしかして?朝兄さんがいないのもバイトしているから?)


 どんどん辻褄があってしまい不安になるミウ。


 私のために…私のせいで…


「もう私の事で兄さんが、傷つく姿は見たくない…」


 すると突然


 グワンッ


「うっ…」


 目眩がしたような感覚になって、気分が悪くなった。


(嫌だ…。嫌だ…うぅ…)


 沈んだ気持ちになると思い出してしまう。


 思い出したくもない。記憶から全て抹消したいくらいの壮絶な光景が脳裏に浮かぶ。


「グズッ……」


 忘れたくても忘れられない。目に焼き付いてしまった光景がミウを襲う。


 ミウは夜な夜な昔の出来事をこうして思い出してしまい、涙を流している。

 そうして思考が負の連鎖に陥ってしまうのだ…



 (もっと私がしっかりしてたら…あの時動けていたら…あの時兄さんに頼るだけしか出来なかったあの頃の自分が許せない…兄さんの後ろに隠れて目をつぶっていただけ…どうして…兄さん…ごめんなさい…ごめんなさい…うぅ…)




 忘れたくても忘れられない。



 それは約10年前に遡る…




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