第13話 とんでも思考

 白金ミウ 視点 その1


  ミウの部屋


(どうしてあんな事言ってしまったのかしら…)


 部屋に戻り少し冷静になって、自分がしてしまった事の重大さが、ようやく理解できてきた。


(兄さん…ヒカリさんごめんなさい。私ったらなんて事を…)


 ベッドにうつ伏せになり枕を抱えるミウ。

 ピンク色に統一された寝具は、普段のミウからは想像出来ないほど乙女チックだ。


 枕を抱えながらふと疑問に思った。


(それにしてもなんで気づけたの?私ってそこまでおかしな態度だった?)


 ミウは自分では気付いていなかった。


 一条ハジメといるときの自分と、アキラやヒカリ達と一緒にいるときの自分の差が。

 兄さんとヒカリさん今日会ったばっかりなのに。私の態度だってそこまでおかしくなかったはずよ


 もしかして…



 ある考えがミウの脳裏を駆け巡った。


(兄さんが私の違和感に気付いた…?)


 一番多くあの人と会っている兄さんだからこそ気づけた…?


(そうよ。絶対にそう。だからヒカリさんも連れてきてこの話をしようと考えたんだわ!いつ違和感に気付いたのだろう…もしかして朝のうちから?お昼一緒に食事をした時?)



 考えれば考える程わからなくなった。でも…



(兄さんが私の事を考えてくれてる)


 そう思うと枕に紅くなった顔をうずめて足をパタパタさせる。


(普段はあんなそっけない態度のくせに…)

(私の事なんて見てないふりするくせに…)

(本当に見て欲しい時に見てくれて、本当に気付いて欲しい時に気付いてくれる)



 なんですぐにバレたのか?答えは簡単



 兄さんが気付いてくれたから。


「すごい…兄さん…」


 兄さんの事を考えてまた頬が緩む。


「なんだかいい夢が見れそう…」





とんでも思考は兄妹揃ってであった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る