第8話 ライエ

卒業式から10日後、ジークは診察に追われていた。ここは習うより慣れろの方針のようだ。初日の午後に診察室。そして診察の様子を見る副院長。

「さすが、シェリルのほれた才能。予想以上だ。」

そう言うと出て行ってしまった。

習うより慣れろも4年目になると大体の事に対処できる。しかしジークは高等学園時代から使ってる診断魔術に不満があった。

魔力の消費は大きいし一定範囲しか診察できない。バイタルも分からない。不満だらけだった診断魔術から大きく諸元変更した診断魔術をシェリルに見せて実演した。

シェリルの感想は性能的には抜群。特に魔力消費量が2割程度で済んでこの情報量は破格。しかし魔力操作がシビア。「使う人選ぶわね」との評価だった。魔力操作がシビアなら訓練しろと言いたい。


副院長の部屋へおもねく。来意を告げ中に入る。今までの診断魔術は、魔力消費量が大きい割に診察範囲が小さい。その他情報量も少ない。

今回開発したのがこれになります。被検体お願していいですか?了承を取り秘書の女性に診断魔術をかける。秘書の周囲に情報があふれている。

副院長何処か診断していただけませんか?副院長は10か所ほど診断し数値の正確さは間違いなかった。

「使い手を選ぶな。」思わず笑みがこぼれる。「シェリル教授も同じ意見でした。しかし、魔力操作による魔力精査は訓練次第で向上します。難しいと文句言う前に訓練やらしてほしいです。これを使用してもいいのならですが。」

「ふふふ、使用許可。3カ月に1回レポート」

「了解しました。魔術陣は魔術士協会で。この治癒院とバチサレム高等学園治癒学部学生、教職者は無料になってます。」


診察が早くなるから休み時間が増える。そう思っていた自分を呪いたい。見たことない診断魔術で凄く細かいところまで診断して治療してくれる

しかも、すごい美少年?成年?とにかくものすごいことになった。診察の9割が女性。卵管閉塞とかを10分以内で終わらせる。

直腸がんなど、がんは厄介。魔法治癒術が通用しない。切除したところを魔法治癒術で修復。さすがに30分かかった。

そうこうしてるうちに指名の患者さんが全院でNo1になりました。昼食って何でしょう?の状態になった。

夕方も、4時に受付終了だから普通は5時前に終わる。でもジークはいつも7時過ぎ、ナンバーワンになると食事もとれない。妬みから同情になった。


そんな日々のある日。急患が運び込まれた。正直自分は自分の患者で手一杯。とてもそちらに気持ちを回すゆとりはなかったが、水の契約精霊エメローネが診ていて、「危ないわね」と伝えてくる。そう言われてもこっちも患者がたくさん待ってる。

そこへ看護師長が来て、

「急患の対応をお願いします。」

「なぜ僕に?患者さん滅茶苦茶待ってもらってるんです。」

「副院長からの指示です。もっとも診断魔術を使いこなせる者でないと対応できない。」

「・・・分かりました。患者さんへの説明お願いします。」

看護師長は露骨に嫌な顔をしたがジークは無視した。急患の所へ向かう途中大きな女性の叫び声が聞こえたが聞いて聞かぬふりをした。

救急搬送処置室に患者はいた。遠目からでは性別も分からない。シーツが被せてある。近くによってはじめて女性と認識した。

とにかく現状確認。患者は意識を失っているようなので、同伴の男性にシーツを取っていいか確認し、了承を取ったのちシーツを取る。


第一感想は良く生きてる。だった。エメローネが危ないと言ったのもうなずける。周囲に命じて消毒入浴後処置室へ。

「どうしてあんな状況に?」

同伴の男性に聞いてみたが黙秘。

「捜査上話せないという事にしておきます。しかし、退院できるのはぱっと見でも半年はかかる。これは最低です。治癒院の許可なく退院させようとしたら刑事捜査法などに則って処置しますのでご承知おきを。少なくともあなたと外の魔導車のお仲間の顔は記録してあります。

「ジーク先生患者処置室に運びました。」

「分かりました、今行きます。とりあえず、彼女には心身ともに治療の時間が必要でしょう。」

彼女の診断魔術の結果を見てどこから手を付けるべきか悩んだ。それほどだった。

悩んでいても仕方ないので、心臓、大動脈に近いところから治癒していく。

なかなか一気に治癒魔術に進めない。骨折箇所が多すぎる。周りを治癒しつつ骨をつなぐ。複雑骨折の所はもっと厄介だ。

上半身は両腕が痛められていたけど、下半身は子宮から下は滅茶苦茶だ。両足もかなり骨をやられている。質が悪かったのが骨盤だ。よくもここまで徹底的にやれたものだ。ここにきてやっと骨折箇所の処置が終わった。ここから治癒の出番だとジークは純粋な魔力を練って治癒魔術を行使する。通常は傷が傷を受ける前の状態に戻るが、さらに純粋な肉体の状態に戻っていく。


治療が終わってのジークの診察では退院まで7カ月。細かく砕かれた複雑骨折が多かったせい。副院長も同じ見立て。ジークの先輩治癒士は8カ月。以上の診断結果になつた。

この結果を同伴の男に伝え、男はうなずくと治癒院から出ていった。


娘は1カ月過ぎて目を覚ました。最初はパニックになったそうだが看護師のケアで落ち着いた。落ち着いたと言うので診察に向かう。

「おはよう、治癒士のマジェストといいます。」魅力3割アップ攻撃。なぜか反対側にいた看護師が震えている。

娘はぽうとほほを染めてうなずいている。

「それでなんだけど、君の本当の名前は?北の国から連れて来られたのは分かっている。」

「!!!それは・・・」

「キリィ・マクドフェス、偽名だよね。君は人としてバチサレムに入ってない。荷物と一緒に入国している。」

「どうして、分かるの?」

「君の体についていた荷物票。君とは全く関係ないところの物だった。」

「どうして治癒士の人がそんなことまで調べられるの?」

「まず、ここがバチサレムの首都にある中央治癒院であることが一つと、いろいろなコネを持っている知り合いがいる事かな。」

「私はどうなるの?密入国で強制労働?」

「それはないから安心してて。あと、君を連れてきた人たちに君を渡すことはないから。」

「どうして?」

「身分詐称。あんな人物はバチサレムの官憲の中にいないそうだ。いまは国の捜査チームが追跡活動をしているらしい。もっとも、一番不思議なのは君をこの治癒院に連れてきたこと。こうなるのは分かっていたろうに。

で、本題からズレた。本当の名前教えて。」

「・・・」

「大丈夫、僕が君を守るから。」魅力3割増し再び。

立ち直りかけていた看護師、完全に快楽神経を強振されてKO。床を幅広く濡らす。

娘は湯気が出るほどほほを熱くし瞳を潤ませてジークを見る。そして、ジークの唇に自分の唇を交わす。つたないくちづけ、一息ついたところでジークからの本気の大人の口づけ。娘は口づけだけなのに快感に翻弄されていた。

そして「ン、ン、ン、ンンンンンンンン~」口づけだけで昇天した娘だった。

口づけの後、安心したようにジークの胸に体を預け眠る娘。

まだ、激しく動かないようにしないといけないのに、ちゃんと気を付けていたがつい熱くなってしまった。

そして、名前聞くの忘れていた。

名前は翌日に無事教えてもらえた。

ライエ・サーフェス


ライエが入院して5カ月。ライエの経過は順調そのもの。しかし、治癒院の周りに不穏な影。内部的には副院長排斥論。根拠は不明だが副院長が職員の給与を低く査定しているというもの。どうやら、外部から耳に入れられ鵜呑みにして徒党を組んだパターン。そして、明らかに治癒院を監視し隙あらば潜入しようと試みている者10名近く。


副院長の方は問題ないと判断し、周辺について調査を始めるジーク。あえて、ライエには聞かなかったが向こうから来てくれるのは都合がいい。

ライエにも護衛精霊を付け即応できるように5人ほど精霊を呼ぶ。

事がこれだけ動いていれば、あの同伴者たちに動きがあるだろう。

これだけのことになる何かをライエは握っているのか?

肉体的にも魔力的にもそんな特徴的な事はなかったが。唇は絶品。運び込まれたとき全裸でアイテム類も持っていなかった。もちろん体内にもなかった。となると生まれ?しかし、そっちも調べたが普通の農家だった。

正直、あの同伴者が動くか状況の変化がないと手の打ちようがなかったのだ。

ジークは4人の契約精霊を呼び、

「違法に治癒院に侵入する者たちの情報を収集してくれ。可能だと思うけど嘘をつかせないように。その後、命を消してくれ。痕跡は残さないように。応援で来ている精霊とペアを組んでよろしく。」


ライエが入院して半年を過ぎた。怪我そのものはほぼ完治と言っていい。リハビリも順調だ。身のこなしなどを見ると相当な身体能力がある。

ジークが当直の晩、呼び出しコールが鳴った。ライエの部屋だった。

入院以来初めてのコール。何か急変したか?ジークは走った。

ライエの部屋の前に着き小さくノックする。中から小さな声でライエの返事があった。

部屋に入ると全裸のライエが立っていた。ジークもさすがに驚く。

「恥ずかしいから早くこっちに来てジーク先生」

無言でライエのそばに行くジーク。この時ジークはハニートラップの罠がないか精霊に確認していた。

「その娘の純真な心に謝罪なさい!!!」

契約精霊にはその行為をひどく怒られた。

「ごめんライエ」

「何が?こちらこそコールで呼んじゃって。」

「それはいいよ。それよりどこか具合悪い?」

「ううん。」

ライエはここで顔を上げて口づけをする。

「もう汚れ切ってる体だけど、今の体であなたに抱かれたい。今の私の初めてをもらってほしいの。」

成人して間がない娘の告白、ジークはその思いを受け目一杯愛する。ライエは快楽の波にのまれ翻弄されて自分が全てジークの物になったと感じた瞬間、これまでの快感が児戯に思えるほどの快楽の波にのまれていき熔けていき、ジークそのものと混じり合う。その時の快楽は幸せ以外の何物でもない。そろそろライエの限界を感じたジークは、ライエにとどめを刺すべく動きライエはその時を迎える「あああああぁ!!!」「うっ!」

ライエの体をきれいに拭き清め、パジャマを着せてベッドに寝かせる。そして枕元にはメッセージを置いて退室した。


やっと動き出したというより退院時期を待っていたと考えるのが無難。早い時期からだったのは抜け出されるのを防ぐのが目的。しかし、ジークは疑念があった。ライエの状況が外に出すぎている。

この件も精霊にお願いしたら遊撃ポジションだった精霊が特定してくれていた。

(ふん、想像どおりか。精霊さん次の接触で消してください。)

想像どおりとは副院長降ろしの主犯だったからである。


問題はライエに何の秘密があるのか?

その答えは治癒院のそばと北の国から同時に齎された。

ライエは財宝の眠る生きた鍵。手足が無残に折られていたのは穴の形に合わせるため。凌辱の跡があったのはあの形に合わせればどうせ死ぬんだから楽しもうという事になった。

ところが失敗した。

それならばライエで失敗した後もライエに固執したのはなぜ?

それは次の侵入者からもたらされた。

その封印は特定の魔力パターン、魔力量を備えていなければならない。

特定の魔力パターン、指紋のようなものでありほぼ同じレベルでも見つけるのは困難。魔力量はどれくらいが必要かによるが、ライエ基準だと最低銀の最上位レベルとなればこちらも難しい。それを両立、ほぼ不可能に近い。

なるほど、ライエに固執するのも無理はない。

(あとは財宝が確実にあるかだけだが・・・そろそろかな)

財宝についての情報はなしであった。なぜそこまで信じ込んだのかも謎。精霊の調査能力をもってしても分からないが答えであった。可能性は低いが答えを知っている可能性のあるのは同伴者と1人。


「ここまで来たら終幕にしよう。ライエを苦しめた者には例外なく完全なる死を。」

「そして財宝騒ぎの元凶は潰しておいてください。」


ジークはライエに洞窟の時の人間たちがバチサレムに現れて捕まった事。同伴の男はもう1人と一緒に魔導車事故で死んだこと。

元凶の洞窟は崩落していたが半分は通れたので奥まで調査したが、財宝はなかったこと。

ライエの家族は皆元気という事。

これらを伝えた。ところがライエは胡散臭そうな目で

「ただの治癒院の研修師の言葉を信じるにしても限度があるよ。またコネの人?そんなにいう事聞いてくれるものなの?」

痛いところを突かれたジークはジョーカーを切った。

「捜査機関に協力要請して情報もらっている人は、国立バチサレム高等学園治癒学科シェリル・ビーナベル首席教授、そして僕の恋人の1人でもある。」

(北の国出身でも国立バチサレム高等学園のすごさは知っている。そこの首席教授なら納得できる。でも、恋人・・・の1人?)

「コネの件は分かったわ。ごめんなさい。そしてありがとう。」

深々と頭を下げるライエ。

「それで、恋人の1人って何?何人も恋人がいるの?」

ストレートに聞かれ、少したじろぐジークだが気を取り直し、超真面目モードに入る。

「恋人は今2人いる。一人は今名前を出したシェリル。もう1人は高等学園の同級生でシャル。2人とも素敵な女性だ。そして、僕は君も欲しい。君と一つになった時物凄く幸せを感じた。ライエだけを愛することはできない。でも、たくさん愛する。駄目だろうかライエ。」

ライエはジークの胸に飛び込みたかったが、自分1人のジークにできない。そのことが割り切れずにいた。

「最後の晩まで考えさせて。あの時のあの時間位に来て。」

真面目モードから超絶堕としモードにチェンジしたジークは

笑顔で「わかった。その時間に必ず行くね。」コンボを炸裂させる。

「!!!」

一度結ばれているが故に効果は絶大だった。体が思い出して求めてしまう。ライエは下着からパジャマをぐっしょりにしながら何とか耐えきった。しかし、心はもう折れてしまった。ジークじゃなければ駄目だと心も体も言っている。最後の晩は正直になろう。


ライエの退院前日、ジークは約束通りの時間にライエの病室に着いた。

「コンコンコン」

夜遅い時間でもあるので用心して小さくノックする。

「はい、どうぞ。」

室内からライエの声。その声に導かれジークは室内に入る。今日のライエはパジャマ姿だった。

ジークは心の中で

(振られたかぁ。恋人が他にもいるってところで反応していたからそのあたりか。)

ライエがジークを見上げながら

「先生は私を他の2人と同じように愛してくれるんですか?」

(あれ?予想と違う展開。)

「もちろんだよ。僕の恋人はみんな同じように愛するよ。」

「それを約束してくれるなら私はあなたの物になりたい。でもね先生。」

「なにかな?」

「本当に一緒にいられるのはずっと先になる。今はただの村娘。これじゃ先生に釣り合わない。何をやればいいのか見当がつかないけど、その道で一流って呼ばれるレベルになってから一緒にいたい。」

「一流かぁ。長く待つことも覚悟しなきゃだなぁ。・・・いいよ。待つ。死ぬまで待つから必ず僕の所に帰って来て。僕の居場所は世界のどこにいても分かるから。」

「えっ?すごい自信。」

「僕の目指しているのは治癒士じゃない。治癒士はシェリルのおかげで一次試験受かって、せっかくだから治癒3種の資格を取ろうとしているところ。本来の目標はランカー。そして僕は強いよ?これは冗談じゃなく紛れもない事実としてね。早かれ遅かれ少なくてもライエが一流に到達する頃には、黒の中でもトップレベルにいるはずだ。だから、簡単に居場所は分かる。」

「本当にすごい自信だなぁ。」

「時々ランカーの情報を見ていたらわかるよ。」


少し間が開く。

「ねぇ、ライエ。少し嫌な話をしていい?嫌な話。僕にとっても、たぶんライエにとっても。」

「・・・うん、聞かせて。」

「どういう経緯か分からないけど、ライエの実家にライエが生きていることが伝わっている。もう死んだ者として思っていた実家は、せっかく口減らしができたのに思惑が外れた格好になった。そこで、ライエが帰ってきたら近隣の街の豪商に妾として売ることに決めた。以前からあった話だけど、お父さんの強硬な反対で流れていた話だ。たぶんクロエも知っているだろう?

だから、北の国には帰っちゃいけない。なにかで里帰りもダメだ。」

「そうは言っても、北の国に帰らないと市民カードが作れない。この先何もできないよ。」

「それは大丈夫。これを使えばいい。」

ジークはおもむろにバチサレムの市民カードを出したが、バチサレムの市民カードを見たことないライエは不思議そうに見ている。

「ライエのバチサレムの市民カードだよ。言っておくけど役所で作られた正真正銘、正規のカードだからね。情報も生まれ故郷は北の国のあの村になっているし。」

「どうしてそんな事ができるの?またコネを使ったの?」

「使ってないよ。バチサレムはいかなる場合でも人身売買を禁止している。

そして、ライエの場合は立派に人身売買にあたる。

だから、それから逃れてきてバチサレムに逃げ込んだことにして、バチサレム市民となることを希望したってことで申請して許可が下りた。

まぁ、首都の中央治癒院名義の書類を却下する役人はそうそういないけど。というわけで、市民カードの件は解決。いいかな?」

「うん・・・なんか実感ないけどこれからはバチサレムの市民として生きるんだね。」

「そうだよ。」

「ジークありがと。」

ライエはそれまでうつむき加減だった顔を上げ、ジークの瞳を見つめ瞳を閉じた。

ジークはそんなライエに唇を重ねる。唇を重ねたままライエの服を脱がし、自分も服を脱ぐ。

そこでいったん唇を離し、もう一度唇を重ねようとした時ライエが言う

「この間より激しく、滅茶苦茶に犯して。」

この瞬間、ジークの男の子はこれ以上ないくらいいきり立った。「犯して」は強烈だった。自分は獣になる。そう思った瞬間かってないほどの興奮に包まれた。

まさにジークは獣だった。ジークはライエをこれ以上ないくらい犯した。ライエも時折きつそうな顔を見せるものの、全ての穴をジークの人並外れた男の子に激しく犯されながら、その表情、吐息は完全に欲望を満たされたそれであった。

そして、先に吐き出したのはジークであった。ジークにとって初めての自分勝手な発射。脳天が体が震える。ジークは吐き出し終わってもさらに大きさを増す、そしてライエを見て口づけを落としながら一気に奥まで突き入れる。奥の奥まで来られたライエは体を痙攣させる。。そんな行為が前だったり後ろだったりしながら空が白み始めるまで続いた。

最後は慈しむようにやさしく柔らかく結び合い事を終えた。

「すごかった。前のもすごかったけど。自分が熔けたと思ったら、ジークと混じり合って。それがね物凄い濃いの。ってなにしているの?」

「診断魔術。退院の日に体調不良にさせるわけにいかないし。この間の時もしていたんだよ。」

「そうなんだ。確かにジークのすごく大きいし、物凄く奥まで来てたし、後ろまで激しかったし。そうだね、診てもらおう。」

「そう言われると罪悪感?子宮口炎症、陰核炎症、軽度脱肛、肛門裂傷、うん他はないか。治療始めるね。このくらいなら2~3分で終わる。」

「うん、ありがとう。」

「少しおやすみ。少しでも寝てないと明日ってもう今日か、今日に響くよ。」

「だめ、大切な人との貴重な時間なの。寝るのは宿とったら寝るから。」

ジークは根負けし、ギリギリまでライエと過ごした。


ライエの退院の時間。普段は診察室のジークも今日は主治医として見送りに来ていた。

すっかり治癒院のスタッフとも打ち解けていたライエはスタッフと雑談している。

今は貸し切り魔導車の到着を待っている。

怪我時もリハビリも完璧だが主治医と副院長のいきなりの街の歩行は怖い。

ましてや北の国出身で土地勘もない状況ではなおさら。

という、いささか過保護な理由からこうなった。

ライエがジークに近づく。そして小声で

「ジーク、これからはこう呼んでいいんだね。絶対何かで一流になってジークの所に行くから、恋人は増やしてもいいけど私のこと忘れないで。」

それだけ言ったところで貸し切り魔導車が来た。

ライエは貸し切り魔導車に近づきそばに立ったところで、治癒院のスタッフに振り返り

「本当にお世話になりました。どうも、ありがとうございました。」

そう言うと深々頭を下げ、頭を上げると貸し切り魔導車に乗り込んだ。

「元気でな~」「頑張ってね~」

治癒院のスタッフが声をかける中、貸し切り魔導車は発車した。

お互いが手を振りあい、見えなくなったところで手を振るのをやめ治癒院に戻る。

今回ライエには現金で300万ギール(円)市民カード口座に3000万ギール渡してある。

全く地盤がないところからのスタート。最初は正直お金しか頼れない。お金は別に桁がいくつか増えようと問題なく用意してあげられるけど、ライエは自分の力でを強調してた。だから、受け入れてくれそうな額ギリギリを狙ったつもり。

もちろん、精霊さんには護衛を頼んでいます。

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