第5話 9校戦前→9校戦

バチサレム以外のブランドが多いストリートと聞いていたが、街の雰囲気も違っていい感じだったが、右斜め後ろの後頭部と左右の足首を狙った金属の鞭が飛んできたが全てを躱し、着地と同時に接近し裏拳で顔面を砕く。そこで仲間なのだろう15人ほど出てきた。

半数近くが鞭系の武器を持ってる。あの3人の10倍以上早くても問題ない。騒ぎになる前に終わらせる。「スタート」終了。結局3秒持たず。


「「ミスター満点」君は過激だね。「顔面つぶす必要ないんじゃない」

声をかけてきた少女は言う。ジークにも言い分がある

「反撃を食らう危険性の教育だ」大体弱すぎる」

「もしかして南街区のストリートギャングが全滅したって。あなた?南街区ハレットホテルのある付近。」

「ハレットホテルには泊まってる。あの付近のさっきみたいなのは12か13グループかな、全員のどこかの骨を砕いておいた。」ひょうひょうと答える。

「もっと過激に攻撃されるかもよ」

「あののろまがどう過激になっても意味はない、単純に彼らが死への恐怖をギリギリまで感じることになるだけ。」さらりと返す。

「自信家だね。そんな風に見えなかった。」

「自信じゃない、事実だ。」

「確かに、あの剣を見たら信じるしかないよね」

「ん?バチサレム高等学園?」

「正解、とは言っても入学予定。君と同じだよ、ミスター満点君、ジークナイト・マジェスト君」

「よく僕の名前知っていたね」

「心配しなくても全生徒知ってるよ」

「???」

「自分のしたこと分かってないのかな、まぁいいわ、私はシャル・フローレンスよ。あなたと同じ特別クラスよ。よろしくね。」

「あ、ああこちらこそよろしく。常識知らずって言われること多いから」

「そうでしょうね。私はそろそろ行くわ」

突然現れた少女は同じ学園、同じクラス。どうりで彼女一人の方がこれまでの男の一団全員より強いと感じていた。疑問が解決したところでホテルに戻った。


合格発表から10日後、入学式が行われた。式次第は特に波乱なし。挨拶も平凡。この間知り合ったシャルは話のとおり同じクラス3席だった。

学年3席と言っても納得だった。それだけの力はある。でもドジっ子。筆記試験でドジぶりを発揮し、3位に転落。その後挽回できずそのまま終了となる。

ということは、2位の生徒はシャルと同程度となる。シャルと共に人間相手の手加減をさりげなく会得する絶好のチャンスが到来した。

2位の生徒はコンスタン・ファクト、ちなみに4位はアズテック・エルナンデス。4位まで紹介したのは入試成績が4位と5位で大きく差が開いていたから。

既に周囲の人間は4人はほぼ確実に卒業、残りは特別クラスでも混戦と見られている。こういう学年は当然上下の入れ替わりも激しい。


入学後のオリエンテーションが終わって初めての授業は武術。ここで入学試験のあれが見たいとリクエストが入る。教師も困り顔。

しかし教師も見たかった。許可。しかし相手が。剣筋が最も綺麗で速く重い。この中で教師を抜いてダントツで凄い。教師にシャルを指名し本人の承諾を得る

まずはシャルと剣合わせをする。やはりなかなか強い。シャルに実力はランカーランクで銅レベルと言われる。ならば、ここは全力を見せてもらうべき。

「身体強化使わないと力足りないかぁ」

教師を見るシャル。武術の授業では身体強化は使わないのが鉄則。そこでシャルは教師に確認。答えは是。

シャルが制御できる限界の魔力を纏った。そしてその段階で剣合わせ。しかし相手は魔力も纏わず余裕で合わせる。シャルのプライドは大きく傷ついた

見てなさい恐怖を感じさせてあげる。そして、乱取り稽古が始まった。とても1回生の物とは思えないすごい速さと重さ。そして来た一瞬の隙。シャルはあれ以上はないほどの最速で剣を振り下ろした

しかしジークもすさまじい速さで剣を返し、シャルの剣の切っ先に己の剣の切っ先を埋め込み、一気に鍔までシャルの剣を切り裂いた。

片や身体強化を纏い振るう剣は20回生をはるかに超えており、剣を切り裂いた生徒は学生の域を超えている。全校でそのうわさが流れた。

それが一つの伝説の始まりだった。


校内 武術・魔術・団体戦・選抜大会。選抜大会である以上次に大会がある。9校戦。国立バチサレム高等学園とは別の国立高等学園8校1~8の番号を振られた高等学園。併せて行う大会である。現在まで、1億2000万年の歴史で8校が総合優勝したことなく、部門優勝も魔術で1回だけである。

本来11回生から出場してきたが、実行委員があまりにも1回生のうわさを聞くもので、試合をさせたくなった。しかし、1回生だけというわけにいかないので全学年にも出場権を与えた。1回生の代表はジーク、シャル、コンスタン、アズテック、他一人となった。

まずは、バトルロワイヤル。16人になるまで行われる。身体強化以外の魔術の使用禁止。バトルロワイヤル開始。

やはり皆1回生から狙う。1回生特別クラスの5人目は、5秒と持たず星になった。他の4人は余裕をもって先輩たちを切り倒し、吹き飛ばす。

残りが16人になった。20回生以上が10人、11回生以上20回生未満が2人、1回生が4人、大番狂わせもいいところ。1回生が4人この後どうなる。

途中経過を知らせておこう。準決勝の組み合わせが決まった、ジーク対アズテック・シャル対コンスタン。

どちらも好勝負必至と言われていたが、両試合ともお互いが突撃して早く振り落とした方が勝ちという形。決勝戦もこの形シンプルだけに地力の差が出る。

で、優勝はジーク、準優勝はシャル、3位決定戦はないので3位は二人コンスタンとアズテック。


魔術は的当てや正しい破壊量を充てるもの、多重結界での魔術術式解除、などバラエティに富んでいた。

結局、武術と同じ順位になった。うーん、これっていいこと?悪いこと?

「いいことも悪いこともあるわ」突然司会進行の先輩が心の声を読んだように話し始める。

「いいことは、両部門の上位4人が同じだから、より上位の選手を選抜できる。団体戦は完全にまとまったチームが作れるよ。」

「悪いことは?」

「1回生4人が代表ということで、バチサレムも落ちたなと思うことと態度に出すかな。」「それなら大丈夫です。一生消えないトラウマ刻みます」

1回生から大会出れて代表になったのは幸運。しかし、手加減の具合がよくない。反省点と課題を見つけ鍛錬するジーク。


日々の授業をこなしつつ、個人、集団戦の訓練の日々。充実した毎日だった。課題の手加減もいい感じだ。相手には全力で来てるように見せる。

出場種目が決まった。・武術個人戦・武術団体戦、剣道みたいな感じ個人戦ベスト4は5人目以降しか出れない。・魔術個人戦、学園でやったのとほぼ同じ

魔術団体戦、攻撃魔術以外で8人が協力するもの。総合団体戦・武術、魔術総員で敵を粉砕する。例年全校がバチサレム高等学園を狙う。

だから、基本迎撃あるのみ。そういう戦いが1億年以上の間続いたんじゃ退屈。ジークは言った

「いつもどおりは退屈ですよね」

「確かに」

「だからここは負けるかもしれないを覚悟に、1回生は1人1校、先輩方は2人1組で1校。どうでしょう?勝てませんか?」

「勝てる!」

皆ジークの口車に乗り闘志を燃やす。今年の見せ場は最後だ。そう思いながら、最後に合わせて余裕の調整をしているバチサレム組が怖かった。


そして始まった9校祭

武術個人戦開始。例によって16人になるまでバトルロワイヤルだが、今年は早かった。バチサレムの1年生に殺到し、悉く打倒されちょうど16人となった

トーナメントは校内大会と同じ状況になり、1位ジーク、2位シャル、3位コンスタン、アズテック


武術団体戦、わざと負けながらジークたちに行く寸前でとどめを刺す。これまた惨い勝ち方だが勝ちは勝ちだ。一度も回って来ず優勝

魔術個人戦、的当て(9校祭での的当てはすさまじい難易度を誇る)速さ、出現距離、的の強度、色など特色のある素材を使用

魔術陣解除、多重結界使用。順位は解除までの時間

属性のない魔力を打ち出し結界魔術で避けながらいかに早くゴールに着くかが順位。

結果は1位ジーク2位コンスタン3位シャル、魔術陣解除に手間取った、4位アズテック、マイペースでこの順位、最強はこの男?

普通に結果発表しているが、途中経過は普通じゃない。的当ては4位までが歴代記録を塗り替えた。

魔術陣解除も3人が歴代記録を塗り替えた。ついでに結界魔術走初のパーフェクト。残り2人が歴代記録を塗り替えた。


さて次に行われるのは、魔術団体戦。最初この案を聞いた時、できると思ったものはいなかったはず。

知識を確認するとこちらにないみたい。作ろうとしているのは花火の魔術版ナイアガラの滝アンド大玉。8人でフルに能力を使う。

出番。静かに始まる。1本の魔力糸。2本3本と次々増えていき10本を超えたところから光がこぼれそうになり、20本目糸はロープより太くなり

ついに一斉に光がこぼれる。すると後ろから光が打ちあがり高いところでドンという音と共に光が開き、光の花になる。

そして小型の連発、おびただしい色と音、連発の速さが増すもう限界だろう、なおも早さを増し光の奔流で視界があふれる。

そして最後は来る。一発の花びら。それを合図に打ち上げは止み、光の滝も右からきれいに消えていく。ああ終わりか。見ていた人は皆そう思った

しかしここからがクライマックス。4尺玉相当120発5尺玉相当20発最後の連発。5尺玉相当からぶっぱなせ!

それからは大迫力の連発が続き最後の5尺玉相当10連発で締め。観客はどう反応してよいか分からなかった。こんなの初めての体験だから。

しかしすごかった。それだけは分かったと同時に、物凄い歓声が鳴り響く。「毎年うちがやる時はいつも夜だからつい光属性に走るね」そう聞いたジークは契約精霊たちに聞いた、全ての属性に熱を持たせない事できるか。答えは是。熱を抜くだけ、そう難しくない。

ジークは精霊たちの言葉を信じてお願いしてみた。最初はどうなるかという状況だったが一人成功すると瞬く間に全員成功した

それからはプログラム。こんな感じがいいんじゃない?様々な意見が飛び交った。それも楽しいと感じた、来年も楽しいと良いなそう思うジーク

さあ、こんなこと言ってると終わったみたいだが9校祭はまだ終わっていません。総合団体戦が翌日にある。


そして翌日、最後の競技。総合団体戦。武術、魔術、何らかの武器すべて使用可能。ただし致死性のある武器、致死性の高い魔術、致死性の高い武器は使用禁止。これらは、長い年月9校祭を開催しているうちに、より競技性の高いものになっていったのだろう。

総合団体戦は所謂旗取りゲーム。だから普通自陣を空にすることはない。それを一気に他の陣を攻め切って勝利しようというもの。バチサレム高等学園が毎回旗7本手にするが、守りを固め敵の攻撃陣を粉砕したのちに攻略していく。基本このパターンである。したがって勝敗とか旗の数なんて賭けの対象にならない。試合終了までが唯一の賭け対象である。短くとも1時間ははかかる。ごく稀に数時間かかることがある。8高側にバチサレム高等学園級

のエース級がいた場合。獅子が率いた羊の群れはってやつである。バチサレム高等学園とてけが人が出ればきつくなる。こういう時長時間化しやすい。


今年のバチサレム高等学園は通年とはまるで違う。1回生がエースである。周囲を固めるのも1回生。さてどんな戦いをするか、皆興味津々である。

応援団も盛り上がるバチサレム高等学園、何といってもエースも周囲も1回生。そして昨日の夜は感動で涙が出る程の物を見せてもらった

他の成績もダントツ。歴代記録ってこんなに出るんでしょうかと誰かに突っ込みたい。あんなにあっさり何個も、しかも一人は物凄い美少女だし


在校生がこんなことを考えているうちに総合団体戦開始。バチサレム高等学園は例年通りと思った瞬間魔術の攻撃を放つ。同時に各自各陣地に走る。

魔術で敵を完全に封殺し武術で敵を倒し旗を奪う。一番遠い陣地はジーク、ハリネズミのような魔術を陣地を囲うように使い陣地から出れなくし

迎撃に出てきた魔術師を片付け、陣地に飛び込み残りを全て体術で落としたジークは悠々と旗を抜いた。それがバチサレム高等学園勝利の合図となった

平均1時間から1時間半かかる。最短記録でも47分だ。ジークたちの記録は12分。これがどれだけ規格外か。応援団はお祭り騒ぎ。他校は茫然自失。

「すごいすごいあんな思い切った作戦なんて」

「あれは先輩たちプレッシャー凄かったろうな」

「どうして?先輩たちは2人だったよ」

「だからよ、1回生が1人。先輩たちは2人、失敗していたら先輩たち責められたよ」

「あれ、ミスター満点君の案かなぁ?」

「そうじゃないのかな」

「昨夜の光魔術も彼の発案だって」

「あぁ、魔術士協会から表彰と入会が認められたって言ってたな」

「えっ?魔術士協会?すごいなぁ」

これで主人公がどのような状況にあるか一端が知れる。魔術士協会は全世界共通の組織で入会だけで一流、表彰までされたら差し詰め特級。全世界共通なので求職が物凄く有利になる。したがってこの組織に入りたいものは数多い。そんなところから求められ入会するジークを妬ましく思っている者もそれなりにいたが、ジークと自分の差を考え引き下がっていった。


それよりも、圧倒的な機動力で掴み取った総合団体戦優勝。史上最短記録と共に。9校戦はバチサレム国民の関心が高い。スポーツ紙の1面を飾るくらいには。

史上最速、史上最高得点いくつの記録が生まれたか。そして誰が記録を作ったか。その姿がスクリーンに映った瞬間見ていた女性の半分以上若い女性は9割以上「キャー♡」「かっこいい♡」「かわいい♡」などの嬌声を上げた。またシャルが紹介されたときは別の雄たけびが上がった。


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