第11話 逆さ水松

 北海道には異名なイチイの木があるという。

 曰く、逆さに生えたイチイの木だという。根が周囲をドーム状に多い、その中心にイチイが逆さに生えてるというのだ。

 私は北海道を広く回り、ついにそのイチイを見つけたのだ。


「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」


 そのイチイを見ると、そのような念仏が聞こえてきた。




「なるほど、これが函館に落ちていた、と」

 函館の警察署の警部はそういいながらボロボロのノートを見る。

「ええ、しかもその文章しか書いてないんで気味が悪いんですよ」

「ふぅん」

 警部はそういいながら、ノートを慎重に袋に入れた。

 結局、持ち主は見つからなかったそうだ。

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夢のような掌編の小片集 文屋旅人 @Tabito-Funnya

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