【幕間】湯けむり、裸の手ほどき① ※ 性描写有り注意
これはクレスとアズラックが出かけてから数日後のある日。
俺は今、とんでもない試練に臨んでた。失敗すれば意識が刈り取られるからだ。
「くうとくん、凄いね! 見違えたよぉ!」
今、俺は全力を出していた。
俺の左手には風魔法で具現化した盾を持っていた。
円形に形成したバックラーといったとこか。…………しかし、まだ修行不足なので、魔力の中心のコアには木製の桶を使っている。
――なぜか?
俺の手元には今、これしか無かったからだ。
まだ具現化するのはイメージの強さと魔法修練値、そして魔力を必要とした。転移者は大抵ゲームやアニメでイメージは完成してる人が多く、必要な事は後者であることが多い。
――また、具現化してるとはいえ、魔力を纏わせているので物質が大きければ大きく程、具現化した物は大きくなる。今俺が媒体無しでも具現化することは可能だが、数秒間で具現化出来るのは手のひらサイズがやっとだ。
――しかし、それでは盾としては何にも役に立たない。
この具現化シールドも具現直後は木製の桶の一回り程度しか無かったが、数分間の戦闘中に徐々に魔力を集めて、直径六十センチメートル位になっていた。
本来ならば、武器などの他の物を生成したかったが、あまりのアリーシャとの攻防の激しさと、手元のある桶に合うイメージで盾を選択していた。
また、戦闘中に魔力を具現化リソースを割くのは理由があり、それによって盾を選択せざる得なかった。
――そう、この場所に問題があり、理由があるわけだ。
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………時は遡り数分前。
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ここは、俺がベースにしている小屋から数キロ離れた山の中にある温泉の源泉地。
この世界でもお湯が沸いてるところがあることに驚いていた。
たまたま風呂に浸かりたいと思っていたところ、アリーシャから教えてもらった。
俺一人で行っても良かったんだが、エリナからはダメ出しのオンパレード。まあ当然の事ながらアリーシャから共に行くことを強要される。
もちろんエリナも同じように、な。
この温泉に入る前についたてのような何か欲しいなーと、思っていたところエリナとアリーシャはそれらしいものを作っていた。
俺は「俺一人で入るから外に居てくれ」と言うが、それは出来ないとエリナは言う。
しかしアリーシャはいいよと言うが、エリナは不満顔。
アリーシャがエリナに何か言って納得したようで俺一人で入る事になった。
………はずだった。
お湯に浸かっていると、アリーシャがタオルを体に巻いてやってきたのだ。
このあたりはいつもの事だな。
…………と思いつつ、いつものように追い出そうとしたら今回は違った。
アリーシャがこう言ったのだ。
「今日はねっ、特別なんだよっ! だから少し眠っててもらうねっ」
そう言うと、両手を目の前に出し、魔法らしきものを詠唱して光の玉を放ってきた。普段大剣ばかり振り回してるからアリーシャが魔法を使う所をほとんど見ない。
突然の魔法だった。受け流そうとしたが、そのまま吹き飛ばされて温泉へ沈められる。俺とてただでは終わらない。
すぐに立ち上がり俺は臨戦態勢に入るのだ。
…………違うぞ、そうゆう意味じゃない…………はずだ!
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それからこうして居るのだが、なんでかアリーシャと戦う羽目になったわけだが………。
ここはまかりにも温泉。装備・衣類・その他もろもろは、エリナがいるはずである更衣室にある。
それは例外なく、アリーシャもだ。
ただ俺の腰に巻いていたタオルはアリーシャの手の中。手元には盾に具現化したおけが一つ。
そしてアリーシャは自分の体に巻いていたタオルは俺の腰に巻いていたタオルと共に杖に具現化させる媒体になっている。
――そう、よりにもよってアリーシャは自身のタオルと俺のタオルを杖に具現化させてた。
当然だがお互い身に付けてるものは一つとしてなく、お互い生まれたままの姿に具現化した物を持って構えて対面している状態だ。
お互いの体を隠すものはない。
俺の下半身も当然丸出し。アリーシャのも然り。
アリーシャの下半身のセンターには、狐のしっぽがそのままくっついたようなふさふさなものが見えるので、細かいところまでは見えない。上半身には小ぶりな茶碗が2つ。
女性の体というのは俺はあまり見たことが無かったので、ああゆうものなのかと一人納得していたのだが。
そこへタオルを巻いたエリナまで入ってくるのだ。
「ク、クウト…………!」
エリナは顔を赤らめて硬直していた。
ああ。これは思った。エリナは日本人のはずだ。
これは叫ばれるパターンだな。
しかし、いくら待っても、エリナの叫び声は聞こえなかった。
…………あれか、エリナっていくつか知らないけど、年上なんだよな。
そのあたりの経験豊富ってことみたいで、生娘みたいに動揺したりはしないか。
とはいえ、俺の歳だと少し恥ずかしさの方が上回るが、男のプライドもある。例え恥ずかしくても、堂々と立っている女性二人を目の前にして俺だけ大げさに騒いだら男のプライドが廃る。
プライドを守るために、本当は隠したいこっちも臨戦態勢で反りあがってる下半身を晒し続けることになった。
そこでとどめの一撃と言わんばかりにエリナの一言が突き刺さった。
「ク、クウトも、お、男の子だもんね。わ、私は、ほら大丈夫だから、興奮するのもわかってる、つ、つもりだから………!」
エリナの目線は俺の下半身から離れていない。この一言で理性が飛びそうになった。エリナって意外にグラマーだな。
――いや、ダメだ、俺は! こんなところで理性を失ってはいけない。
いますぐ! この場を離れなければ!
「アリーシャ、エリナ、すまんがちょっとトイレに……「だ~め! ここでしていいよっ!」
その場から離れようとした俺の声を遮りアリーシャの言葉によって拒否される。本当に自分で何を言ってるのかわかってるのか、この
「あの……アリーシャさん、ここで、っていうのはちょっと恥ずかしいんですが」
ああ、俺の理性は限界に近い。謎の液体がぽたぽた落ちる。湯の水なのか何の液体なのかはわからない。どこからというのはあえて言うまい。
エリナさん、ここはアリーシャを止めてください。そう思いエリナに向き直ると。
「……」
豊満なバストをタオルに隠しながら恥ずかしそうに下を向いて黙っていた。
理性の限界突破阻止地点までもう時間がない。
「ク、クウト、私も、あ、あなたが、お、思ってることは、おおよそ……分かるわ。どんなことになっても、私あなたを責めたりしないから」
エリナがそう発言した。逃げ場が消えた。これ俺にどうしろと言うんだろうか。
アリーシャを説得するしかないが、もう俺には時間がない。このままではとんでもない事を俺はやらかす。
「くうとくぅん! 心配いらないよ! あたし、くうとくんの考えてること解るんだっ。本当に優しいね! だからくうとくんっ、だいじょうぶだよっ!」
そう思ってたらアリーシャからそう言われた。アリーシャはそれを知ってるのだろうか?
ああ、俺の阻止限界地点が超えてしまった。具現化していた盾が消え、媒体に使っていた桶の落ちる音がその場に響く。
――――――それと同時に一匹の野獣がアリーシャに襲い掛かるのであった。
~~~~おしらせ~~~~
この話作るの本当に大変だった(笑)
本題は実はこの後ですが、やはり2つに分けることにしました。
次回の更新日は8/31月曜日です。
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