出発の時が近づいて

 翌日、アズラックとクレスが帰ってきた。



 ――――そう、とんでもない爆弾をかかえて。



 俺と共に訓練をしているアリーシャとエリナの元にアズラックは近づいてくる



  「あんちゃん、悪い、明日にはここを立つ!」

 そうしてこう言い放つのだ。



 …………は? 帰ってきて早々突然だな。



  「理由は聞いても?」

 急すぎて俺は内心びっくりしていた。



  「アズラックがまたやらかしましてね、ここに王都の軍勢が迫ってます」

 クレスが呆れた顔して答えた。



 アズラックのやつ、一体なにをしたのやら。なんとなくわかる気がするが。


  「ちょいとな、ぴいなって女と朝まで一緒に居たらな。部屋から出た時に親衛隊っのと鉢合わせてな、それで逃げてきた」

 おいおい、俺の関係者ジャマイカ。しかも朝までとは。


 エリナやアリーシャは、呆れた顔をしていた。


  「ええ、魔道具が反応したので合流場所に行ったら案の定ですよ、全く」

 クレスが呆れた顔してそういう。



 アズラックならあり得るか。姫奈の性格ってよくわからないが、なんかそんな感じはするしな。


……………どのみち起こったことを攻めても仕方が無いな。姫奈について色々聞きたいが、まずは現状把握が優先だな。



 「それで、軍勢はいつするんだ?」

 「早くても今夜まで到着しないです」

 クレスはそう言い放つ。…………あれ、明日出発じゃないっけ? 今夜だと鉢合わせしないか?


 「あれ、明日出発するんじや無かったっけ?」


 「夜までに押さえていた魔道具を外します。その後ここら一帯は魔獣で溢れます。軍勢対策は大丈夫です」

 確かに頻繁的に魔獣が襲ってきていた。どうも惑うお具で押さえていてあの状態ってことだ。


 「この近くにダンジョンがありますが、イーストウッド国が管理してた時までは間引きを行われていました。今はこの付近の管理が行き届いていません。以前は村があったのですが、今はスタンビートの影響で滅んでいます。現在もスタンピード継続中です」


 スタンピードとは、ダンジョンからモンスターが溢れて付近の村や森などにモンスターがあふれ出す事である。


 そして今は、どうやらスタンピード真っ最中らしい。



  「では、僕たちは魔道具を外してきます」

  「あたしも、いってくるよーん」

 クレスとアリーシャは、皆に伝えると森の中に入っていく。



  「私たちは地下を移動します」

 エリナはそう言うと、小屋に戻っていった。俺たちもあとへ続いていく。




 「うらぁああああああああああああああ」

 地下へ降りると、アズラックは斧を振り回し、壁の周りに貼り付けていた木の壁を破壊しだした。

 え? なにしてんの???




 しばらくしてクレスとアリーシャが帰ってきた。皆は部屋に向かう途中の廊下に来た。

 「くうとくーんただいま~!」

 おい!いきなり抱きついてくるなよ。


 「ところで、これはなにしてるの?」

 破壊活動してるのはわかるんだが、クレスに尋ねてみた。


 「ここの通り道をふさぎます。これでこちらから入る事はまずできなくなります。クウトさんも下がってください」

 退路を断つ、ならぬ侵入経路を断つか。



 「アクアスリングショット!」

 エリナは詠唱すると、さっきまで居た場所は水浸しになる。



 確認後、クレスは詠唱を始める。



 「アースクェイク!」



 地面がせり上がり、天井が崩壊する。



 こうして100メートルぐらいあった通路は埋まっていく。



 ――そして、今後の事を聞くためにいつもの部屋に戻ってくるのであった。


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